
吸血鬼の結婚計画書
私
「あ〜コミティア150楽しかった〜!(清々しい顔)」
地底に棲む吸血鬼の夫ピコ
「お疲れさま!君ほとんど宣伝してなかったのにお客さん来てくれたねえ」
私
「やっぱさ、丸山修寛さん監修のカタカムナの布敷いて、3Dバッキーカバラを5箇所においとくと、その卓上がいい感じの空間になるよ!宣伝しなくても大丈夫。こういうときこそオカルトグッズの出番だよね。これからも出し惜しみせず使っていこうと思った!」

ピコ
「ああ、そう……まあね。そのへんのおかしな秘密結社に入るより、そういう便利な魔術的グッズ使っちゃったほうがいい場合があるのは認める。グッズであれば、おかしなエネルギーが入ってても捨てればいいだけだしね。だけど君……」
私
「今日はとてもいい日だったよ〜。子どものお風呂も終わったし、あとはペン入れするね」
ピコ「………」
(もう少しSNSやれと言いたいけど、やる気に水をさすべきではないと葛藤するピコ)
私
「話変わるけどさ。昨日ピコに、霊感を全開放するご祈祷をしてもらったじゃん?」
ピコ
「ああ…そうだったね。どう?その後は(にやにや)」
私
「ピコ、私気づいちゃったよ!電車内で私を2回、試したでしょ??
往復の電車内で生首をふたつ視たよ!」
ピコ
「ふふふ。意外と君は冷静だったね……ひとつは眼球があべこべになってるティーンエイジャーの首。もうひとつは25歳くらいの男性の首。25歳のほうは意思を持ち動く首だった。君は冷静に25歳に向かって言ったね?
「あなた、転生したい?」って」
私
「言った言った!イマイチどういう返事なのかわからなかったんだけど、とりあえずピコとイレイサーさんを目の前に呼んで、浄霊用の掃除機の中に吸い込んでもらったよ。あれでよかったの??」
ピコ
「上出来だ。まずは合格。ただ、君の霊視の画素数がまだ粗い。それだとそんなに怖くはないけどド近眼みたいなもの。
だからこれから少しずつハードルを上げていく。今後に君は驚くほど鮮明な生首を視ることになるだろう。どう?がんばれる?」
私
「学生時代、オールナイトロングとか観てたしたぶん大丈夫!」
ピコ
「よかったよ、僕は何千年も、ずっとずっとこのときを待っていた。この日のために…未来、霊感全開放に至った君が、少しでも怖い思いをせずにすむように。あらゆる手を使い大量のホラー映画とスナッフフィルムを観せたんだ。幼少期からね」
(スナッフフィルム……実際の殺人の様子を撮影したとされるムービー群)
私
「大好きなお祖父ちゃんは、まだ4、5歳の私にロメロ作品や、狼の血族とか…ホラー映画をいっぱい観せてくれたの。お祖父ちゃん大好きだったんだよねえ〜」
ピコ
「そして君の元彼は、なぜかやたら残虐なスナッフフィルムを好む男だった。君が観たいとひとことも言っていないのに、デートのたびしつこく再生するんだ……!」
私
「ほんとにいやな思い出だったよ。あいつにはバスケットケース(ホラー映画)を借りパクされてさ」
ピコ
「そういう問題じゃない。あいつは今世、DVD鑑賞だけですむだろうが、根っこが犯罪予備軍だった。だから僕は君とあいつがデートするたび大祓祝詞を唱えていたんだ」
私
「だから交際期間中ずっとしっくりいかなかったんだね」
ピコ
「あんなのには嫌われたほうがいい。どんどん嫌われるべきだ。それなのに変な真面目さが災いして君は、男女関係は必ず努力で解決できるものと思い込んで7年も交際してしまった」
私
「結局7年間も残虐ムービーを観続けて…あれは無駄な時間だったねえ…」
ピコ
「そもそも君はとてつもなく男を見る目がないんだ。僕についてはアタリだったが。最初が良かったからそれ以降がぜんぶ駄目。
だから僕はまだ霊感が未発達だった君に「恋愛するな!絶対するな!絶対失敗する!」とささやき洗脳し続けた」
私
「そうだったの!?……だからかな?当時、恋愛になりそうな雰囲気になると必ず、この人とは絶対うまくいかない気がする…という気がしちゃって。毎回そうだったんだよね。だから30代は今の地上の夫に出会うまで、ひとつも恋愛にいたらなかったよ。あ!フラれたりもしてた」
ピコ
「それはちがう。君をフッたあいつは実はパートナーがいた。しかし君にそれをいっさい言わなかった。4年も一緒に仕事してたのにね。そして君はフラれたように感じてるみたいだが…そうじゃない。そうじゃないんだ!!」
(頭を猛烈に掻きむしりブンブンするピコ)
ピコ
「当時そいつから不可解なLINEがきてたろ?君は鈍いから業務連絡だと思って返信したわけだが…つまり…超短気でせっかちな君は、たった一回流されただけでフラれたと思い込んだんだ。でも本当のところ、そいつと君の行動速度に大きなズレがあっただけ。あのままほっといたら君はゆっくり、不幸な恋愛中毒の33歳になるところだったんだよ!もう!この馬鹿!!
だからあわてて僕が今の地上の夫を連れてきた!しかし地上の夫は、君と出会う機会がどこにもなかった……住まいも遠く、仕事も他業種。だから仕方なく…地上の夫の社用車を自損事故させて、わざと2週間の休みをとらせ、母親にお見合いしろと圧迫させて、婚活市場に引っ張り出したんだ」
私「…………(目を見開く)」
ピコ
「はあはあ。息が苦しい…君のせいだぞ!創造主神との契約を忘れきって何をやってるんだよ!」
(契約……地底の創造主神にピコとの共同制作で漫画を提出する)
私
「あのね、33歳の年末、何度も同じ夢をみてたんだよ。私が男の人と、赤ちゃん抱っこしてる夢。それがあったから婚活始めたんだけど……あれってピコが見せた夢だったの?」
ピコ
「その夢は…日光神社の徳川家康との合意のもと、君に見せた」
私「うわあ…!(涙ぐむ)」
ピコ
「あのとき君がギリシャリクガメのために、100日参りを実行したからだ。その愛にうたれ徳川家康は君をまるで孫のように思うようになった。多少あんぽんたんでも馬鹿な子ほど可愛いというやつで、君にとても甘いおじいさんになった」
(甘い…甘すぎる…ぶつぶつ小声で文句いうピコ)
私
「ピコ、すごいね…!
世界はほんとうに愛でできてるんだねえ…!」
ピコ
「…君さ…元彼に7年もスナッフフィルムを観せつけられてきたくせに、よくそういうセリフが出てくる大人になったよね?君のすごいところはそれだ、なぜか悪に対して強い耐性がある」
私
「あれ?でもそのスナッフフィルム、ピコが元彼の裏で手を引いて、私に観せてたってことでいいんだよね?」
ピコ
「うっ……ええと、君が将来、霊感激アガり!したときのための準備運動だったのさ。僕は必要なら悪魔も使うんだ」
私「わーお、ピコって神様みたーい!」
ここで会話を中断。
なんのために霊視力鍛えてたんだっけ?
神仏との交信、ピコとの交信のためでした。
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