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私とピコの舞台裏①短編小説
★やや成人向けの記事です。
目を閉じて、ピコのいる地底へ向かうと意図する。
変性意識になるとやがて、周囲の風景が浮かび上がる。
どこかの洞窟…目の前にいるピコは、今日はツノがある鬼の姿だった。
さいきんよく仮装していた、ダースモールの姿ではない。
本体は別の場所にいて、アストラル体で来たようだった。
地底の鬼の夫ピコ
「君が僕のことでうだうだ悩んでいるときは、腹が立つから。そういう感情すべて、僕は透視できちゃうからさ…だから君がぜんぜん好きではない、ダースモールの姿になるんだ。でも今日はきみ、そんなに悩んでないみたいだから。鬼の姿にした」
私
「そういう意味の仮装だったの?ピコが好きでダースモールになってたわけじゃないんだね」
ピコ「ついておいで」
ピコと洞窟を歩き、岩場を登っていくと、鳴門の渦潮が見えてきた。
私たちは強い渦潮の流れに向かって歩いていく。
今にもぐるぐる流されていきそうな私を、イメージの力で小さくしたピコは、左手に私を握り、鳴門の渦潮の中を横断した。
私
「浄化浄化!気持ちいいね!」
笑うとピコは私を握ったまま、海底へ。
大きなワカメが生えている岩場に座る私たち。
私「どうしてここへ?」
ピコ
「鳴門は重要な地だ。日本の罪穢れを浄化してる。災害の予兆がないか様子を見にきたんだよ。海底の火山に地震、富士の噴火などは避けられない予定だしね。といってもまだ、先のことだけど」
私
「鳴門の渦潮、大丈夫そう?」
ピコ
「まだ大丈夫みたい。いつもどおりだから」
私
「ねえピコ、私さ…今世の父を、異常なまでに憎んでた時期があったんだよね。あれは、ピコの想念だったの?」
ピコ
「そうだね。僕の感情が君に影響してた場面は他にもあると思うよ。君はさ、いくつか前の前世で「ピコの抱えてるトラウマを経験すれば、ピコのこと理解できるかも」と言って、わざわざ性奴隷を経験した。実父に金のために売られるという苦しみね。ただ君は…やはり僕と性別が違うからなのか、元の性格が違うからなのか…今世のうちにだいぶ、父親への憎しみやトラウマが解消できたみたいだね」
私
「私が天空人だというのは関係ある?もともと、両性具有」
ピコ
「あるかもね。天空人って、喜怒哀楽が、イマイチ足りないじゃん。君の天祖の父親もそうだけどさ。重い感情をずっと抱え続けるのは不毛と思うのか、相手の状態を観察し理解して、しかるべき手を打って、さっさと解決しちゃうようなところがあるよね」
私
「それっていいこととして言ってる?」
ピコ
「いいことだと思ってる。だって君が天空人でなかったら、僕とのペアなんてやってられないだろ?」
(鬼のピコと天空人の私は、鬼の凶暴性を中和させる目的でペアを組んでいる)
私
「私たちの、前世における父親への怒りを、ヒーリングする必要があるかもね」
ピコ
「それは一緒に、夜やろう」
ピコと私、海面を見上げる。光が差し込んでいる。
私
「私はピコの悲しみがおなかに伝わってきて、じわじわ感じるとき、ああピコはこの世にいるんだな。生きてるんだなあって思う。嬉しいよ」
ピコ
「……ぼくはさあ……いっつも愛する人に忘れられるの。君はいずれ死に、生まれ変わる。僕はふたたび、君が思い出すのをひたすら待つ側になる。すごく悲しいと思わない?」
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