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吸血鬼に究極(?)の質問


「なんかねえ、急に学生時代を思い出したんだよ」

地底に棲む吸血鬼の夫ピコ「へえ?」


「倫理の先生がね、「地面を見て歩いている人は悩みがあるんだろうなーって思ってみてます」といってたの。私は当時それ聞いて、自分は地面ばっか見てるけど…でも、空見ても面白くないし…地面みてれば、たまにいろんな虫とか、ネズミとか、生き物発見できるから楽しいのになあって、思ってさ」

ピコ「君は昆虫ばかり観察してたよね」


甲虫の交尾って超気持ち悪いんだよ。見つけたときの喜びと衝撃たるや」

ピコ
「高校生にもなって、そんなの楽しみに地面チェックするなんて、クラスに君ひとりだっただろうけどね。だから倫理の先生にそれをわかれってのも、絶対に無理があるよね。それに古風な女子校だったじゃないか」


「うーん、確かに私、根暗極まるとしか言いようがないけどさ…別に…みんながみんな、天体に興味ないし、植物や空、雲に興味あるわけじゃないのにって思ったんだよ。だから、こう感じるべきだ!と言われてるみたいで押し付けがましいなあと…」

ピコ
そもそも自分がなにに興味あるって、わかっていない人も多かったと思うよ。特に君の年代より上は。生きることに必死だったろうしね」

私「時代背景か…」

ピコ
バシャールのチャネリングが有名になったのは、君の生まれるほんの少し前だったと思うから。僕は関係ないから、ニューエイジ思想の良し悪しには触れないけど、ああいう考え方や生き方が根づく、始まりのときに君が生まれてる。いわゆる融通の効かないインディゴ世代。君のお母さんは器用なパイオニア。インディゴ世代が生きていかれるように、地ならしした世代だね」


「私よりもずっと若い世代になってようやく、自由になってきたと…」

ピコ
「そうだね。君も子育てしてて感じるだろ?日本はまだまだ息苦しさが残ってる。君の時代よりはずっとマシだけどね。ランドセルは自由に選べるし」


「私はランドセルが嫌いで、11歳のときにズタズタに破壊したあとに、リュックで通っていたんだよ。クラスメート超文句言われたんだよね」

ピコ
「今は小1からリュックの子もいるよね。いい時代だよ」


「そういえば…時代といえば…聞きづらい質問していい?」

ピコ「どうぞ」


「あのさ…アン・ライス作品の主人公、レスタトが、悪魔メムノックという作品の中で…女性の経血すすってるシーンがあるんだよ」

ピコ「そうだったかな」


「そんでレスタトが「僕はもう誰も殺さない」みたいな宣言?するわけ。たしか。記憶はおぼろげなんだけど」

ピコ「そういえばそんなシーンあったかもね」


「吸血鬼って、そういう…殺さない代わりに経血で代替するってあり得るの?」

ピコ「吸血鬼が男性ならあり得るんじゃない」

私「男性なら?」

ピコ「性的な要素しかないから」

私「そう…なのかな、やっぱり。だけど…」

ピコ
「ただ、ここまで現代がジェンダー問題を拗らせていていることを考えると、触れるには勇気のいるトピックだよ」

私「勇気?」

ピコ
「本能的なエネルギーを肯定できない時代だもんね?誰もが乱暴で粗雑、動物的ではいられなくなった。たぶん女性側も、動物的であることに肯定的なタイプはたくさんいるはずなんだけど、そうではないタイプが抑圧されてきた歴史があるから。これって必要な進化だから、人類は…僕もだけど、歩み寄りのための調整能力を身につけなきゃいけないね」


レスタトの話題が男女間のカルマの問題に発展していく…!」

ピコ
「レスタトは「古い男」なんじゃないの。だからああした」

私「レスタトは古い…」

ピコ
吸血鬼なんて900歳未満は若手なんだから、今いる吸血鬼男性のほぼ全員が古いんだけどね」


「そっか…なんか、とりとめなくなっちゃったけど…」

ピコ
「僕これ、今は正直に話してるけどさ。もし人間だったとして、話すのはちょっと…現代ではもう、無理な気がするよ」


「なんか、もう…複雑な感情が湧いてくるわ…」

ピコ
「でもたぶん、文中でレスタトがやった行為に当時、ぎゃーって悶えた読者は多いと思うから…


「世の中にはそういう人たちもいると考えると、この記事、大丈夫かな…?」

ピコ
「まあ、少しは価値がある内容だったと信じるしかない


「すいませんでした。現役の吸血鬼に聞きたかった」

ピコ
「僕も勉強中ではあるんだよ。地上がどんどん複雑になってるから。僕が地上に一斉送信するインスピレーションも、あまりにも時代とズレてたら無駄打ちになっちゃうからね」

私「創作の奴隷もラクじゃないと…」

ピコ「ところで、話を戻すけど」

私「なんか話したっけ?」

ピコ
「君が虫を見たくて地面を見ながら歩いてた件ね」

私「ああそう、女子校時代ね」

ピコ
「君は無意識に、地底からエネルギーもらってたわけだよ。地面の下から、僕が延々と話しかける声を聞いていた

私「え…」

ピコ
「悩みがあるからって下を見るわけじゃない理由は、他にもあったわけ(にっこり)」

ここで会話中断。
リラクへ行きます。

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