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#78 戦略とは何か
~戦略とは持続的競争優位性を達成するためのポジショニングを構築することである P.ドラッカー~
筆者はコンサルティング実習にあたっては,最初の授業で必ず戦略ピラミッドを説明するようにしています。戦略ピラミッドとは,上部の抽象度の高い方から企業戦略,2番目が事業戦略,1番下が個別戦略という3層構造になっています。別の言い方をするならば,1番目は成長戦略,真ん中は競争戦略,1番下は機能別戦略という風になっています。
それでなぜこの話を最初の授業でするのかというと,目の前の経営者=クライアントの抱えている経営課題や問題意識がどの戦略レベルに属するものなのかを最初に把握することが,コンサルティング実務においては非常に重要だからです。つまり,経営者は様々な経営課題を抱えているのだけれどもそれらがどの戦略と関連があるのか分からない,あるいはどの順番で手を付ければいいのかが分からないというケースが非常に多く,端的に言えばコンサルティングとはそのパズルを紐解くことに他ならないからです。
ところで,戦略ビラミッドの1番上にある企業戦略=成長戦略はこれからいかに成長するかという未来のあるべき姿に向けたものであることから,課題設定型アプローチとかデザインアプローチと呼ばれることがあります。それに対して1番下の個別戦略=機能別戦略は,現在あるべき理想状態になってないという過去から現在に投げかけられたギャップを埋めていく改善作業,すなわち問題解決型アプローチであり生産性や効率性に関連する戦略ということになります。
それでは,ピラミッドの真ん中にあるの事業戦略=競争戦略は何かというと,その目的は競争に打ち克ち収益を上げ利益を上げるということであり,そこには事業継続に関連して抽象度の高い成長戦略の上位概念を内包しています。また同時に,コスト削減やシナジー創出によって利潤最大化に目指すという面からは,生産性や効率性の向上に関わる機能別戦略の下位概念も内包しているものと考えられます。
何故この戦略シナリオについて触れたのかというと,最近は社会志向マーケティングの考え方が注目されていて,企業は社会的課題を解決するために存在するのであってこれからの企業はそこからスタートするのが理想である,と言うような論調が散見されるからです。しかしながら,高邁な理想を掲げて戦略ピラミッドの上から戦略シナリオを策定するのはハードルの高い作業であり,実際のソーシャル・ビジネスの多くはそのあたりのボタンの掛け違いにより,却って事業のローンチを難しくしているようです。
基本的にビジネスとは,ニーズ=需要のあるところに問題解決を提供=供給するということであり,その構造自体が実はすでに社会的なものです。ですからまずは,いかに儲けるかというビジネス・モデルの構築からスタートして,事業が安定してから上位概念である成長戦略と下位概念である機能別戦略に触手を広げていけばいいのではないかと思います。
アーリーステージの企業であれば事業戦略を中心に経営戦略を組み立てるところから始めるのが巧手といえます。次にその事業を戦略としてブラッシュアップしていくことで,ドラッカーの言うところの「持続的競争優位性を達成するためのポジショニングを構築」します。そして,各戦略を全体最適化させていくことでピラミッドを大きくしていくというシナリオこそが,高い視座で戦略ピラミッド全体をとらえた戦略シナリオだと言うことができるでしょう。
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