40歳。今思い出す母の言葉。LGBTトランスジェンダー鈴木優希
「男になっても病院のベットにいたら意味がないよ。」カミングアウトをして早く男になる為の治療がしたいと伝えた時、母が言った言葉。
ホルモン治療の副作用や手術によるリスクを考えての事だったと思う。当時のネットの情報は今よりも信憑性がないもの、ネガティブなものが多く、母の不安を煽ったのだろう。
僕の身体のことを考えての意見も、
その時の僕は、元気でも「女」のままいるなら意味がない。と反抗した。
母は、心が「男」でいれば良い。それは否定しない。と、簡単ではなかったと思うが「男」になりたいんだという気持ちは認めてくれた。
治療を焦る僕に、身体は鍛えて筋肉をつけることを勧め、健康な身体にメスや注射を打つことをとにかく嫌がった。
母の想いを無視して・・・
でも僕は聞かなかった。手術を重ね、今、「男」の戸籍となって暮らしている。仕事は名古屋錦でオナベバーVenusの経営とLGBTセミナー講師・LGBTの生活向上の為のオンラインサロンの活動をしている40歳、鈴木優希。
歳を取って、今あの時の母の言葉を思い出す。
僕よりも僕の事を思ってくれていたから、かけてくれた言葉だとわかった。
実際に僕は良く入院する。性別を変えたことが直接関係しているかはわからないが、入院して管に繋がれて、ぼんやりと天井を見上げている時。
いつも母を想う。
開かない病室の窓から外を眺めた時。こちら側とあちら側の世界が全く別のものに見えた。
戸籍を変えたことによって、病院でも
鈴木優希 男 で扱われるけど、身体は 普通の男ではない。
それは、身体を拭くとき、尿のカテーテルの時、お風呂の時、着替えの時、いちいち感じるし、伝えておかないといけない必須事項。
ここまでこの身体で生きていると、そんな事もう気にならなくなってきたけど、自分の身体がしんどい時は面倒だと思ってしまう。
親の言う事が絶対ではない。言いなりになるのも違う。自分の人生だから。
でも、親が言ってくれた言葉には一度立ち止まって考えてみて。人生の先輩として、そして命を懸けて生んでくれた存在として、自分なんかよりはるかに自分の事を考えてくれている。
じっくり考えてみて納得したら進めばいい。勢いや反抗心だけで突っ走ってはいけない。それは誰の為でもない、将来の自分の為に。
鈴木優希のセミナー活動、LGBTについてのコンテンツを掲載しているオフィシャルサイトも是非見て頂けたら幸いです。