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僕は性別を変えた。生まれた時は女だった。今は男の戸籍で生きている。物心ついた時から自分の性別に違和感があった。後に心と体の性別が違う性同一性障害と診断されてガイドラインに沿って治療を始めた。LGBTのTであるトランスジェンダー。42歳。

どこまでやる?やらない?

仕事柄かなり多くの当事者と会ってきたが、同じFTM(体は女・心は男)でも人それぞれ状態は違う。

1・何も治療してないけど自分らしく生きている人。
2・名前だけ改名して生活する人。
3・生理が来るのが嫌だからホルモン注射だけする人。
4・胸だけ取った人。
5・胸をとってホルモン治療をして外見を男に近づけて生活することでストレスが緩和される人。
6・外見だけではなく戸籍も男に変えたいと性別適合手術を受ける人。

本当にそれぞれ。

僕はここでいうと6番目に当たるが、この6番の中でもこれもまた内容はかなり特殊で、
子宮卵巣摘出手術から始めて、その後にホルモン治療、その後に改名、最後に胸を取るという極めて珍しい順番で戸籍変更に辿り着いた。

見た目にわからない部分から治療を始める人は初めてだと大阪医科大学付属病院のジェンダー外来の先生もおっしゃっていた。

今振り返ってみると、治療の中でも改名胸のふくらみをなくすオペで大きく性別違和によるストレスは軽減されたので、リスクとのバランスを取るとこの2つだけで良かったのかもしれないという気持ちもある。

要は何を求めるか。

性同一性障害の治療というのは、医療的なゴールは性別を変えることだと僕はとらえた。
心は変えられないから身体を心の性別に合わせるという、治療として出来る最大が性別適合手術という位置付け。

実際に僕はこの最終的な戸籍変更までやってみて、心が楽。
あんなに悩んでいた性別のことで悩んだりイヤな思いをする事は今となっては、ほぼ無く自分らしく生活が出来ている。結婚も出来る。
しかし、身体は更年期障害や多血症といった副作用に悩まされている。骨粗しょう症などこれからもそれは出てくるだろう。

納得できたところ=ゴール

「性別を変える」性同一性障害を抱えて生まれてきた人なら、誰もがしたいこと。ただし、それはとても人工的で、リスクを伴う。

だからこそ、持って生まれた障害は同じでも治療はみんな同じではない。

ゴールも同じではない。

どこで自分が楽になるか。納得できるかによって違う。
納得できた時がその人の治療のゴールだと僕は思う。

僕らが抱えたこの性別違和の問題は、親も巻き込むし、パートナーも巻き込んでしまうけど、要は自分がどうしたいか?どこで納得できるか?ということ。戸籍を変えるところまでは可能だけど、自分なりのゴールを見つければいい。

LGBTに理解が進んでいるこの世の中。出来ることは増える。やりたい事をやりやすい環境にあるけど、決して流されることなく、
リスクや費用、その後の人生を考えて、その都度悩み、覚悟を持って選択をして進んで欲しい。

ゴールも正解もみんな違っていい。

2022.7.19(火)LGBT社会人交流会「BRUSH UP」第10回無事終了。沢山のご参加ありがとうございました!

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