トランスジェンダーが性別の悩みを越えた時
僕はLGBTのTであるトランスジェンダー。女から男に戸籍を変えて生きるFTM。1980年生まれ 鈴木優希。
仕事は、地元名古屋の繁華街錦三丁目で同じLGBT当事者を主に雇用したオナベバーVenusビーナスとレズビアンバーWダブルを経営している。
物心ついてから、僕の悩みはずっと性別のことだった。体は女。心は男。この性別違和にかなり長い間苦しむ事になる。
一番深く悩んだのは多感な高校時代だった。周りと違う焦りと将来への不安で押しつぶされた。高校を辞めて荒れた暮らしで紛らわした日々も何の解決にもならず、ややこしくなるばかり。
カミングアウトも出来なかった僕のこの毎日に家族は理解に苦しみ悩んだことだろう。
今だと、そんな周りの人たちの気持ちも考えられるけど、当時の僕にその余裕は無かった。
性別違和の悩みを越えたタイミング
そんな僕が「性別違和」の悩みから抜けられたのは、周りの理解と治療からだった。
高校を辞めて通信高校を経て入学した美容専門学校で初めてできた「彼女」という存在がまず自分を救ってくれた。それから少しずつ強くなった僕は一番の難関だった「家族へのカミングアウト」をすることが出来た。
それはとても大きな出来事だったが、その時はまだ「将来の不安」と闘う味方が増えた。肝心な部分の解決と言うよりは、そんな気持ちだったように思う。
とにかく、それほどまでに将来への不安が大きかった。
こんな僕に何が出来る?男として就職?男社会大丈夫かな?力仕事?務まる?
でも、女の制服は着たくない。女扱いされたくない!
髪型も服装も縛りがないというそれだけで選んだ美容師という職業も、ただそこで選んだのみで仕事に対して情熱を持って向かうことが出来なかった。
自分のやりたい事は何だろう。
自分に出来ることは何だろう。
性同一性障害で生まれてきたことが「マイナス」になる事がどうしても嫌だった。そんな気持ちが強すぎて、より自分と向き合う事をせずに自らを追い込んでいたのかもしれない。
自分らしく生きる場所
これは僕の経営するオナベバーVenusとレズビアンバーWの求人広告のキャッチコピー。
僕はずっと探していた。でも見つからなかった。
だったら、僕の作ったこの空間が同じ当事者の人たちにとってそうなれればいいなと思っている。
ただし当たり前に人間関係もあるし、ボランティアではないからお客様への接客スキルも求められる。綺麗事とは程遠い厳しい世界だとも思う。
ただ、僕たちは僕たちの好きな服を着て、呼ばれたい名前で働ける場所。それは確実にここに「存在」する。
一番の魅力はぼくがずっとこだわっていた性同一性障害、性別違和が「マイナス」ではなく売りになる=プラスとなるということだ。
これは僕の精神安定になった。
Venusのスタッフの中には「来世もまたオナベに生まれたい!」なんて言ってるハッピーオナベもいる(笑)
考え方は人それぞれに、性格があるけれど、当事者のみんなには「自分らしく」生きて欲しいと強く思う。
年齢、環境、家族などなど様々な障害があるかもしれないけれど、どうか自分の人生を生きて欲しい。
あんなに悩み、消えたかった暗闇に長く居たのに、今では「産んでくれてありがとう」心からそう思える瞬間がある。
生きよう!自分の人生を。誰に遠慮することもない。
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