2021年の振り返りー長い長いロックダウン、旅と出会いとドイツ
年末なので、振り返りを書いてみたいと思います。今年はあっという間に過ぎ去ってしまったのですが、毎年同様、今年初めの時点ではまったく想像していなかった変化の数々を経験することになりました。
長い長いロックダウンの冬
振り返ると、今年初めの時点では、ドイツはまだ厳しいロックダウンの中にあって、多くの飲食店や小売店は閉店を余儀なくされていました。気軽に友人とも会えるような状況ではなく、厳しい規制は何度も何度も延長され、なんと5月の中旬まで続くことになりました。2020年の11月から始まったそのロックダウンは結局7ヶ月近くも続いたわけです。その間、仕事以外の時間に私は何をやっていたかというと、ひたすらケーキを焼いたり、新しいレシピに挑戦したり、近所の散歩道を開拓したりと、家か近所で楽しめることをやっていました。
独り身かつ一人暮らしだったので、本当にソーシャルコンタクトは少なかったです。ソーシャルコンタクトも移動距離も少ないと、刺激がなくて、新しいことに対する興味もあまりわきませんでした。旅をしたい、新しい人に会いたい、話したいと思ってもそれができない環境だったので、かなり自分の興味や好奇心が抑えられてしまったと思います。とにかく冬が明けるのを待つ、冬眠中の動物のようでした。
長い冬が明けて、再び外へ
そんな長く静かなロックダウンが明けたのが5月の中旬頃。ちょうど、現職のスタートアップでのエンジニアの仕事が決まった頃で、仕事が始まるまでの2週間ほど休暇を取れることになりました。久しくベルリンを出ていなかったので、いち早く州外からの客の宿泊を解禁したニーダーザクセン州のゴスラーに友人と遊びに行くことにしました。久々にレストランで飲んだビール、そして外食と宿泊、、すべてが新鮮で感動しました。笑
7か月も我慢したあと、ベルリン外の素敵な町のレストランで友人とリラックスしながら飲んだビールは本当に最高でした。旅ができること、友人と気軽に会って食事をすること、コロナ前は当たり前だった日常がコロナ禍ですっかり貴重な機会となりました。今もまだ色々な制限が課されている日々ですが、いつか完全通常モードに戻ったあとも、日々のささやかな幸せを忘れないようにしたいなあと改めて思いました。
そして、半年強のロックダウンを経て、近隣地域以外のベルリンにも再び足を運ぶようになって、改めてベルリンという都市の変化を新鮮に感じられるようにもなりました。いつの間にか自転車道が増えていたり、長らく大工事中だった目抜き通りのウンターデンリンデンの工事が終わって、新しい地下鉄の駅が出来ていたり。
新しい仕事でリモートワーク、新たな関係性と言語環境
さて、今年の後半からはベルリンのスタートアップで、フルタイムの社員のフルスタックエンジニアとして働き始めました。理想に近い会社サイズ、プロジェクト、カルチャーの中で仕事をする機会を得て、大張り切りで始めたわけですが、特に最初の2−3ヶ月は慣れるのに結構苦労しました。新しい言語(といってもTypeScriptですが)、環境、アーキテクチャ、そして任される範囲と理解しなければならないビジネスロジックの広さに圧倒されて、なかなか思うように貢献できませんでした。でも助かったのは、周囲のメンバーや上司がすごく良い人たちが多かったことで、建設的なフィードバックやアドバイスをもらいながら、徐々に慣れていくことができました。半年間の試用期間もなんとか無事に終えて、今も楽しく仕事を続けられています。
ほぼリモートでオンボーディング、オフィスに行くのは月に2、3回程度
ちなみに仕事は、ここ半年間はほぼ在宅で行いました。オフィスに行くのは月に2、3回程度。今の勤務先では、リモートワークかオフィスで仕事するかは個々の社員に委ねられており、リモートワークを好むメンバーが多いテックチームは、よりリモートになる傾向にありました。また、テックチームのみ、ドイツ国外からでも仕事を働くことが許されており、実際テックチームの管理職は全員ドイツ国外に在住しています。イギリス、シチリア、ケニア、ネパール、、と同僚の拠点は実に多様ですが、日々のスタンドアップも含めて毎日オンラインで顔を合わせますし、チームの雰囲気も和やかでとても良い感じでチームワークが機能していたように思います。
オフィスワークとリモートワーク両方のメリット・デメリットをがっつり体感しつつ、今後特にデジタルな職種においてはリモートワークの比重が増える傾向は全体的に避けられないのではと思うようになりました。私のシチリア在住の同僚は、なんと社会人になってから今までの10年弱、リモートでしか働いたことがないのだそうです。一度、ロンドンの会社からオファーをもらった際にロンドンに引っ越すことも検討したそうですが、シチリアとロンドンの物価差を考えると同じ給料でロンドンに住むことが馬鹿らしく感じてしまったのだそう。彼とはまだ対面で会ったことはないですが、たまに「オンラインコーヒータイム」でおしゃべりしながら、同僚としての関係性を深めてます。
新しい仕事、言語環境による疲れ
また、仕事がより大変に感じられた背景には、今のパートナーとの関係性もこの頃にスタートし、生活が大きく変化したということがあります。私とパートナーは、今年の後半、多くの時間を共に過ごしたわけですが、それまではコロナの影響もあって多くの時間を一人でマイペースに過ごしていた生活のリズムが大きく変化することになりました。彼も私もいわゆるドイツの「ワークライフバランス」を重視した働き方をしていて、夕方6時までには仕事を終えて、その後は料理したり散歩したりと、側から見るとかなり時間に余裕のあるリズムで暮らしていたと思うのですが、それまで完全に自分のペースを築き上げていた私にとってはそんな変化にすら疲れてしまうこともあったのでした。
さらに、彼とは日本語とドイツ語を半々で会話しており、突然、私の生活におけるドイツ語比率がぐっと高まりました。ドイツ語をもっと使いたかった私にとってはある意味チャンスなわけですが、その分、さらにドイツ語を頑張らなければならなくなり、楽しさ半分大変さ半分という感じでした。この仕事と私生活の新しい変化があまりに大きすぎて、心身共に疲れてしまった時期も数週間ほどあったのですが、最近はその変化にも慣れつつ、新しいチャレンジを楽しめる余裕も出てきました。
経験を共有する楽しさ
それにしても、ドイツに来てから今まで、仲の良い友人や同僚と会ったりする以外は一人で過ごすことが長かった私にとって、今年、彼と多くの経験を共有できたことはパートナーシップの面白さを認識するきっかけになりました。同じものを観る、作る、食べる、学ぶにしても、その感想や感じ方が異なるので、一つのことを二倍楽しめるような感覚が得られたり、自分の思うことを率直に伝える相手がいることで、より自分のことを知れるような感じになれたり、、最近は一人の時間を楽しむことにすっかり慣れた気になっていましたが、二人で楽しむことももっと楽しいのかもと思いました。
「ドイツ」を学ぶ、経験する
そして今年は、パートナーを通して、これまであまり深く経験することのなかった「ドイツ」により触れることになりました。
多様な国籍、バックグラウンドの人々が世界中から集まるベルリンにここ9年ほど住んできた私は、仕事で使う言語も今まで英語か日本語だけでしたし、仲良くなる人達もインターナショナルで、ドイツ人と仲良くなっても若いドイツ人は英語が流暢なことが多いので英語で話していました。ここ1、2年は意識してドイツ語のニュースやポッドキャストを聴いたり、ドキュメンタリーを観るようにもしていましたが。
しかし、今のパートナーとは英語を一切使わず、お互いの言語で話すようにしているので、自然とドイツ語を聴く、話す機会は増えましたし、ドイツで生まれ育った彼と彼の家族のコミュニケーションを通じて、ドイツ文化と社会に触れることも増えました。もちろん、「ドイツ」の中にも民族的多様性、地域差、家庭環境の違いなど多々の違いがあり、色々なファクターが個々人を形作っているわけですが、それでも私がこれまであまり縁のなかったローカルな部分に少し触れることができたなあというのが今年の実感です。
と、こんな感じで2021年を振り返ってみると変化が満載で、その分本当にあっという間に過ぎてしまった感じがします。
来年の抱負は、さらにドイツ語を伸ばすこと、エンジニア力をつけること、筋肉と体力をよりつけることです!
来年がどんな年になるのかまったく予測がつきませんが、コロナが落ち着いて日本に帰国できることも夢見ています。
年末年始、どうか多くの方が穏やかに過ごせますように。
🌟Guten Rutsch ins neue Jahr! 🌟