シェイクスピアのグローブ座で「ヘンリー5世」を。
あなたは劇場にお芝居を見に行くことはありますか?
1997年に英国に滞在していた時、
ある記念すべき機会に
お芝居を見に行きました。
というのも、
1997年にはある有名な劇場が再建され、
そのこけら落とし公演を見に行ったのです。
その劇場は
「シェイクスピアズ・グローブ
(Shakespeare's Globe、
「シェイクスピアのグローブ座」
の意味)。
英国初の劇場となるいくつかの劇場は、
チューダー朝(1485年 - 1603年)
に建設されました。
ロンドンの代表的な劇場の一つ、
グローブ座は1599年に建設されます。
座付きの劇作家、
ウィリアム・シェイクスピアのお芝居が
この劇場で上演され、
「シェイクスピアはグローブ座を
英国でいちばん有名な劇場にした」
とも言われています。
この劇場は1613年に火災で焼けてしまい、
翌年2代目のグローブ座が再建されますが、
清教徒革命の中、2代目の劇場も
1644年に取り壊されてしまいます。
その後、最初のグローブ座が建設されてから
約400年後、1997年6月12日に
ロンドンにグローブ座が再建されたのです。
再建にあたっては、
1代目・2代目の劇場について
学術的に考証し、
できる限り過去に存在したグローブ座に忠実に、
16世紀の建築方法で建築されました。
(テムズ川河畔に立っていますが、
元の場所からは230メートルくらい
離れたところにあります。)
こけら落とし公演の演目は
「ヘンリー5世」。
わたしはオープンから1ヶ月以上経ってから
ふらっとお芝居を見に行ったのですが、
当然のことながらチケットは売り切れで
ようやくチケットが取れたのは
8月になってからでした。
わたしにとってありがたかったのは
「ヘンリー5世」が
学生時代に英文学の授業でも
取り上げられていたので
内容を一通り理解した作品だったこと。
しかも、大学の英国人の先生から
1989年の英国映画
「ヘンリー5世」がとてもいいと勧められ、
ケネス・ブラナーが主演だけでなく
初監督も務めたこの映画も
しっかり見ていたのです。
この円形の劇場の座席は
1階の土間の立ち見席、
2−3階の桟敷席(椅子あり)のほか、
舞台の2階の両端にある場所は
「君主の場所」と呼ばれ、
名前の通り、君主や貴婦人専用の席でした。
この劇場は
自然光を取り入れるために
真ん中の部分の天井がないので
雨の時は1階の立ち見席の観客は
大変かもしれません。
でも、実際にこの立ち見席で
お芝居を見てみると
美しい天井がも見えますし、
役者さんとの距離も、
間違いなく近く、俳優さんから
「さあ、これから船に乗って
海を渡るんだ」
などと話しかけられると、
本当にその気になるのです。
よく「舞台と観客が一体になって」
などと言いますが、言葉通りに
まるで舞台に上がって
物語が進んでいるところに
自分も参加しているような
錯覚を起こしそうでした。
また、役者さんたちの衣装も
シェイクスピアの時代のものが
忠実に再現されていたのです。
シェイクスピアの時代の様式で作られた
この劇場で、
「当時の人たちも、
こうやって拍手したり、
音楽を楽しんだりしながら
このお芝居を見ていたのかな」
と思いつつ、お芝居を見ていると
なんとも感慨深いものがありました。
英国も今は深刻なコロナ禍にあり、
このグローブ座もオンラインで
ワークショップなどを行なっていますが
やはり大打撃を被っているようで
寄付を募っています。
コロナのことを気にせず
あの場でお芝居を楽しめる日が
できるだけ早く、
戻ってきますように。
今回も最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。
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読んでくださった方から
「様々な人との出会いの中で
しっかりと歴史を伝えて下さり。
確かにイギリスで暮らして居る日本の方々は
周りからどんな風に写るのか?とか、階級の話とか。
色々感じてしまいました。
次回作が益々楽しみ」
と、嬉しい感想をいただきました。
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