版画とは思えない豊かな魅力 「瞳に映るファンファーレ」
早くも1月も半ばを過ぎ、阪神淡路大震災から28年が経ちましたね。
わたしは神戸に住んでいた時期もあるので、この日になると周りの方から「あの日」の話を毎年聞いていました。
ですから、1月17日になると、やはりいろいろな方から聞いた「あの日」のことを思い出します。
さて、先日、持っていた「ぐるっとパス」の期限が間も無く切れることに気づき、「ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション」に気になっていた版画の展覧会を見に行きました。
今回の展示は「瞳に映るファンファーレ浜口陽三の銅版画と川瀬巴水をはじめとした新版画」。
「新版画」とは、展覧会ちらしによると
「浮世絵の伝統を汲みつつ、近代日本の絵画の美意識を盛り込み、明治大正、昭和初期まで発達を遂げた木版画。
絵師、彫師、摺師の分業によって制作された、その時代の『新しい版画』」
とのこと。
ちなみに、今回展示されている新版画作品は
「一人のコレクターの目を通して蒐められた鏑木清方門下を中心とした画家の手による、静かで気品溢れる作品。」
(こちらも展覧会ちらしより)
中でも楽しみにしていたのは、先月町田の版画美術館で1作品だけ見た川瀬巴水の作品を数点まとめて見られることでした。
版画は原画だけでなく、彫りの技術も刷りの技術もあって完成されているので、関わった全ての方の技の結晶だと思うのですが、彼の作品はど素人でも
「版画がこんなに表情豊かな色合いだなんて…」
と見とれてしまうのです。
どれだけ色を重ねているんだろう。
何回刷っているんだろう。
彼の作品以外にも、伊東深水の「秋晴」の着物姿の女性の着物の柄はもちろん、微妙に色合いを変える空や、除霊を取り囲む植物の表現。
高橋松亭の「雪晴」の雪の表情。
「これが版画だなんて」
と何度もなんども思いながら、手で彩色したとしか思えないような微妙で豊かな色合いの表現を楽しみました。
また、こちらは「ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション」なので、浜口陽三作品も、もちろん合わせて展示されています。
しんとした黒い背景に浮かび上がる赤いさくらんぼや赤いスイカの美しさ。
以前も見たのですが、やはりそのコントラストに惹かれました。
そして、展示の後のお楽しみはこちらの特製アイスクリーム。
浜口陽三は「ヤマサ醤油」の10代目社長の三男であり、この美術館はヤマサ醤油の倉庫だったスペ-スが改装されたところなので、ここではヤマサ醤油の黒蜜風醤油を混ぜ込んだアイスクリームと季節のアイスの組み合わせを(つまり特製アイス2種)をいただくことができるのです。
以前来た時は醤油アイスとごまアイスの組み合わせでしたが、今回は醤油アイスと栗のアイス。
今回もびっくりするほどの美味しさでした。
なお、今回の展示は1月29日までなので、気になる方はお早めに。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
*アイスクリームの写真以外は全て展覧会ちらしのものです。