チーズ、サンドイッチ
へいにゃんと電話した。
彼の口から出る詩を浴びたい気分だったので。
俺は流星群かよって言われた。
そうゆうのそうゆうの!です。
へいにゃんとは昔ヴィレッジを
共に生き抜いた同志であり
大学も一緒だった。
私は中退したし
へいにゃんは8年間(6年間だったかも)
大学生してたけど。
へいにゃんは就活はせずに写真家になって
今日まで至る。
私はへいにゃんに
「ゆきこはアートでしか生きられないのに」
ってずっと言われてて、
そんな訳あるかと思いながら
ずっと社会に馴染むという間違っている(ような気がする)努力を続けてきた。
十数年の時を経て、
その言葉が染み渡るようになってきた。
へいにゃんは私のことを
顔がかわいいっていっぱい言ってくれる。
ナイスな性格とも言ってくれる。
ゆきこは普通だよって言ってくれる。
一緒に色んな遊びをしてくれる。
この間は夜の公園で一緒に
ペットボトルのお水を飲んでて
へいにゃんが空になったペットボトルを
光に翳して綺麗だねって言うから
ちょっと見せてって言ったら
「お前はお前の光を探せよ」
と言ってきた、すき。
なので2人で夜の繁華街を
光探しの探索に出た。
途中へいにゃんがドン・キホーテに行って
なかなか帰ってこなくなった。
その間私はずっと「don't touch me!!」と書かれたTシャツを着た大学生にナンパされて
困り果てたのでもう帰ろうかとしていた。
するとへいにゃんが「すまん待たせたな、これゆきこにプレゼント」
と言って水色のライター(使いかけ)をくれた。
「まじで帰ろうとしてた。このライターどうしたの?」
と聞くと経緯を説明してくれた。
ドンキのトイレを借りたんだけど
手を洗うところに綺麗な水色のライターが置いてあった。
他の色だと拾わなかったけど、綺麗な水色だったので
愛煙家のゆきこにプレゼントしようと思ってくれた。
それでちゃんと火がつくか試してみたら
火災報知器が鳴り響いた。
店員さんにこっぴどく怒られた。
だったらしい。
へいにゃん、水色好きだもんね。
かわいい。理由がかわいいので全然許した。
へいにゃんが撮る私がいちばん可愛いかもしれない。
へいにゃんは写真家なので
素敵な景色がないがずっと探しながら歩いてる。年中サンダルで。
ゆっくり歩くし、後ろ歩きもする。
前から見た景色と後ろから見た景色は違うかららしい。
普通なら5分で歩ける距離を
15分位、なんなら20分位かけて歩いてる。
へいにゃんの目に映る世界をちょっと
体験できたみたいな気持ちになって楽しいので
へいにゃんと歩くの、だいすき。
へいにゃんもだいすき。
終わり(全てが)