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なんのために子どもに英語を教えるのか。
こんにちは。Little Readers Clubという屋号で活動しているユウキと申します(法人登記準備中)。
英語圏で広く実施される「ガイデッド・リーディング(Guided Reading)」という、絵本を使った英語のリーディングの指導法を日本での教育に取り入れるべく活動を行っています。
「ガイデッド・リーディング(Guided Reading)」についてはいずれ記事にしますが、今回はまず「なぜ子どもたちに英語を教えるのか」という点について、私なりの考えをお伝えしたいと思います。
日本の子どもたちに英語は必要なのか?
この質問に「いいえ」と答える人はもはや少数派でしょう。もちろん、少数だから悪いと言っている訳ではありません。英語を能力として身に付けさせたい場合、求める英語レベルによっては大人から本格学習をスタートしても十分です。
正直、仕事で支障なく使えるという程度のレベル(TOEIC 860~、Proficiency ScaleでNon-nativeとして十分なコミュニケーションができるというレベル )であれば、子ども本人が興味を示さないのであれば無理やり幼少期に英語を習わせる必要は全くないと思っています(このあたりの点についても別記事にできればと思います)。
しかし、私は「多様な価値観や出来事に触れ、自分なりの考えを醸成する」という観点で、幼少期から英語を学ぶことはとても大切だと感じています。そしてこの点が、私が英語絵本を使った「ガイデッド・リーディング(Guided Reading)」を広めていきたいと思っている背景です。
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フォローしながら、丁寧に指導していきます。
「多様な価値観や出来事に触れ、自分なりの考えを醸成する」とは
私はたまたまイギリスへ転勤することとなり、娘を3歳から6歳までイギリスで育てました。その時に、娘は日本では中々経験できない多様性に触れました。イギリスは初等教育のスタートが日本より1年半ほど早いのですが、小学校でアフリカの男の子と同じクラスになったことから、アフリカや黒人の歴史に関する理解を深めたり、また別の子がイスラエル出身のユダヤ人だったことから、今パレスチナやガザで起こっていることや、アンネ・フランクの家を訪れて世界大戦中にユダヤ人が迫害されたことなどに触れました。
勿論、6歳児には難しくてとても理解できません。しかし、「何か大変なことが起こったようだ」「その大変なことのために苦しんだ人がいる/いたようだ」「同じことは繰り返してはいけない」というようなことは、十分伝わります。
そして、娘はそれがクラスの子に(非常に間接的にはありますが)リンクするため、「何故起こったのか」「繰り返さないためにはどうすればよいのか」ということについて、実体験として、自分なりの考えを持つようになりました。
上記のようなことは、日本で/日本語で行うこともできます。アパルトヘイトは日本でも社会の授業で習いますし、アンネ・フランクの伝記はマンガも多数販売されています。しかし、世界をざっくり「母国とそれ以外」に分けたときに、英語を理解できれば「それ以外=自分には関係のない、対岸で起こったこと」を「自分ごと」として捉えることができるようになります。そして、多様な価値観や出来事を「自分ごと」と捉えることができれば、その背景や自分には何ができるのか?ということについて、考えを巡らせるようになります。非日常を自分の日常に取り込んで、自分なりの考えを醸成するために、英語は非常に重要なツールとなります。
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「自分なりの考えを醸成すること」がなぜ大切なのか
私が子ども時代を過ごした30年前とは、比較にならないくらい「生きづらい」時代だと感じます。私自身は今現時点で生きづらさを感じていませんが、他者、特に自分より若い方を見ていてとてもそう思います。低経済成長、広がる格差、情報過多・・・理由は色々あるのだと思いますが、価値観の変化に対する抵抗感や、速すぎる時代の変化への疲弊という点もあるような気がします。もしそうだとしたら、今後もどんどん生きづらくなっていくのかもしれない。そんな時に、子どもたちが自分なりの考えを醸成できていれば、生きづらい世の中で少しでも生きていきやすくなるのではないかと思っています。
多様な価値観に触れることは、他者に対する許容を生みます。「そんな考え方、信じられない!」と拒絶するのではなく「そういう考え方もあるのね」と受け入れる。その考えが生み出された背景に思考を巡らせてみる。「私自身はこう思うんだけど」と相手に自分の意見を伝える。自分の意見があるということは、相手には相手の意見があり、その根拠となる体験があるということの理解につながります。そして、一人ひとりが他者を許容できるようになれば、自分自身も自分の志向にがんじ絡めになることなく、生きやすくなっていくし、そういう人が増えれば世の中自体も少しずつ生きやすい方向に変わっていくと思うのです。
子どもたちが大きくなるころには、価値観はますます多様化していることでしょう。従い、子どもたちが少しでも生きていきやすくなるために、「自分なりの考えを醸成すること」から、他者や環境に対する柔軟性(レジリエンス)を獲得することが重要になると思っています。
英語絵本を使った「ガイデッド・リーディング(Guided Reading)」とは
英語絵本を用いた「ガイデッド・リーディング(Guided Reading)」は、ただ本を読み聞かせることではありません。
いうなれば、絵本を用いた英語✖総合学習です。先生が主導し、子どもたちと共に丁寧に読み解いていくことで、子どもたちは英語が読めるようになるだけでなく、読解力、批判的思考力、想像力、創造力、分析力、、様々な力を身につけていきます。
何より、英語絵本を用いた学習により、日本の絵本にはない題材、ストーリー展開、イラストレーションから、多様な価値観に触れることができます。私の娘がイギリス現地で得たような実体験は、すべての子どもが得ることは難しいかもしれませんが、絵本であればすぐに手にとることができます。絵本を読んでただ「面白かった」で終わらせるのではなく、内容を深く(絵本が書かれた当時の時代背景や作者/イラストレーターの意図などまで)理解することや、先生とのインタラクティブなやり取りや通じて、子どもは自分なりの考えを持つようになっていきます。
おわりに
超長文となりましたが、ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
私は冒頭に記載したように、この「ガイデッド・リーディング(Guided Reading)」を日本の教育現場へ導入する活動をしています。教育関係の方はもちろん、ご自宅で英語絵本を活用しておうち英語を実践されている方等にもぜひ学んでいただきたいです。今後この「ガイデッド・リーディング(Guided Reading)」を含めて、私なりに考える英語教育について、記事にしていきたいと思います。