流行中?の「ダイアロジック・リーディング」と「ガイデット・リーディング」は何が違う?
こんにちは。Little Readers Clubのユウキです。英語圏で広く実施されている「ガイデッド・リーディング(Guided Reading)」という絵本を使った英語のリーディングの指導法を日本に広める活動をしています。
英語教育に携わる方や、おうち英語を実践している方は、「ダイアロジック・リーディング」という手法について、聞いたことがあるかもしれません。2020年―21年頃に、本が出たりたまひよで取り上げられたりして、日本で一躍有名になったようです。この方法は、子どもたちと本を通じて対話(ダイアローグ Dialogue)しながら読み進める素晴らしいアプローチです。
では、私が勧める「ガイデッド・リーディング」とは何が違うのか?
今日はそのあたりのお話が出来れば思います。
ダイアロジック・リーディングの魅力
ダイアロジック・リーディングは、子どもたちの言語発達を促進し、本への興味を深める素晴らしいアプローチです。絵本を読みながら、「これは何かな?」「次に何が起こると思う?」といった質問を投げかけ、子どもたちの反応を引き出していきます。
上記のPromptには、更にCROWDという発言の促し方があるようです。気になる方は上の出展リンクを参考になさってください。
ガイデット・リーディングとはどう違う?
まず、ガイデッド・リーディングとは、目的が異なります。ガイデッド・リーディングとは、子どもたち一人ひとりがIndependent Readerになるものを目指すものです。
「ダイアロジック・リーディング」は、要素としては、私が勧める「ガイデッド・リーディング」の一部分です。
以下の図が分かりやすい・・・ようで分かりにくいかもしれませんが、Simple View of Reading という考え方によれば、リーディングにはざっくり2つのコンポーネントがあります。
①文字と音を認識すること(Decodingと表現している場合もあります)。即ち、A. P. P. L. Eと記載されていれば、これがapple ˈæplと発音されるということが分かるということ。フォニックスと呼ばれ、音と文字の関係を理解することです。
② 言葉を理解すること。即ち、appleと読んだり、聞いたりすれば、りんごのことを言っていると分かるということ。
上記フォーミュラで注目していただきたいのは、①と②は足し算ではなく、掛け算であるということ。つまり、①か②かのどちらか1つが欠けてしまう(0の状態)では、読解(Reading Comprehension)できない、ということです。音と文字の関係が認識できないと文字が読めるようになりませんし、文字が読めてもその意味が分からないと内容が理解できません。
ガイデッド・リーディングでは、上記の①②のどちらにもアプローチします。正確な発音はフォニックスの専門家のサポートも必要ですが、1つの本を何回も読むことで、まずは「文字が読める」ようになり、そのあと「本が読める(=内容の深部まで読解できる)」というところまで、確かなリーディング・スキルを身につけていきます。
その過程で、Prior Knowledge(子ども自身の経験則)とリンクすること、本の内容をインタラクティブに質問すること、本の内容を要約するワークを行うこと、読んだ後にEnrichment Programを行うこと、グループの他の子どもたちと議論すること、、などなどを含みます。
これに対して、ダイアロジック・リーディングは、②に主にアプローチするもの。子どもたちが文章をより深いレベルで探求できるよう質問をします。これにより、新しい単語を学習したり、ストーリーを分析したり、テキストについて話し合うことで、語彙力、分析力、伝える力などを伸ばします。
おわりに
読み聞かせの仕方や、リーディングにどういう指導をしていくのが適切なのかは、きっと相対するお子さんの数だけあるのだと思います。従い、何が正解とかどちらが優れているというものではありません。
ただし、ご家庭でやるなら、ガイデッド・リーディングをフルでやるのは、かなり重いです。。。その意味では、ダイアロジック・リーディングのほうが多少取り掛かりやすい。読み聞かせを「静かに聞いてね」で終わらせずに、効果的な質問をして、発話や思考を促すというのは、お子さんの知的好奇心を刺激するためにとても良い取り組みだと思います。
(もちろん、親御さんもお子さんもストレスにならずに楽しめる範囲で、です!)
私は、上記に加えて、同じ年の子どもたちがどういう意見を言うかを見て、話し合うことも子どもたちの発達のために重要だと思っているため、この読み方を教育機関(保育園、幼稚園、小学校など)でこそ取り入れてほしいなと、活動しています。
もし少しでもご興味のある方いらっしゃったら、一緒に活動していきましょう!