旅の音楽・喜びの島【クラシックピアノを聴いて感性を磨く】
こんにちは!yukiです。
今日は、
「クラシックピアノを聴いて感性を磨く」
シリーズの15回目。
クラシックに馴染みのない方も、
気軽に楽しめるように書いていきます!
今回のテーマは、
旅の音楽です。
ご紹介するのは、
ドビュッシー作曲の「喜びの島」。
ドビュッシーの作品の中でも、
抜群の人気を誇ります。
長い船旅の果てに、
夢の叶う島に到着する…
そんな情景が浮かんでくるような曲。
楽しんでいただけますように!
【この企画への想いはこちらに綴っています】
喜びの島
それでは、
さっそく聴いてみましょう!
ドビュッシー作曲、
「喜びの島」です。
少し不思議な部分もありますが、
不安定さや緊張感は伏線であり、
最後に全て回収されます。
6分ちょっとの曲なので、
ぜひぜひ最後までどうぞ!
陰影、そしてまばゆい光。
コントラストが鮮烈な曲ですね!
冒頭のトリルは、
何かの呼びかけのようにも感じます。
旅立ちへの誘いとでもいいましょうか…
キラキラと海に反射する光、
青く広がる大海原、
嵐をこえた先で爆発する歓喜。
5分ちょっとの短い曲に、よくぞまあ、
これだけ濃い内容を詰め込めたなあ...
と驚いてしまいます。
同じメロディーが何度も出てきますが、
後半は拍や速度指示が変わり、
スピード感を増していく。
クライマックスの直前、
たたみかけるような下降音階からつづく
不気味な低音の部分は、
何度聴いても背筋がぞくぞくしてしまいます。
低音からせり上がりながら、
転調して色を変えていき、
響き渡るファンファーレ!
なんて輝かしいんでしょう。
期待が最大まで膨らんだところで、
爆発的なフィナーレに入るのです。
ここまで外向きで派手に仕上げるなんて、
ドビュッシーにしては珍しいですね。
テクニックをつめ込んだ作品
「何て弾くのが難しいのでしょう!
この作品は、ピアノテクニックの
集大成であるように思われます」
これは、作曲者である
ドビュッシー自身の言葉です。
自画自賛感がすごいですね…笑
しかしドビュッシー自身も、
ピアノの生徒さんに
「先生、喜びの島を聴かせてほしいです」
と頼まれて、
「だめだ、この曲は私には難しすぎる」
と答えたというエピソードもあります。
現代だと、
“中上級レベル”といったところ。
いろいろな種類のテクニックが
少しずつ散りばめられていて、
身体的にも精神的にも幅広い能力が求められます。
「恋しちゃってルンルン」
「のだめカンタービレ」だと、
この曲は、
“恋しちゃってルンルンな曲”
といわれてました笑
「喜びの島」は、
画家・ワトーの「シテール島の巡礼」から
インスピレーションを得たと言われています。
シテール島は、
いわば“縁結びの島”です。
古代ギリシャ神話の愛の神ヴィーナスが、
海で生まれた後に、上陸したとされています。
そのため、“行けば愛が成就する島”として、
長らく西欧人を惹きつけてきたのです。
さて、ドビュッシーに話を戻しますが、
「喜びの島」を発表したころ、
彼はなんと不倫旅行をしていました。
奥さんを実家に帰し、
不倫相手(人妻)と
島へ駆け落ちしたのです。
「喜びの島」が
ドビュッシーには珍しいほど派手なのも、
なんだか心境が伺えるようです苦笑
そう聞くと、溢れ出る歓喜が
ちょっと不謹慎に思えてきますね汗
ただ、
不倫相手と出会った頃には
作品はすでに完成していた、
という研究もあります。
「喜びの島」で描かれる冒険は、
現実的な旅であるかもしれないし、
“愛の成就”という心の旅かもしれません。
いかがわしいエピソードがあれど、
作品自体が魅力にあふれているので、
僕は一周回って好きです笑
原曲はピアノですが、
オーケストラ編曲もされています。
オーケストラの色彩感もまた素敵ですよ。
最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。
それでは、今日も良い1日を!
(今回のカバー写真は、
世界最南端の街がある島、
パタゴニアのフエゴ島でした!)
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