水の音楽・きらめく水しぶき【クラシックピアノを聴いて感性を磨く】
こんにちは、yukiです。
今日は、
「クラシックピアノを聴いて感性を磨く」
シリーズの2回目です。
クラシックに馴染みのない方も、
気軽に楽しめるように書いています!
今回取り上げるのは、
フランスの音楽家・セブラック作曲の、
「日向で水浴びする女たち」。
南フランスの眩しい光の中で、
きらきら輝く水しぶきが
目に浮かぶような、
明るく楽しい作品です。
楽しんでいただけますように!
【この企画への想いはこちらに綴っています】
日向で水浴びする女たち
さっそく、演奏動画を
紹介したいと思います。
セブラック作曲、
「日向で水浴びする女たち」
です。
リズミカルで、
何とも楽しい曲ですね!
音楽と一緒に、
晴れやかな笑い声まで
聞こえてきそうです。
僕はこの曲を聴いているとき、
水のイメージと一緒に、
光が目に浮かんできます。
眩しい直線的な光、
薄雲を通したような光、
きらきらと乱反射する光、
すこし哀愁のある柔らかい光、
などなど。
明るいと思ったら
突然ちょっとくすんだり…
気まぐれだけど、
ちゃんとまとまっている。
あまり有名じゃないのが
不思議なくらい、
素敵な曲だと思います。
田舎の作曲家
南フランスと聞くと、
どんなイメージが
思い浮かびますか?
僕は、
地中海の陽光に照らされた
石造りの町並みや、
どこまでも続くブドウ畑が
目に浮かんできます。
(行ったことないのですが笑)
セブラックは南仏で生まれ育ち、
その生涯のほとんどを
南仏で過ごしました。
彼が生きたのは、
前回の記事で取り上げた
ドビュッシーと同時代。
しかしセブラックは、
芸術家で賑わうパリを
好まなかったようです。
彼は、
自然を愛し、
田舎の暮らしを愛し、
耕す人を愛したのでした。
「私は“田舎の音楽家”なんだ」
と言って、
そのことに誇りを
もっていたようです。
僕なんかは、
もうそれだけで
「セブラックかっこいい!」
と思ってしまう笑
実際、
セブラックのピアノ組曲は、
民俗生活の情景を
イメージの源泉にしたものが多いです。
例えば、
次のような
タイトルの作品があります。
《大地の歌》
「刈り入れ時」《ラングドック地方にて》
「牧場における乗馬」《セルダーニャ》
「村のヴァイオリン弾きと落穂拾いの女たち」
見るからに田舎風ですね!
ちなみにセルダーニャとは、
スペインとの国境あたりの
地域の名前です。
都会に住むドビュッシーは、
セブラックの音楽に対して
次のように言っていたそう。
「セブラックの音楽は、
とても素敵な香りがする。」
大地の香り、ですかねえ。
セブラック自身も、
ドビュッシーの印象派的な
作風に魅了されたようです。
しかしセブラックは、
あくまで輪郭のハッキリした
音楽を作り続けたのでした。
“移ろい”を感じてみる
さて、
「日向で水浴びする女たち」に
話を戻しますね。
この曲は、
“移ろい”
を感じるのにぴったりな
作品だと思います。
調性の移ろい、
(カラオケでいう“キー”の変化)
和声の移ろい、
(ハーモニーの変化)
ビートの移ろい、
(4分の4拍子みたいなやつの変化)
リズムの移ろい…
それを感じるのに、
“知識”は必要ありません!
「何となく、変わった気がする」
くらいで良いのです。
ほのかな変化を
感じとれるようになると、
音楽がいっそう楽しくなりますよ!
さらに、音楽以外にも活かせます。
うまく言えないのですが、
映画を観たり
文章を読んでいるときに、
「あっ、なんかキー変わった?」
みたいな感じがするようになり、
とても勉強になるのです。
(エネルギーの変化なんでしょうか)
そういう変化の付け方を、
自分のものにしていけたら
素敵ですよね!
もうひとつ、
ちょっと話題が変わりますが、
この曲の
楽譜に書いてある“指示”
が面白いんです。
“指示”というのは、
「だんだん速く」
とかそういう類のもの。
「日向で水浴びする女たち」
に書いてあるのは、
次のような指示です。
doux mais cristallin
(甘く、クリスタルに)Etincelant
(きらめいて)avec une sonorite de boite à musipue
(オルゴールの音色で)
「何これ!笑」
って感じですが、
この曲にぴったりですよね。
作曲家って、
見ず知らずの人に
“自分の想う世界”
を表現してもらえるよう、
楽譜に精一杯の工夫を凝らします。
“指示”もそのひとつ。
演奏する人は、
楽譜から作曲家の意図を読み取って、
表現してあげなければなりません。
作曲家も努力するし、
演奏者も努力する。
クラシックって、
作曲家とのコミュニケーション
でもあるってことなんですね!
もちろん聴く人も、
「何を表現しているのかな?」
と耳を澄ましてみると、
きっと沢山の宝物を受け取れますよ。
ちなみに、
作曲家の意図を読み取るのって、
自由を制限されてるのとは違います。
むしろ、
ある程度の不自由があった方が、
逆に自由になれるのです。
これについては長くなるので、
また別の機会にしますね!
「日向で水浴びする女たち」、
いかがでしたか?
実は、
同じ年に作曲された
「水の精と不謹慎な牧神」
というセブラックの作品があります。
こちらは、
夜を舞台にした水の音楽。
水の精や牧神は、
誘惑や欲望のイメージとして
扱われることが多いですが、
この作品もまた官能的です。
昼と夜、
対になる作品として
聴き比べるのも面白いですよ!
最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。
それでは、今日も良い1日を!
(今回のカバー写真は、
ラオスの川でした!)
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