旅の音楽・東南アジアの柔らかな光【クラシックピアノを聴いて感性を磨く】
こんにちは!yukiです。
今日は、
「クラシックピアノを聴いて感性を磨く」
シリーズの7回目です。
クラシックに馴染みのない方も、
気軽に楽しめるように書いています!
今回のテーマは、
またもや「旅の音楽」です。
前回、インドネシアの民族音楽である
ガムランをご紹介しました。
ちょうど良いので、
ガムランつながりで
もう1曲紹介したいと思います。
東洋の情緒あふれる素敵な曲です。
楽しんでいただけますように!
塔(パゴダ)
さっそく、曲を聴いてみましょう!
ドビュッシー作曲、
組曲『版画』より、
「塔(パゴダ)」です。
冒頭から、
一気にアジアの世界へ連れていかれますね!
やわらかな光、ときおり現れる影…
あまりの美しさに、ため息が出てきます。
・・・耳を澄ますと、
いろいろな音色が聴こえてきますね。
チリンチリンと小さい鈴のような音、
銅鑼のような大きい鐘がゴーン、
ポクポクという木魚のような音。
どこまでも想像を膨らませられそう。
さて、タイトルの“パゴダ”とは、
“仏塔”を意味する言葉です。
“ストゥーパ”ともいわれます。
(日本の卒塔婆の語源です)
イメージとしては、
次の写真のようなもの。
僕は行ったことないですが、
ミャンマーの仏塔のほうが
イメージに近いかもしれませんね。
ドビュッシーは、
“響きによって、世界観(空気感)を表現する”
ことを目指していました。
この作品には、
まさにアジアの空気が
ぎゅっと詰まっている感じ。
好きすぎて、
何回聴いてきたことか知れません笑
自分で弾くときも、
東南アジアの空気感に包まれて、
たっぷり旅情に浸れるのです。
ドビュッシーの想像力はすごい!
以前の記事で少しだけふれたように、
ドビュッシーはあまり旅をせず、
生涯のほとんどをフランスで過ごした人でした。
アジアに行ったという
記録はありません。
「じゃあなんで、
こんなに東洋的な曲が書けたの?!」
って思ってしまいますが、
素晴らしい想像力が
それをカバーしたのです。
ドビュッシーが東洋文化に興味をもったのは、
1889年のパリ万博でした。
彼はそこで、インドネシアの
ガムラン演奏を聴いて衝撃を受けたのです。
「なぜ、そんな昔の
パリ万博にガムラン?」
って感じですよね。
当時のインドネシアは、
オランダの植民地でした。
そして植民地の文化を紹介するために、
ガムラン演奏団を呼んだらしいのです。
(本物のガムランの音源も貼っておきますね!)
ややマニアックな話ですが、
ガムランは、
それぞれの楽器のチューニングが
微妙にずれています。
分かりやすくいうと、
数人で歌っているときに、
みんなごく僅かに音程がズレている感じ。
そうすると、
ちょっとハモらないというか、
うわんうわんとした響きが生まれます。
ドビュッシーは、
そんな不思議なガムランに
すっかり魅せられてしまったのでした。
彼は、パリ万博から14年の時を経て、
今回紹介した「パゴダ」を発表します。
おそらくその期間、
欧州にいながらも、
東洋の研究を重ねたのでしょう。
「パゴダ」は表向きに東洋的なだけでなく、
背景に漂う精神性にも、
東洋のそれに近いものを感じます。
すさまじい想像力とセンス…
ドビュッシーは「パゴダ」の発表のあと、
さらに別の東洋的作品を発表していきます。
分かりやすい例だと、
アンコールワットの夜の情景だという
「荒れた寺にかかる月」。
だいぶ“アート感”があり、
聞き慣れないかもしれません。
1分後の離脱率75%くらいでしょうか汗
最高に美しいのはその後なので、
ぜひ3分くらい聴いてみてくださいね!笑
静寂が支配しながらも、
ハッとするような美しい旋律が浮かび上がります。
“無常”や、“静寂の音”といった、
東洋の美的感覚を体現したような作品ですね。
そして、
さらに“アート感”を押し進めたのが、
「エチュード3番」です。
この曲は、間違いなく万人受けしません笑
ドビュッシー大好き人間じゃないとキツいはず。
(1分後の離脱率95%くらいかも)
「パゴダ」と同じ方向性の作品で、
各所でガムランの音響を取り入れています。
本物のガムランを聴いていると、
「エチュード3番、
まんまガムラン模倣してるじゃん!」
って感じるときも。
ドビュッシーが手にしていた
東洋的な美的感覚は、
その他の作品でも各所で現れています。
日本人はドビュッシーファンが多いですが、
そういった深いところでの共感を
感じているからかもしれませんね。
最後まで読んでいただき、
ありがとうございました!
それでは、今日もよい1日を!
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