トレジャリーウォレット
トレジャリーウォレットとは、コミュニティ内のメンバー共用のお財布のことです。
おさらいですが、web3とは、今ある既存のインターネットをブロックチェーンで上書きする”革命”であると考えています。
それでは、ブロックチェーンとインターネットの決定的な違いは何でしょうか?
それは、ブロックチェーンには「トレジャリーウォレット」を作ることができる点にあると考えています。
トレジャリーウォレットこそ、インターネットにはないブロックチェーン固有の機能であり、社会に多大な影響を与えるものだと考えています。
トレジャリーウォレットと透明性
人類はこれまで、複数の人同士が集まって組織化することにより、豊かな世界を創り出してきました。
組織にとって、「ヒト・モノ・カネ・情報」は大切な資源です。
インターネットは”情報”の流通を、ブロックチェーンは”カネ”の流通を、それぞれなめらかにします。
トレジャリーウォレットを使えば、暗号資産を透明性を持たせつつ共同管理することが可能です。
2009年1月、ビットコインの出現により、世界に「ブロックチェーン」が誕生しました。
2015年にイーサリアムが誕生し、イーサリアムに実装された「スマートコントラクト」という機能によって、一度設計したプログラムが改ざんされず自動実行され続ける仕組みを実現させることが可能になりました。
これにより、カネ(=トークン)と、お財布(=トレジャリーウォレット)が、誰にも改ざんできない形でブロックチェーン上に再現されるようになったのです。
これは、とても革新的なことなのです。
イーサリアム等の「パブリックで多数の参加者に分散されているブロックチェーン」を使用することで、
・誰から誰に
・いつ
・いくら送金したか
といった情報を、誰からも見られる状態で記録することができます。
もちろん、その記録を改ざんすることは事実上不可能なのです。
ブロックチェーン以外の既存の金融インフラだと、上場企業の会計監査であっても全てが外部に公開されるわけではありません。
その点、ブロックチェーン上の「トレジャリーウォレット」であれば、常に世界中の誰もが取引の詳細を全件確認できる点は革新的です。
ブロックチェーンを使用することで、四六時中、世界中の誰もがお金の動きを見ることができる状態に置かれるため、変な動きをすることができません。
これにより、組織運営がより健全化することが見込まれます。
これを窮屈に感じる場合は、今までクローズで行ってきた部分が既得権益化していることと同義です。
web3では、正当な貢献に対して対価が支払われる「正直者が得をする」世界になっていくのだと思います。
スマートコントラクトの設計は多種多様
ブロックチェーンは、「お金の使い方」をスマートコントラクトで自由に設計できる点が、革新的で興味深いです。
何でも分散化しなければいけないわけではなく、例えば、
・お金の使い道はブロックチェーンで透明化しつつ、
・組織運営の部分はこれまでの株式会社同様に、トップダウン型でリーダーが権限を持って進めて行く
といったルールをスマートコントラクトで設計することも可能なのです。
それとは逆に、
・組織にとってのお金の使い道は「ガバナンストークンやNFTによる投票」によらなければ動かせない
といったルールで設計することも可能です。
この場合は、大事な意思決定をみんなのオンチェーン投票で決め、分権化させることも出来るわけです。
このとき留意して頂きたいのは、
「みんなで決める=51%の多数決で決める」
という意味ではないということです。
例えば、DAOらしいDAOとして世界中から注目されている「Nouns」を例に見ていきましょう。
>> 関連リンク:Nouns DAOの凄さを解説
「Nouns」の場合、提案に対して10%〜15%以上の賛成投票で可決されます。
(また、反対数の量によって、賛成票の必要割合が上下します。)
A,B,Cの意見が分かれる複数グループが存在する場合、それぞれ10〜15%以上の賛成投票が集まると、3つのアプローチ全てが可決されて実行に移すことができるというルールなのです。
「民主主義」的にみんなで決めるにしても、ルールの設計次第では組織のお金の使い道について多様な価値観を認められる余地があるのです。
これは大きな組織だけの話ではありません。
もっと身近でミニマムな「友だち同士のトレジャリーウォレット」を作ってみてはいかがでしょうか?
飲み会やキャンプなど、イベントごとにそのメンバーだけで必要資金の共同管理もラクにできることでしょう。
ブロックチェーンのトレジャリーウォレットは、将来的には多くの人にとって身近で実用的なものになると思います。
重要なことは、「あらかじめ設計されたスマートコントラクトに従って自動実行される」という点です。
スマートコントラクトをどのように設計するのかということが、最も重要なポイントなのです。
現代は、ボランティアを除き、あらゆる活動には経済が伴います。
組織にとって、もっとも重要な要素のひとつである”カネ”。
このカネを、web3時代では「トレジャリーウォレット」によって透明性を保ちつつ管理運用することができるのです。
DAOへの関心が日増しに高まってきていますが、世界中の人々が『ダオる』際に必須のツールとなるのが、「トレジャリーウォレット」であり、DAOの社会浸透のために欠かせないツールだと確信しています。
PAJIさんとKANERINさん