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第87回 「業界のトップに会う」ことに投資しなかったら、あなたの周りは、「自分と同じレベルの人達」で埋まるだけだ

あなたが在籍している業界のトップの仕事を間近で観たことあります?

先日、『毎週キングコング』の収録があって、そこで梶原君に「ブロードウェイのミュージカルとか、ラスベガスのショー、なるべく早いタイミングで一度観ておいた方がいいよ」という話をした時に、自分で喋っていて「あ。」と気づかされたことがありました。

それは「なるべく早い段階で」という部分についてなんですけども…

まぁ、皆が世界一を目指しているわけではないことは百も承知なのですが、とはいえ多くの人が「その業界のトップ(あるいは上位)」は目指していたりするじゃないですか?

この記事の読者さんの中にも「上を目指している人」は結構多いと思うんですね。

そういう方にお聞きしたいのですが……

あなたが在籍している業界のトップの仕事(あるいは立ち振る舞い)を間近で観たことありますか?

観れるチャンスはいくらでもあったと思うんです。

それこそ、時間とお金を作って、「お客さん」として観ることだってできる。


できるんだけど、おそらく、ほとんどの人が同じ業界のトップの仕事を観たことが無い。


言い方を変えると、『トップの仕事を観ること』に時間とお金を投資していない。


同世代の同レベルの人達とつるむことに時間とお金を使っていたりする。


ここはすぐに見直した方がイイと思います。


まずは、業界のトップの仕事を観る。


あるいは、業界のトップにいる人の立ち振る舞いを観る。


そこで、「自分とトップまでの距離」そして、「自分の時間のかけどころ」を知ることがメチャクチャ大事なんです。


業界のトップの仕事を目の当たりにすると、まずは絶望すると思います。


その次に「ちょっと待てよ。あそこまで行こうと思ったら、今の努力内容じゃ届かないじゃん」「このフォームじゃ無理じゃん」となる。


これがメチャクチャ大事で、当たり前だけど、ここに気づくのは1日でも早い方がイイ。

早いうちに見ておくと、身の振り方(生きる道)が分かる



僕はよく「あやかれるものがあるなら、あやかれ」という話の流れから「0→1(世界観の創造)は無理だから止めとけ」という話をするんですけども、それに対して多くの人が「そんなのやってみなくちゃ分からないじゃないか!」と言うんですね。

でもね、無理なものは無理で、勿論やってみなくちゃ分からないこともあるんですけども、やらなくても分かることがあるんです。

この見込み違いの「やってみなくちゃ分からないじゃないか!」について、ミュージカル『えんとつ町のプペル』を手掛けているCHIMNEY TOWN USA代表の瀬戸口君が、以前「バケモノの仕事を見てないから、あんなことが言えるんだと思います」と言っていて、本当にその通りだなぁと思いました。

もうね、その業界のトップになるような人はモノが違うんです。

メチャクチャ努力している上に、トップになることがあらかじめ決まっている感じなんです。

一度見れば「モノが違う」ということが分かると思うんですけども、主役の人って、結構最初から主役なんです。

ちなみに大谷翔平選手は小学3年生から野球を始めて、小学5年生の頃には110キロの球を投げていたそうです。

そういう人(本物)って、普段の生活で、なかなか出会えないので、そういう人に会うまでは「自分もやれるかも」と思っちゃうんですね。

一流を早いうちに見ておくと、身の振り方(生きる道)が分かって、そこに時間を集中投下できる。

たとえば……そうだな、スラムダンクで喩えると(※知らない人、ごめんなさい!)、宮城リョータが通っていた小中学校のバスケ部が全員、宮城リョータぐらいチビだったら、宮城リョータは「ドリブルで生きる道」に努力を投下していなかったかもしれない。

なんか、小中学校でセンターの技術とかを身につけていたかもしれない。

で、高校に入ってゴリ(赤木)とか、花道とかに出会っちゃう。

すると、これまで培ったセンターの技術がまったく通用しないわけじゃないですか?

となると、そこからドリブルで生きる道を模索しなきゃいけない。

やっぱり、これだと、かなりロスが大きい。

…みたいなことが起きるから、同じ業界のトップの仕事は、お客さんとしてでも、見学でも何でもいいから、1日でも早く生で見た方がいいです。

本田圭佑さんのスピーチ「環境にこだわれ」本当にその通り

そして、可能であれば、仕事だけじゃなくて、そういう人の普段(舞台裏)の立ち振る舞いも見た方がいい。

「うわ、一流って、こんなところまで気を配ってるんだ」ということが分かると思います。

ベタなところでいうと、「この人、業界のトップなのに、メチャクチャ腰が低いじゃん。
メチャクチャ明るくて、メチャクチャ笑ってくれて、メチャクチャ喋りやすい空気を作ってくれんじゃん。
疲れたら、すぐに疲れた顔を見せるアタシみたいにオン/オフが全然無いじゃん!」みたいなことがある。

本田圭佑さんが今年の近畿大学のスピーチで「環境にこだわれ」と言ってらっしゃったのですが、本当にその通りだと思います。

トップに会うことに投資しなかったら、環境に投資しなかったら、今、自分の身の回りにいる人達は、自分と同じレベルの人達だということを、あらためて知っておいた方がいいと思います。

西野亮廣

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