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第106回 個々人が発信力(宣伝力)を持つ時代には、「愛を育む」ことにキチンとコストを割いた方が

「バズった」では再現性が無いので、「オンライン配信チケットが伸びている理由」を冷静に分析してみる

今日は『「愛」を安く見積もらない方がイイ』というテーマでお話ししたいと思います。

なぜ、『テイラー・バートン』のオンライン配信チケットはこんなに売れているのか

舞台『テイラー・バートン』が話題をよんでおりまして、公演終了後からオンライン配信チケットの売り上げがグングン伸びて、8月10日の時点で【6300枚】を突破しました。

この規模の(350席の劇場で2日間しかやらなかった)舞台作品としては、ちょっと異例の展開になっております。

これに関しては、本当に皆様に感謝しかないわけですが、一方で、これを「バズった」で片付けてしまうと、再現性が無いので、「なぜ、オンライン配信チケットが伸びているのか?」を冷静に分析してみたいと思います。

まず最初に絶対に押さえておきたいコトがありまして…
こういう話をする時に、すぐに「売り方(マーケティング)」の方に目が向けられてしまうのですが、そんなのは二の次、三の次で、やっぱり大事なこととして「クオリティーでブッちぎっている」というのがあります。

『テイラー・バートン』に関しては、出演者のポテンシャルは半端なかったし、舞台美術や照明をご覧になられた方はもうお分かりだと思いますが、あのキャパの劇場で、あれだけ作り込まれた空間って、世界のどこを探しても無いんです。

『テイラー・バートン』のクリエイティブスタッフは、僕らのイベントでいうと、キングコングの武道館ライブだとか、武道館でおこなった学校イベント『サーカス』だとか、ミュージカル『えんとつ町のプペル』などを手掛けていたり、

あとは、今年の10月28日(土)に幕張メッセでおこなう『えんとつ町の踊るハロウィンナイト』という大盆踊り大会を手掛ける、いわゆる「トップクリエイター」達で、そういう人達が本気で作っているので、そりゃもう、とんでもないクオリティーです。

あと、忘れちゃいけないのが、「そういうトップクリエイター達が集まって、本気で作り込める土台作り(=予算作り)」もキチンとしています。

今回に関して言えば、「クラウドファンディング」「オンラインサロン」「プロセスエコノミー」「NFT」「VIP戦略」といった、実に鼻につく横文字のオンパレードで、制作費を捻出しました。

「チケット」と「グッズ」の売り上げだけでは、『テイラー・バートン』は作れなかった(現実問題、トップクリエイターを集められなかった&集めたところで彼らの力を出しきれなかった)です。

なので、いまだに「クラファンは詐欺でしょ」とか、「オンラインサロンは宗教でしょ」とか、「西野のやっていることはよう分からんけど、なんかムカつく」と言っている舞台人には一生作れない。

「勉強」や「知らないことを知る努力」を捨てた人には、一生作れない。

とにもかくにも全員『夢と金』(幻冬舎)を読んでください。

「愛を育む」ということを甘く見ない方がイイ

こういった下地があった上で、今日の話なのですが、やっぱりオンライン配信チケットの売り上げが伸びた大きな大きな理由の一つに「愛」があると思います。

具体的に言うと、キャストの皆さんが作品やチームに対して抱いている「愛」です。

臭い話をしちゃって申し訳ないですが、

でも、この「愛」というのが本当に大事で…たとえば先日の宮迫さんのYouTubeチャンネルをご覧になられましたでしょうか?

内容は舞台『テイラー・バートン』の稽古場でのドッキリ企画だったんですが、コレは言うまでもなく舞台『テイラー・バートン』のオンライン配信チケットの宣伝を兼ねています。

だけど、コレはプロデューサーサイドからお願いしたものじゃなくて、宮迫さん(宮迫チーム)の方から「稽古場でドッキリをやって、それを公演終了後に配信して、オンライン配信チケットの売り上げに繋げたい」という申し出があったんです。

【俳優に人生初のドッキリを仕掛けてみました】

戸田恵子さんにしても、TKOの木下さんにしても、阿部よしつぐさんにしても、公演終了後も『テイラー・バートン』のことをブログに書いてくださったり、SNSにあげてくださって、

そして最後に、オンライン配信チケットのリンクを貼ってくださっていて、これも、プロデューサーの方から「宣伝お願いします!」と言ったわけじゃなくて、自ら手を挙げてやってくださっているんです。

本当にありがたいことに、皆、作品やチームのことを愛してくださっている。

では、この愛が「偶然生まれたものなのか?」というと、そうでは無いと僕は思っていて…

まずは先ほども申し上げましたとおり「クオリティー」が絶対に大事。

お客さんにオススメするわけですから、その時に作品のクオリティーに対する「後ろめたさ」みたいなものが微塵もあってはいけない。

僕、舞台役者の友達もそこそこいるのですが、皆、おもんない舞台ってあからさまに宣伝しないんです。

そりゃそうですよね、自分の信用問題に関わるので。

なので「クオリティー」がメチャクチャ大事。

その上で、舞台『テイラー・バートン』は最近の舞台人が後回しにしがちな、「飲み会」をキチンとやったんです。

海外から戻られたばかりの戸田恵子さんも参加してくださって、舞台の話をしたり、たわいもない話をしたり、TKO木下さんの悩みに皆で向き合ったり…そういった「チームを育む時間」をキチンと設けたんです。

たまたま、そういう時間ができたわけじゃなくて、意図的に作ったんです。

稽古を早めに切り上げて、「今日は、もう飲みましょう!(コミュニケーションの時間に使いましょう)」という日もありました。

古臭い手だとは思いますが、ただ、個々人が発信力(宣伝力)を持つ時代においては、

とてもとても大切な一手で、「愛を育む」というのは甘く見ない方が(愛を育むことにキチンとコストを割いた方が)イイかもね…というのが今日の結論です。

西野亮廣

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