第52回 オシャレなのに、美味しいのに、「商品が売れない」と嘆く人。その商品を、「何か」に「紐付ける」ことを考えろ!
何かに紐付けなきゃ生き残れない世界になった
「すごい経営者を挙げてください」と言われたら、僕の中で真っ先に出てくるのがアパレルブランド『#FR2』を指揮する石川涼さんなんですけども、その涼さんと初めて会ったのが2016年です。今から6年前ですね。
毎回、バッキバキにエッジの効いた経営者さんをお一人お招きして、ただ、ひたすら喋るだけの『ハミダシター』(フジテレビ)という深夜番組で御一緒させていただいたんです。
で、今でも鮮明に覚えているのは、2016年の段階で(涼さんとしては「これから『#FR2』を仕掛けるぞ」というタイミングで)、「もう、アパレルブランドを『オシャレ』で売るのは無理だね」と白旗をあげていたんです(笑)。
僕、ビックリしちゃって、「え? 今から#FR2というブランドを立ち上げるんじゃないんですか?」という、すごくシンプルな質問をしたんですね。
そこで涼さんが言ったのは、「『アパレルブランドが勝てない』というわけではない」と。
「『オシャレ』は翌日にはコピーされてしまうから、アパレルブランドが『オシャレ』をバリューにしていくのは難しい。だったら、どうすればいいか? 自分の商品を何かに紐付けていくしか生き残れない。たとえば『魚釣りの時に着る服』とか…」と、おっしゃったんです。
正直に白状すると、その時の僕は「何かに紐付けていくしか生き残れない」という言葉が、その意味は分かっていたのですが、まだ、自分事として落とし込めなかったんです。
でも、今(2022年)、まわりを見渡すと本当に(業種関係なく)、あの時の涼さんの言ったとおりの世界になりました。
今、あちこちで「商品が売れない。商品が売れない」という声を耳にしますが、「商品が売れない人が取り扱っている商品」って、何にも紐付けてないんです。
ただ美味しくて、ただオシャレなんです。
でも、ただ美味しくて、ただオシャレなものなんて、巷に溢れかえっているから、選ぶ理由にならないんですね。
涼さんが言ってた言葉を6年遅れでいいますが、今は、何かに紐付けなきゃいけないんです。
今、やらなきゃいけないのは「ネオ大仏商法」
一昨日、広島県の福山市にあるスナック『ライカ』という店に行ったんですけど、そこは、「サロンメンバーさんの店」という旗の立て方をしていて、もう、名古屋とか静岡とかからお客さんが来てるんです。
つまり、この場合だと「オンラインサロン」に紐付けているんですね。
仕事柄、全国を転々としているのですが、とくに最近強く思うのは、早めに紐付けることを決めた人が上手くいっていて、紐付けることを頑なに拒んでいる人が倒れていっている。
おそらく「便乗」という言葉のイメージが良くないんでしょうね。
でも、便乗するしかないです。
昔の人は皆、奈良の大仏さんを観に行ったから、その参道に店をポコポコ出して、それで大仏を観に来たお客さんを店に誘いこんだんですね。
これを「大仏商法」と呼んで、言葉の意味的には、「集客をサボってる店」みたいなネガティブなイメージなのですが、ただ、理にはかなっている。
今、やらなきゃいけないのは、この「大仏商法」をベースに“集客も頑張る”「ネオ大仏商法」で、そうしていかないと、大仏が無いところに店を出しても、もう無理。
昔は大仏が無いところに店を出して、オンラインで発信を頑張れば、なんとかなったんです。
だって、まだ皆、オンラインの発信が下手だったから。
昔は、TwitterやInstagramをやってない店なんて、たくさんあったんです。
だから、ちょっとした「発信」で集客をすることができた。
でも、今はもう無理ですね。
今すぐ、自分のサービスを何に紐付けるかを決めろ
そんなこんなで僕からのメッセージは、よっぽど発信力がある人は除いて、そうでない人は、「今すぐ、自分のサービスを何に紐付けるかを決めろ。そして、紐付けるものが決まったら、それに合わせてチューニングし直せ」です。
要するに『クリスマスツリーの飾り』みたいな感じです。
「うちの『飾り』は、このツリーにはピッタリですよ」という感じで。
ちなみに、僕も『えんとつ町のプペル』をハロウィンに紐付けたわけですが、紐付け先輩から一言言わせてもらうと、「紐付けることで他人の色に染まる」とか考えなくていいです。
あなたがやっている時点で、どうあがいても、あなたの個性は絶対に残るから。
そして、もう1つ。
「息が長いものに紐付けろ」です。
紐付けない理由なんて、どうせ「プライド」でしょ?
「プライド」と「家族」のどっちを守る?
「プライド」と「スタッフ」のどっちを守る?
こんな二択、悩むまでもないじゃないですか。
ご自身の商品をとっとと何かに紐付けることをオススメします。
西野亮廣
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?