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第183回メディアで取り上げられるには「議題」にならなきゃいけない!? 大人気キャラクター「くまモン」にもヒントあり
西野亮廣が“くまモン”も分析。
「メディアに取り上げられるか? 取り上げられないか?」の境界線
今日は【『メディアに取り上げられる』とはどういうことか?】です。
よく「オンラインサロンでは、日頃、どんな記事を書いているの?」と聞かれるので、今日は特別にオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』に投稿した記事を共有したいと思います。
世間がワイドショーネタに加熱している中、毎日、こんな記事を書いて前に進んでいます。
※この記事は、2024年7月29日のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の内容をもとに作成したものです。
「くまモン」生みの親 小山薫堂さんゲストの『西野と学ぶ』が面白すぎる
先日、ゲストに小山薫堂さんをお迎えした『西野と学ぶ』(@YouTube)が教科書に文字起こしした方がいいレベルで面白かったです。
薫堂さんは「くまモン」の生みの親でもあるわけですが、くまモンの出自を知れば知るほど、「かわいいキャラクターを作って、町おこしをしよう!」としてしまっている全国の市町村が激しく間違っていることを知ることになります。
そんな中、「作った作品(商品)をどう届けるか?」という話の流れから、薫堂さんの方から「くまモンのコラボ商品の第一弾は何か分かります?」というクイズが出されました。
答えは「仏壇」だそうです。
くまモンの第一弾コラボ商品は『くまモン仏壇』なんですって(笑)
仏壇は「家庭の中の小さなお寺」であり、ご先祖様を供養する神聖な場所でありますから、そこを「ご当地キャラ」に染めてしまうというのは……仏具店も随分攻めたもんです。
#それを承諾する薫堂さんサイドも凄い
「くまモン仏壇は失敗?」実はそんなことはなくて…
さて。
その「くまモン仏壇」ですが、蓋を開けてみたら、全然売れなかったそうです。
「あんまり売れなかった」レベルじゃなくて、数年間かけて一基も売れなかったそうです。
#最近ようやく一基売れたそう
では、「くまモン仏壇は失敗だったか?」というと実はそんなことはなくて、「くまモン仏壇を作った」ということで、テレビや雑誌が面白がってくれて、その仏具店に連日のようにメディアの取材がきて、その取材に対応しているうちに名物仏具店となり、結果、その仏具店は売上が爆増したそうです。
くまモンのコラボ商品が一個も売れていないのに、仏具店の売上が伸びる…という一見すると怪現象ですが、これが「メディアの性格」で、テレビやラジオ、雑誌の目的は視聴率や聴取率や雑誌の売上を上げることで、「よそ様の商品の売上のお手伝いをすること」ではありません。
絵本『えんとつ町のプペル』を出版した時に、数多くのメディアが取り上げてくださったのですが、あれは「作品の内容」にメディアが集まってきたわけではなくて、作り方や届け方(クラウドファンディングや無料公開)にニュースバリューがあったからメディアが集まったわけで、ここを履き違えてはいけません。
「メディアはオマエの成功なんかにゃ何の興味もねぇんだよ」「メディアは、オマエの宣伝のお手伝いをする為にあるわけじゃねぇんだよ」といったところです。
取り上げられるには「議題(トークテーマ)」にならなきゃいけない
先日、ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』のスタッフから「出演者を発表する記者会見をしましょう」という意見が出ましたが、その記者会見には“ほぼ”何の意味も無いと思ったので、やんわりスルーさせていただきました。
僕が「視聴率を稼がないといけない情報番組のディレクター」なら、その記者会見にスタッフを派遣しない(リソースを割かない)からです。
言い換えると、「メディア側の取り分」が無い。
メディアで取り上げられるには「議題(トークテーマ)」にならなきゃいけなくて、以前、エッフェル塔で個展をした時に、吉本興業から「西野がエッフェル塔で個展をしました」というプレスリリースと、「吉本男前ランキングに西野がランクインしました」というプレスリリースを同時に出してもらったのですが、メディアが取り上げたのは後者でした。
あの時に「なるほど、議題にならなきゃいけないのかー!」と勉強になったわけですが、今、日本は、あの時よりも内に向いている(ドメスティックになっている)ので、「内に向いている人の中で議題にならなきゃいけない」という難しい問題が起きています。
なので、「不倫」だの「浮気」といった何の生産性もないニュースが取り上げられる。
僕の友人の海外のアーティストも「今の日本に入り込む難しさ」について頭を悩ませていて、これは簡単な問題じゃなさそうです。
ただ一つ分かっていることは、海外のアーティストがどれだけ素晴らしい音楽を奏でても、どれだけ素晴らしい絵を描いても、「それだけではメディアは取り上げない」ということ。
海外のアーティストに限らず、僕らにしたってそう。
「なんで、取り上げてもらえないんだろう?」と悩まれている方は、まずはココから仮説検証実験を始めてみるといいかもしれません。
僕もこの先、ミュージカルやら映画やらが控えているので、色々と考えてみます。
現場からは以上です。
西野亮廣
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