第143回 インターネットで回ってくる情報は「過去の行動履歴や購入履歴や検索履歴から、あなたのためだけに選ばれた情報」であって、「世界の情報」ではない! あなたはその危険性に気づいていますか?
中国重慶帰りの西野亮廣が、“どんどん田舎になる日本”に危機感。海外では今「日本に発信しても得しない」という雰囲気が漂い、情報が入ってきていない!?
今日は、【どんどん田舎になる日本】です。
「外貨を稼がないとヤバくない?」にはいくつか意味がある
先日、YouTubeチャンネルの撮影でタレントのMEGUMIちゃんとメチャクチャ久しぶりに会いました。
そういえば僕のことを「西野君」と呼ぶ数少ないタレントさんでして、というのも、MEGUMIちゃんとキングコングは芸能界の同級生で、お互いデビュー1年目ぐらいの時にレギュラー番組をご一緒させていただいていたんです。
なので、話が弾んだわけですが、中でも面白いなぁと思ったのが、最近は「美のカリスマ」的な感じですが、同時に、映像作品も色々と手掛けられていて、それもあって、チョコチョコと海外に行っているみたいなんです。
そんな彼女から「外貨を稼がないとヤバくない?」という言葉が飛び出てきて、日本のタレントさんで、そんなことを言う人、あまり聞いたことがないのでメチャクチャ新鮮でした。
日本と海外と行ったり来たりしていると、やっぱりそこは強く感じるんだと思います。
表現者・クリエイターとして「外貨稼がないとヤバくない?」にはいくつか意味があって、シンプルに「食っていけなくないっすか?」という意味もあるのですが、「『知らないものに興味を持とうとしない』
どころか、知らないものをすぐに否定したがる日本人の買うもの(選ぶもの)が固定化しているから、そこに合わせてしまうと、表現の幅が狭くなってしまう」という焦りも少しあるのかなぁと思います。
ちょっと話は飛びますが、先日、『毎週キングコング』で、先日行った重慶(中国)ブラリ旅の振り返りトークをしたんです。【動画はコチラ】
そこで梶原さんが「60歳になったら、一旦セミリタイアして、海外を観てまわりたい」と言ったのですが、それに対して僕が「だったら、今、思い切って1年休んで海外を回って、いろんな情報や価値観を仕入れた後に、仕事復帰して、61歳まで働いた方が、仕事や発信に厚みが出ませんか?」と提案させていただいて、そこから『毎週キングコング』としては珍しく、「いや、マジでこれからどうしていこっか?」といった話になりました。
MEGUMIちゃんの問題意識と若干重なる部分があったんです。
何も知らない島国の人間として島国で生きるか、色々と知った上で島国で生きるか?
ここが今日の本題です。
あらためて皆さんと考えたいのは、「このまま何も知らない島国の人間として島国で生きるか、色々と知った上で島国で生きるか?」という問題。
ちなみに、最近どこに行っても人でゴッタ返しているじゃないですか?今年の春休みの新幹線とか本当にヤバかった。
コロナが完全に明けた感じがあります。
一方で、僕は先月1週間は中国にいたんですけど、日本人とは1人も会いませんでした。
万里の長城やら、武隆の国立公園やら、それなりにメジャーな観光地にも行ったんですけども、日本人が1人もいませんでした。
で、仕事柄、ニューヨークにいることも多いのですが、日本人とはほぼ出会わないんです。
これは僕の感覚値なのかもしれないと思って、調べたんですけども、日本政府観光局によると、2023年の年間の日本人出国者数(推計値)は『962万4100人』で、コロナ禍からは回復しているんですけども、コロナ前(2019年)の出国者数は2000万以上いたみたいで、移動が完全に回復したのにも関わらず、海外に出る人の数はコロナ前の半分以下になっているそうです。
ちなみにパスポートの保有率はコロナ前(2019年)は、23.8%で、コロナでググッと下がって、コロナ明け(2023年)は回復するかと思いきや、コロナ禍からの横ばいで、17%だそうです。
まぁ、「円安」の影響がかなり大きいんだと思います。
「円安」だし、くわえて、日本の教育は、「銀行に貯金しなさい」だから、ほとんどの日本人は「円」しか持っていないから(価値が目減りし続けている『円』に盲目的に投資してしまっているから)、身動きがとれない状況にある。
「海外に行きたくても、高くて行けない」という。
で、「知らないことに興味を持とうとしない、どころか、知らないものを叩く」がお家芸になってしまっているので、(僕が知っている)海外では今、「日本に発信しても得しないよね」みたいな雰囲気が薄らと漂っている。
つまり、「そもそも日本に情報が入ってきていない」という話です。
「じゃあ、僕たち日本人は今この瞬間に何ができるか?」という話なのですが、まずは、「どうやら私達は、何も知らないらしい」ということを自覚することだと思います。
インターネットで回ってくる情報は「何も知らない私が興味のある情報(過去の行動履歴や購入履歴や検索履歴から、私のためだけに選ばれた情報)」であって、「世界の情報」ではないということを自覚することだと思います。
皆それぞれに事情はあるから、なんでもかんでも「海外に行け」とは思わないけれど、やっぱり僕は日本が好きだし、日本人が好きなので、どんどん遅れていく姿はあまり見たくなくて、現在地を把握する努力だけは放棄して欲しくないと思います。
西野亮廣
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