第116回 西野亮廣の目には、72年稼働してきた日本製鉄の巨大製鉄所は「Sクラスの観光資源」に見える!
清水寺を潰すのと同じ!? 西野亮廣が、閉鎖した呉の製鉄所に「勿体無い!」と叫ぶ理由
今日は『【日本製鉄】呉(広島)の製鉄所は世界的なテーマパークになると思うのですが、本当に解体しちゃうんですか?』というテーマでお話ししたいと思います。
『えんとつ町の踊るハロウィンナイト』の来場者数(見込み)は1万2000人
タイトルで今日の内容をほぼ言っちゃいましたが、そのへんの学生が思いつきで言っているわけではないことをご理解いただく為に、今、自分がやっている活動やこれまでの活動を交えて、お話ししたいと思います。
2023年10月28日に幕張メッセで『えんとつ町の踊るハロウィンナイト』という大盆踊り大会がございます。
巷では「ハロウィン盆踊り」とか言われたりしています。
※『えんとつ町の踊るハロウィンナイト』オンライン配信チケットはコチラ
この企画は、いつもイベントを作る時にお世話になっている演出のイジツさんから「5ヶ月後の幕張メッセが空いたみたいなのですが、盆踊りでも作りません?」とお話しをいただいたのが始まりです。
「お互い仕事がパンパンに詰まっている中、どうにか時間を見つけて、わずか5ヶ月で幕張メッセを埋めるコンテンツを作る」という、なかなかハードなお題でしたが、イジツさんも僕も、これまで散々修羅場をくぐり抜けてきたので「本気でやれば、いけるでしょう」と結論して、本当に酒場のノリで決まった企画です。
5ヶ月後に幕張メッセでイベントをすること決めた時に、2人で、もう1つだけ決めたことがあって、それは「出演者を公表しない」ということでした。
「人(インフルエンサー)じゃなくて、場所(空間)で、お客さんを集められるコンテンツを作ろう!」という覚悟です。
その為には押さえなきゃいけない(打ち出さなきゃいけない)ポイントがいくつかあって、それを丁寧に一つずつ押さえていって(※詳しくはオンラインサロンに投稿した記事で確認できます)、ありがたいことに今月末に幕張メッセで開催する『えんとつ町の踊るハロウィンナイト』の来場者数(見込み)は1万2000人となっております。
キングコングが出ることはバレてしまっていますが、それ以外の出演者は全員隠しているのにも関わらず、チケットがものすごい勢いで売れました。
『えんとつ町のプペル』という「町(場所)」に個性があるIPの力と、これまで、多くのエンタメを創り上げてきたクリエイティブチームの信用が大きかったように思います。
72年動き続けた巨大製鉄所なんて「Sクラスの観光資源」
そんな中。
広島県呉市にある日本製鉄の製鉄所が先月、すべての設備を停止し、72年にわたる鉄鋼製造の歴史に幕を閉じました。
調べによると、こちらの製鉄所では(3年前に閉鎖を発表した時点で)協力会社を含めて、約3300人が働かれていて、会社は配置転換などで雇用を維持するとしている一方で、離職者が1100人ほどいたそうです。
大変なのは、製鉄所の中だけじゃなくて、製鉄所の近くの商店にも、この製鉄所で働く人達がお金を落としてくれていたわけですから、呉の製鉄所の火が消えることは、呉市の経済に大きな打撃を与えてしまう。
問題は、「これといった跡地活用が決まっていない中、解体を進めている」というところです。
こんな勿体無いことあります?
呉の方や、それこそ製鉄所で働かれている方は、この製鉄所の景色を見慣れていて、火が止まった製鉄所を資産として捉えていないかもしれませんが、72年動き続けた巨大製鉄所なんて「Sクラスの観光資源」で、国内のみならず、世界中から観光客が訪れるでしょう。
ここで今日の前半の話を思い出していただきたいのですが、誰が出演するとも言っていない、出し物もまともに発表していない、何もない展示場に、「『えんとつ町』を作る」と言っただけで、1日に1万2000人が来場されるんです。
何もない場所に「世界観」を作るのは本当にお金がかかるんです。
今回も櫓(やぐら)を作るだけでも数千万円かかっちゃう。
参考までに言っておくと、数年前に僕の地元の山奥にある「満願寺」というお寺で『光る絵本展と光る満願寺展』というのを2週間限定でやったんです。
その時は兵庫県川西市の山奥(バスでしか行けない場所)に3万人が集まりました。
出店はフル稼働です。
とにかく経済が回った。
今回は呉にある日本製鉄の製鉄所でしょ?
たとえば、そこを3週間借りて、製鉄所の中をライトアップして、歩けるようにして、『光るえんとつ町in呉』をやらせてもらえれば、僕の肌感だと、チケット代は2000円で、混雑を防ぐ為にチケットは事前販売で一日3000枚にして…それが21日間だから、3週間で1億2000万円ぐらいは売り上げを作ることができそう。
基本ライトアップイベントなので、日没後がメインだと思いますが、少し寒い時期にやれば日没も早いし、寒いので、回転も早いと思います。
スタッフは時給2000円で日没からの5時間稼働。
なので、1日1万円。
40人いれば十分回るので、1日の人件費は40万円。
それが21日間なので、期間中の人件費は840万円。
諸々で1000万円ぐらいかな。
主な出費は照明機材費と電気代、そしてスタッフの人件費ぐらいなので、かなり利益率の高いイベントになると思います。
それより何より大きいのは、そこに来られたお客さん達が呉の飲食店を利用して、呉の宿を利用して、呉のバスやタクシーや電車を利用して、大和ミュージアムにも寄ったりなんかして、呉の街にお金を落として、呉の経済が回ること。
なんなら、製鉄所で実際に働かれていた方が、ライトアップした製鉄所でガイドとして稼働してくださったら、これまでの仕事が誇りに繋がると思います。
「跡地活用は考えてませんが、とりあえず清水寺を潰します」と言っているようなもの
ポイントは「タレントをブッキングしなくてもいい&新たに上物を建てなくてもいい(照明演出に全振りすればいい)」というところ。
素材をそのまま使うだけで、世界的な観光資源になる。
呉の製鉄所は、これだけのポテンシャルを秘めているのに、これといった跡地活用策がないまま解体してしまうそうなのですが、これは、さすがに勿体無いと思います。
呉の方からすると「そんなに?」と思うかもしれませんが、県外の方で、今、記事をお読みの方のほとんどは「絶対に行ってみたい!」と思っているでしょう。
観光で日本に来ている海外の方からすると、尚更。
だって日本の歴史遺産なんだもん。
やっていることは「跡地活用は考えてませんが、とりあえず清水寺を潰します」と言っているようなもの。
めちゃくちゃ勿体無い。
素人の大学生が提言しているわけじゃありません。
地方で数万人を動員するイベントを仕掛けて結果を出している人間が、その経験から割り出した数字を交えて提案してみました。参考までに。
西野亮廣
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