第159回 クラウドファンディングは「金の成る木」じゃなく、「信用を両替する機械」。支援者さんの多くは、「腹を割って話したことがある人」「困っている時に助けたことがある人」だ。今、苦戦している人は、とにかく人に会いに行ってください!
現代人の必読回! 殺到する「挑戦したが、全然、支援が集まりません」という相談への回答は?
支援総額8億円の実績がある西野亮廣が、クラウドファンディングで支援を集められない人たちに伝えたい「本当のこと」
今日は【クラウドファンディングで失敗する人の共通点】です。
そもそも、あなたに「信用」が無いと何も始まらない
僕がよくクラウドファンディングをやっているのと、CHIMNEY TOWNとしてクラウドファンディングのプラットフォームを運営しているのもあってか、InstagramのDMで「クラウドファンディングに挑戦したのですが、全然、支援が集まりません。どうすればいいですか?」という相談を週2〜3ペースでいただきます。
こんなことを言うと、また怒られちゃうのですが、だけど僕は挑戦する人を応援したいし、クラウドファンディング迷子をこれ以上増やしたくはないので本当のことをお話ししたいと思います。
まず、脇道からお話しすると「クラウドファンディング」には正攻法(ノウハウ)は確かにあって、「クラウドファンディングのサポート業務(クラファンコンサル?)」という職業があるのも個人的にはすごく納得感があります。
ただ一方で、SNSのTLで流れてくるクラウドファンディングコンサルを名乗る人が、自分の実績として「これまでの累計の支援金額○億円!」みたいな感じで打ち出されているのには個人的には違和感があって、単刀直入に言うと「その数字はお前の実績じゃないからな!」といったところです。
SoftBankの孫さんにアドバイスしたことがある人が自分のプロフィール欄に「時価総額20兆円」と書いているような違和感があって、もちろんアドバイスのおかげで前に進めたこともあったと思うのですが、やっぱり「この結果は最後の最後は孫さんが頑張ったから」というところでラインを引くべきだと思っています。
事実、コンサルタントを名乗る人が自分で事業を立ち上げた時、大体うまくいかないので。
算数やエビデンスだけで会社がまわせるのなら、小学生でも10億円程度の企業は作れるわけで。
事業を立ち上げて、運転し続ける毎日は、不確定要素だらけで、他人の感情や下心に振り回されることだらけで、最後の最後、経営者やリーダーに必要になってくるのは「しつこさ」だったりします。
クラウドファンディングコンサルタントを名乗っている人が多くの挑戦者を助けているのは事実だと思うのですが、クラウドファンディングコンサルタントが自分を売り込むための過剰な宣伝文句の中に「何者でもない僕にも、やり方次第でチャンスがある」という過度の期待(勘違い)を生んでしまうリスクはあると思っています。
んでもって、ここからが本題(クラウドファンディングで苦戦している人への応援メッセージ)なのですが、「まだ何者でもないこと」には何も問題は無いし、みんな最初は「まだ何者でもない」わけで、たしかにクラウドファンディングは、そういう人達の救いの一手であることは間違いありません。
ただ、まだ何者でもない人は何者かになる努力はしなくちゃいけなくて、ブタがアナ雪の「ありのままの~」に共感したところでブタのまま老後を迎えるのは既定路線で、「これまでの人生でサボり散らかしてきたオマエごときが『ありのまま』とか言ってんじゃねぇ」という熱いメッセージを西野からお贈りします。
クラウドファンディングの戦い方に関しては、日本では僕が千年前から言っていて(西野のビジネス書は全て読んでください)、クラウドファンディングは「金の成る木」じゃなくて、「信用を両替する機械」なので、そもそも、あなたに「信用」が無いと何も始まらない信用取引なんです。
クラウドファンディングを経験されたことがある人なら心当たりがあると思いますが、超例外を除いて、クラウドファンディングに支援してくださる支援者さんって、大体、「会ったことがある人」なんです。
腹を割って話したことがある人や、困っている時に助けたことがある人など。
そういう人が今度は「支援者」という仮面をかぶって、支援してくださる。
なので、今、クラウドファンディングで苦戦している人は、とにかく人に会いに行ってください。
ただちに自分の部屋から出てください。
アドバイスとかコンサルとかじゃなくて、自分で立ち上げたプロジェクトだけで、支援総額が8億円チョイになる僕が言っているので、それなりに説得力があると思います。
僕には「あなたをその気にさせる為の嘘」をつくメリットが1ミリもないので、話半分でもいいから、このことを頭の片隅に置いておいてください。
企画そのものが死んでいる
次に、クラウドファンディングで躓くパターンの二つ目についてお話します。
これに関しては、マジで、まわりの誰も言ってくれないと思うので、よく聞いてください。
クラウドファンディングの告知を散々っぱらやって、人にも会いに行って、それでも支援が伸び悩んでいるのなら、企画そのものが死んでる可能性が高いです。
企画は、自分の子供みたいなものですし、僕自身同じ経験を何度もしたことがあるので、企画が死んでいることを認めたくない気持ちはものすごく分かるのですが、他の人に置き換えた時にイメージできるでしょう?
「クラウドファンディングで支援を集めて、土星でジョギングしたい」みたいな企画を、どれだけ宣伝されようが、支援しようとはならない。
「死んでいる企画」というのは確実にある。
一つ、自分への救いとして「今の時点では、この建て付けじゃムリ」というのがある。
勘違いでも何でもなくて、「本当に自分にしか未来が見えていない」という希なケースです。
ちなみに『えんとつ町のプペル』を分業制で作る時に最初にやったクラウドファンディングは全然支援が集まりませんでした。
皆、『えんとつ町のプペル』という物語を信じていなかったし、『絵本の分業制』の想像がついていなかった。
その段階ではどれだけ宣伝しても無駄で、そうならそうで、切り上げなきゃいけない。
この「切り上げる」というのがものすごく大事で、クラウドファンディングに挑戦する人って、途中から「目標金額を集めること」が目的になっちゃいがちです。
目的は「プロジェクトを遂行すること」で、その為の手段の一つが「クラウドファンディング」だったハズで、その手段がハマっていないのならば、当然、手段を変えなきゃいけない。
クラウドファンディングで1週間告知し続けて、支援が1万円も集まっていないのなら、クラウドファンディングなんてとっとと辞めて、日雇いのアルバイトをしてください。
あなたの目的は「クラウドファンディングで目標金額を突破すること」ではないハズなので。
挑戦している人に対して、こんなことを言うと基本的には怒られちゃうので、きっと、あなたのまわりの人間は誰も言ってくれないと思います。
さっき、「経営者に必要なのは『しつこさ』」と言いましたが、しつこさの意味を履き違えないでください。
ここで言っている「しつこさ」は、なんとしてでも、どんな手を使ってでも形にする「しつこさ」であって、傷つくことを恐れて部屋の中にしつこく閉じこもることでも、明らかに死んでしまっている企画や、打ち出し方をしつこく持ち続けることでもありません。
耳の痛い話をしちゃってすみません。
あなたの挑戦が上手くいくことを心から願っています。
西野亮廣
夢と金』が各ランキングの年間1位に!
■楽天Kobo ビジネス書2023年間ランキング1位
■2023年オリコン年間”本”ランキング「自己啓発書」ジャンル1位
■ビジネス書累計が100万部突破!
※Amazonランキング書籍総合1位にも! コチラから
最新作のコマ撮り短編映画『ボトルジョージ』が、サンフランシスコ国際映画祭にノミネート!
アメリカでもっとも歴史のある映画祭「サンフランシスコ国際映画祭(San Francisco International Film Festival)」にノミネートされました。その他、New York Asian Film Festival(2024年7月12日)、JAPAN CUTS(2024年7月13日)、LA Shorts International Film Festival~ロサンゼルス国際短編映画祭~(2024年7月24日)からも招聘。
西野さんの『ボトルジョージ』に対する想いとは? こちらをチェック!