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第109回 動画を作るとき「再生回数=広告収入や認知獲得」が目的か。それとも「商品を売ること」が目的か。…ちゃんと考えてる?

PtoC(個人が商品やサービスを直接消費者に販売する)」の時代に、YouTubeをどう作るか?

今日は『「数字」や「目的」を読み取るのが下手すぎる人』というテーマでお話ししたいと思います。


YouTubeの発信の“見方(狙い)”が分かっていない人が一定数いる


最近、『西野と学ぶ○○』みたいな感じで、西野亮廣のYouTube動画がチョコチョコあがっていたりするじゃないですか?

先日スタートしたYouTubeチャンネル『西野亮廣ラジオ』もそう。

ここにきて、YouTubeに時間を割いているように見えると思うのですが、これを仕掛けているのは、僕が働いているCHIMNEY TOWNという会社の若手社員である『山﨑(ザッキー)』という男で、YouTubeまわりは基本は彼が企画・運営しています。

バンドザウルスのYouTubeだけは別で、コチラはバンドザウルスのプロデューサーのタケダ(CHIMNEY TOWNのインターン生)が仕掛けています。

ま、いずれにせよ、ここにきてCHIMNEY TOWN関連のYouTubeの発信は明らかに増えています。

個人的には凄く面白いなぁと思って見ているのですが、「このCHIMNEY TOWNのYouTubeの発信の“見方(狙い)”が分かっていない人が一定数いる」というのが今日の話です。

僕はあまりYouTube上で発信していないし、発信したとしても「再生回数を狙う」ということはあまりしていない(得意でも無い)のですが、とはいえ、ときどき「再生回数」を狙いに行く時があります。

それが「どういう時か?」というと、「バックエンド商品(収益を作るための商品)が無い時=ただただ多くの方に届けたい(知ってもらいたい)だけの時」なんですけども、たとえば、キングコングの二人で歌った『えんとつ町のプペル』のMVだったり、全編無料公開をしたミュージカル『えんとつ町のプペル』の動画だったり、近畿大学の卒業スピーチだったり。

『映画 えんとつ町のプペル』まわりの動画もそうですね。

これらの動画に関しては、「企画・撮影・編集」の段階から口を挟んでいて、なんなら「どうバズらせるか?」というマーケティングの部分にもベラボーに口を挟んでいます。

この時の目的は逃げも隠れもなく「再生回数」なんです。

結果的に「大ヒット」という着地をしましたが、映画公開前の『えんとつ町のプペル』の認知度ってベラボーに低くて、まずは知ってもらわなくちゃ始まらないので、あの手この手で「知ってもらう活動」をしていたわけですが、その時は、YouTubeにもキッチリとすがって、とにもかくにも「再生回数」を狙いに行きました。

まぁ、それでいうと「バックエンド商品は『映画』じゃないか!」という話なんですけども、「映画のチケットを買ってもらう為の動画」というよりも、「まずは映画を知ってもらう為の動画」だったんです。

このへんが微妙なところなんですけども、『映画 えんとつ町のプペル』の損益分岐点(最低、動員しなきゃいけない人数)って、『120万人』だったんですね。
#最終的には197万人動員

これが5000人で良ければ、「映画のチケットを買ってもらう為の動画」(すでに興味を持ってくれている人)に全振りしてもいいんですけども、120万人となると、「まずは知ってもらうこと」が大事なんです。

「知ってもらう為の宣伝」と「買ってもらう為の宣伝」


テレビのCMの役割(目的)がまさにそれで、あれって、「買ってもらうこと」よりも、どちらかというと「知ってもらうこと」に体重がのっている。

テレビのCMを見て「よし、買おう!」とは、なかなかならないじゃないですか?

じゃあ、どこで「よし、買おう!」となるかと言うと、スーパーで買い物をしている時に、その商品を見つけて、「あ! これ、テレビのCMでやってたやつだ!」となった時。

その時に「ちょっと買ってみよう!」となりますよね?

あれは、テレビで「知ってもらう為の宣伝」をうって、スーパーの中で「買ってもらう為の宣伝」をうつ…という二重構造になっている。

このあたりは『スリーヒットセオリー』とかで検索すると出てくると思うのですが、「広告の費用対効果を高める為には、広告の接触頻度はどれぐらいがベストか?」みたいな理論があって…

1回目の接触→「見覚えのない新しい商品だ」

2回目の接触→「この商品のCM…この前も見たなぁ。どんな商品なんだろう?」

3回目の接触→「また、あの商品だ! ちょっと詳しく調べてみよう!」

みたいな感じで、1発目の接触では興味を持ってもらえなかったものも、繰り返し接触することで、興味が出てきたりするんです。

この理屈でいくと「知ってもらう為のCM」は1発目にうって、「買ってもらう為のCM」は3発目にうつのが効果的です。

『映画 えんとつ町のプペル』は大ヒットさせなきゃいけなかったし、近畿大学のスピーチに関しては、スピーチの依頼がメチャクチャあったので、一回で終わらせる為に、あそこでヒットさせる必要があった。

「卒業スピーチをお願いします」と頼まれたら、「YouTubeにあがっているので、それを見てください」と言えるように。
なので、仕掛けるところから、ゴリゴリに関わりました。

一方で『西野と学ぶ○○』とか、バンドザウルスの動画もそうですが、あれらの動画の目的は「知ってもらうこと」じゃなくて、「買ってもらうこと」なんです。

僕、「オンラインサロンの人」みたいなイメージを持たれているかもしれませんが、実はYouTubeのメンバーシップの会員数も国内トップクラスで、山﨑が見ている数字はそこなんですね。

タケダが『バンドザウルス』のYouTube動画で見ているのも、「概要欄で販売しているアートパネルが売れたかどうか?」で、それらが売れない動画をあげても意味がない。

言うまでもありませんが、先日アップした舞台『テイラー・バートン』の動画(前半20分無料公開) も、「オンライン配信チケットを買ってもらう為の動画」で、「再生回数」じゃなくて、オンライン配信チケットの券売数が伸びなかったら意味がないんです。

「商品を売ることが目的」であれば、再生回数は後回しにしてもいいハズなのに...

こういった「買ってもらう為の動画」に対して、「この動画、あまり再生回数が回ってないっすね」という指摘をされたりするのですが、それって、「ジャパネットたかた」みたいな通販番組に「視聴率、伸びないっすねー。もっとTBSのドラマを見習ったらどうっすか?」と言っているようなもんで、「何と何を同じ棚に並べんのよ!」と思ったりもするのですが、これ、意外と「発信側(YouTuber)」も同じ棚に並べがちなんです。

「今回の動画は再生回数をとりにいって、広告収入を得ること(あるいは認知を獲得すること)が目的なのか、それとも商品を売ることが目的なのか?」をまず考えて、「商品を売ることが目的」なのであれば、再生回数は後回しにしてもいいハズなのに、「再生回数がまわらなかったら落ち目だと思われる」みたいな謎のプレッシャーにやられて、すべての動画で再生回数を狙いにいってしまう傾向がある。

堀江貴文さんとかって、時事ネタを扱って、あきらかに「再生回数」を狙いにいっている時もあれば、お肉をライブコマースしている時なんかは「再生回数」よりも「肉を売ること」が目的となっていて、そこをキチンと切り分けていらっしゃるのですが、あれが、できる人って意外となかなかいない。

なので、お客さんの目も養われない。

ただ、ここからは「PtoC(個人が商品やサービスを直接消費者に販売する)」の時代なので、いいかげん、このあたりは切り分けられるようになっておいた方がイイと思います。

西野亮廣

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