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第84回 「10年後のお客さんを取りに行く」という選択

10年後を考える

ニシノコンサルをやっていたり、飲み会をやっていたりするもんだから、毎日毎日いろんな経営者さんから、いろんなお悩みを聞かせていただいております。

その中でも多いのは、「新規顧客が獲得できない」というお悩み。

ほぼ全業界がこの悩みを持っていて、お客さんと共に歳を重ねていき、エンタメ業界(とくに伝統芸能)だと「お客さんが歳を重ねて、膝が悪くなったので、(まさに)客足が伸びない」という具体的すぎる問題に直面しております。

皆、「若返りを図らないと!」と口を揃えて嘆き、そして、「どうすれば、10代、20代に刺さるか?」という議論を始めます。

「お客さんの年齢層が上がっちゃったから、若者へ訴求できる施策を!」と考えちゃう気持ちは凄く凄くよく分かるのですが、同時に、「分が悪いなぁ」とも思っています。

というのも、皆、自分が10代だった時に、40歳のオジサンの発信には興味が無かったハズ(20代のお兄さんに憧れたハズ)で、逆の立場になった今、「10代に届け〜」というのは少しムシが良すぎる。

CHIMNEY TOWNでいえば、10代に届けるのは20代のスタッフの仕事だと思います。

ならば、オーバー30のオジサンオバサン達はどうすればいいのでしょう?

新規顧客獲得は潔く諦めた方がいいのでしょうか?

いえいえ。そうじゃありません。

「新規顧客獲得」というと皆すぐに下の世代に目を向けますが、日本最大のマーケットは団塊ジュニア世代で、20歳~24歳の人口「287万人」に対して、45歳~49歳の人口は「471万人」。50代の人口もレベチ。

新規顧客獲得のハードルが低いのは、明らかにその世代で、踏み込んだ話をすると、お金を持っているのもその世代です。

ここを狙わないのはナンセンスで、もっとオジサン達に身体を向けて、オジサン達のニーズに耳を傾けてみるのはいかがでしょう?

そして、そこで終わりにはしない。

オジサン達からいただいたお金を、今度は「子供達」に使う。

「子供達」からはお金をいただかない。

絵本ギフト(支援NFT)などが、まさに。

当たり前ですが、この子供達は10年後、確実に10代になっています。

オーバー30が10代の子達に発信を届けるのはなかなか難しいですが、「10代の子達が、子供の頃から慣れ親しんでいるもの」を届けるのは、そこまで難しくない。

ポケモンで育った子達が「ポケモンGO」にハマったりするあの感じ。

10年後を見据えて、「自分」と「ボリュームゾーン(団塊ジュニア世代)」と「子供達」の三角形を作り、漁業的(魚を取る)なアプローチではなくて、農業的(種を植える)なアプローチで攻めた方が、筋が良いのかなぁと思っています。

くれぐれも、この打ち手が新規顧客の全てではありません。

シンプルに10代~20代を狙いにいく方法もあるでしょう。

ですが、頭の片隅にでも、「10年後のお客さんを取りに行く」という選択肢を置いておいても損は無さそうです。

一度、チームの皆で話し合ってみてくださいな。
現場からは以上です。

西野亮廣

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