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第145回 すべてのサービス提供者、すべてのエンタメ屋が無視しちゃいけないテーマ。人口減少に見る「すぐそこにある危機」について、解説!

日本の高齢化と人口減少は止まらない! まさかあなたは、今も2010年当時と同じ動き方をしていませんか?

今日は、【『人口減少』と『高齢化』という定数には絶対にあらがうな】です。


ミュージカル『プペル』のクラファン現況報告


2025年8月9日~8月30日までおこなうミュージカル『えんとつ町のプペル』(日本公演)に【2500人】の子供達(ときどき引率の大人)を無料招待しようと思って、先日立ち上げたクラウドファンディングは、皆様からの大きな大きな後押しのおかげで現在【563名】の方から【949万円】のご支援をいただいております。(2024年5月23日現在)

この時点で【1582名】の子供達を無料招待することができる計算です。
たくさんのご支援本当にありがとうございます。
とはいえ、まだまだ「目標の半分」といったところなので、引き続き応援宜しくお願いいたします。

僕も全国津々浦々頭を下げてまわって、このチャレンジは必ずモノにします!
【クラウドファンディングのご支援はコチラから】

2010年と今で、戦い方をどれぐらい変えてます?


さて。
今日も、このクラウドファンディング(ギフトチケット)関係で、すべてのサービス提供者、すべてのエンタメ屋が無視しちゃいけないテーマについて深掘りしていきたいと思います。

もしかすると話がトッ散らかるかもしれないので、先に話の串を刺しておくと、「2010年と今で、戦い方をどれぐらい変えてます?」といったところです。

この問いに対して、僕は明確に答えることができます。

うまくできているかどうかはさておき…
・『ギフト文化の創造』
・『VIP戦略』
・『海外展開』

この3つは、2010年の自分にはなかった打ち手でした。

じゃあ、2010年以前の自分は何をやっていたかというと「たくさんの日本人に、たくさん売る」の1本だったように思います。
皆さんはどうですか?

端から見ていると、2024年になった今も「たくさんの日本人に、たくさん売る」をやられている方が多いように思います。

必ずしも僕のやり方が正解だというわけではないので、話半分で参考程度に聞いていただきたいのですが…まず大前提として、「たくさんの日本人に、たくさん売る」に可能性があったら、僕はワザワザ戦い方を変えていません。
「戦い方を変えて、文化を一から構築する」って(批判も込み込みで)メチャクチャ面倒臭い作業なので。

だけど、「このまま、たくさんの日本人に、たくさん売ってたら未来が無さそうだなぁ」と思ったので、『ギフト文化』の創造や、『VIP戦略』などを仕掛けてみました。

「利用者と寄贈者を分けて考える」とか「高く買ってもらう」とかいったアレです。

このあたりの話は『夢と金』という名著に詳しく書かれているので、全国の教育者の皆様や親御さんはお子様と一緒に読んでください。

個人の力ではどうしようもない「定数」

さてさて。
問題と向き合う時には「定数と変数を分けて考えて、変数をチョコチョコする」というのが基本だと思うのですが、その為には個人の力ではどうしようもない「定数」を把握しておく必要があります。

というわけで、『シナリオクラブ』さんというカルチャースクールの方が2020年に書かれたブログ【人口減少に見る「すぐそこにある危機」それは演劇の世界にどんな影響を与えるか?】を元に、「定数」についてのお話を色々とさせていただきたいと思います。
※『シナリオクラブ』さんの記事はコチラ

タイトルのとおり、この記事では日本の『人口減少』の問題を取り上げているのですが、今日のお話の冒頭で「2010年と、どれぐらい戦い方を変えてます?」という質問がまさにここにあって…2010年の日本人の人口って『約1億2800万人』なんです。

なんか、それぐらいのイメージがありますよね。
で、今日から約10年後の2035年の日本人の人口がどれぐらいかというと、『約1億909万人』だそうです。

この25年間で、日本人って『1891万人』も減っているんです。

参考までに、オランダの人口が1770万人、スウェーデンの人口1049万人、ポルトガルの人口が1040万人です。
なので、結構メジャーな国が丸々1個消滅するぐらいのインパクトです。

海外だと少しイメージしにくいなら、日本で例えると、九州の人口が1256万人、北海道の人口が508万人なので、2010年から2035年にかけて、日本列島から九州と北海道が丸々消滅するぐらいのインパクトがある。
#これだとイメージしやすいかも

『シナリオクラブ』さんがブログの中で取り上げてらっしゃる問題の本質はここからです。

日本は人が減るだけじゃなくて、御存知「高齢化問題」があって、どっちかというとコッチの方が圧倒的に厄介なんです。

日本の演劇業界のボリュームゾーンって、今、40〜50代なんですけども、60代に入ると極端にお客さんが減るんです。
これがもうメチャクチャ減る。

理由は、「体力的に厳しいから」です。
「膝が悪いから、そんな遠くまで通えない」とか、「長時間座れない」とか、そういった、おもくそ物理的な問題ですね。

ここも「定数」ですね。

2035年って、10年後なので、今の50代は、泣いても笑っても、「劇場に足を運ばなくなる60代」に突入するんです。

今、演劇業界(というか、お出かけが必要なサービス)って、団塊の世代と、団塊ジュニア世代というボリュームゾーンにおんぶに抱っこなわけですが、団塊の世代は今、75~77歳なので、10年後はチョットどうなっているか分からないし、団塊ジュニア世代は10年後は60代という(演劇のデータ上は)「劇場に足を運ばなくなる年齢」に突入するので、何も手を打たなかったら、そこそこ壊滅的な状況に陥ります。

今、僕らがやれることは? 「変数」は2つあると思っていて…


「じゃあ、どこから手をつければいいのか? 今、僕らがやれることは何なのか?」という「変数」の話ですが、これは2つあると思っていて、まずは『60代でも観ることができる作品を作る』というのが1つ。

「劇場に足を運ばないから」と60代を切り捨てるわけじゃなくて、60代でも観れるものを作る!

そしてもう1つは『子供に届ける』です。

「『60代でも観れる作品』とは何ぞや?」という話ですが、好みは人それぞれなので分かりませんが、これはシンプルに【上演時間】です。

僕は演劇屋さんのことをよくよく知っているのですが、皆、長い作品をやりたがるんです。
2時間は当たり前で、3時間…へたすりゃ4時間といった。

若かった頃の自分の感覚で作っちゃうんですけども、60代になると「オモロイorオモンナイ」の前に「そんなに長時間座れない」んです。

「高齢になると、膀胱の容量が減少し、溜めておける尿の量も減るため、トイレも近くなる」という圧倒的な「定数」もある。

膀胱に勝てる作品なんて、この地球上に無いんです。

「人前でオシッコを漏らしてでも観たいスター」なんて、この地球上に存在しないんです。
まずは、ここに抗っちゃダメ。

膀胱は神様なので。

次に、『ギフト文化』の創造です。

やっぱり『子供』に目を向けないと、すべてが焼け石に水で、必ず終わりがくる。

「じゃあ、どうすれば子供が来てくれるんだ?」
「子供にブレーキを踏ませてしまっている要因は何なんだ?」

ここを徹底的に考えなきゃいけない。

僕らは『ギフト』や『VIP戦略』で、そこを乗り越えようとしていますが、皆さんはどんな手を打たれていますか?

「定数」と「変数」をしっかり見定めて、まずは「定数には抗わない」を徹底されるのが良いと思います。

西野亮廣

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