第173回 広告が昔よりも難しくなった! 「今の時代の戦いは、『思い入れ』を創造できるかどうかが全て」だ!
テレビ局がとんでもない宣伝費を投じ、大々的に打ち出した映画が大ゴケする今、正解は何?
西野亮廣によるマーケティング論。「よく見かける=接触回数」よりも、「思い入れがある=接触時間」の方が、お客さんの足を動かせる!
今日は【『接触回数』と『接触時間』、大切なのはどっち?】です。
今、集客に求められているのは「思い入れ」なんじゃないか?
今日は最後にクラウドファンディングの案内をしたいのですが、そこに繋がる形で、マーケティングっぽい話をさせていただきます。
サロンメンバーさんなら御存知だと思いますが、僕が一昨年ぐらいから向き合っているテーマの1つです。
映画を作っていると、「大爆死」というあまり耳にしたくない言葉がイタズラに耳に飛び込んできます。
テレビ局が本腰を入れて、とんでもない製作費(広告宣伝費)を投じて、大々的に打ち出した映画が大ゴケする景色というのは昔から時々あったと思うのですが、最近、まわりの映画屋の話を聞いていると、「広告が昔よりも難しくなった」という話を皆してるんですね。
昔はそれこそ宣伝を打ちまくって、いろんなところに看板を出して、面を取りまくる…という札束の暴力的な広告宣伝がまだ効いていたけど、ここ数年は、その手法が全然効かないどころか、逆にそんなことをしてしまうと目の敵にされてしまう…みたいな空気になっているそうです。
何回もお客さんの目に触れさせて、「気にならさせる」手法を、マーケティングの世界では「単純接触効果」と呼んだりしますが、「接触回数を増やすだけでは集客に繋がらない」という結果が出てしまっているのが現代なのかもしれません。
それこそ、映画『THE FIRST SLAM DUNK』なんかは、接触回数がそれほど多かったイメージがありませんでしたが、記録的なヒットに繋がった。
「あのヒットをどう読み解き、言語化するか?」がカギな気がしていて、結論から言っちゃうと、今、集客に求められているのは「思い入れ」なんじゃないかと思っています。
あくまで現場の肌感ですが、「最近、よく見る」よりも「思い入れがある」の方がお客さんの足が動いていて…となると、マーケターとしては「どうすれば『思い入れ』というものを持っていただけるか?」と考えるわけですが、これはもう『接触回数』ではなく、『接触時間』でしかなさそうです。
「我が子のピアノの発表会をなんとしてでも観に行く親」のあの勢いは、『接触時間』の副作用でしかない。
今の時代の戦いは、あの「思い入れ」を創造できるかどうかが全てで、そうなってくると、作品の届け方は勿論のこと、作品の作り方から全て変わってくる。
それこそ「サプライズ」を見所にしてしまっている作品は繰り返し観られることが極端に減ってしまうので、『接触時間』が減り、『思い入れ』を創造しにくい。
他にも「思い入れが生まれやすい作品の性格」は挙げていけばキリが無いのですが、時間に限りがあるので割愛させていただきます。
なるべく卵やヒヨコの段階から出来事を共有していって…
話はうって変わって、現在、2025年の夏に上演するファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』の密着ドキュメンタリーをYouTubeで毎週金曜日に配信しています。
この密着ドキュメンタリーは劇場に足を運んでもらうことを目的としたプロモーション動画なのですが、ここでもやっぱり「思い入れ」がモノを言うと思いました。
よっぽどの演劇ファンじゃないと、「思い入れがないミュージカル」には、なかなか足を運ばない…というのが僕達の結論です。
なので、なるべく卵やヒヨコの段階から出来事を共有していって、お客さんと共に過ごす時間を延ばして延ばして延ばします。
もちろん業界の中には、「そういう裏側は見せるもんじゃない!」という方もいらっしゃるのですが、それはもうその方のやり方なので、御一緒することは諦めて、僕は「思い入れ作り」に励みます。
クラウドファンディングを立ち上げました!
そんなこんなで、先日、あらたにクラウドファンディングの企画を1つ立ち上げました。
ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』で使用する楽曲(仮歌)を、公演の半年以上前にYouTubeにアップする費用を集めるクラウドファンディングです。
やっぱ、一般的な感覚でいうと「知らない曲が続くミュージカル」はツライし、YouTubeにあげた楽曲が、どこかの誰かの来年の夏までのBGMとして使われたら、どこかの誰かは、その曲に「思い入れ」が生まれるでしょう。
そんな仕掛けが今求められている気がします。
クラウドファンディング『PICTURE BOOK』でプロジェクトが立ち上がっておりますので、一度、ご確認ください。
西野亮廣
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