西野亮廣が、演劇の旧体制を壊す! 宮迫博之と挑む舞台『テイラー・バートン』に刮目せよ
2023年7月29日・30日の2日間限定で上演される舞台『テイラー・バートン』が公開前から話題だ。
西野亮廣氏が演劇の新しいビジネスモデルに挑戦した舞台とは
日本トップレベルの照明演出、ジェットコースター型泥棒活劇
東京・東京キネマ倶楽部にて、
主演:宮迫博之、
脚本・演出:西野亮廣
舞台『テイラーバートン』
2023年7月29日・30日の2日間限定で上演が始まった。
西野氏の舞台といえば、累計70万部超のベストセラー絵本『えんとつ町のプペル』のミュージカルが、チケットは即日完売、配信上演では1万名を超える動員数を記録するなど、大きな話題を呼んだ。
今回の舞台は『えんとつ町のプペル』と違って、ワンシチュエーションの会話劇。
それに加えて、出演者が宮迫博之氏、TKO木下隆行氏、阿部よしつぐ氏、そして戸田恵子氏という豪華なラインナップ。
脚本・演出はもちろん、インパクトある出演者陣、2日間限定という公演期間、運営方法など、公演前から話題になる要素は満載な訳だが、実際の舞台も圧倒された。
幕開けは、阿部よしつぐ氏の登場から。
笑いを振りまきながら惹きつける“前説”に観客の心が完全に奪われたところで物語がいよいよ始まった。
物語の舞台となるのは、東京・鶯谷の「東京キネマ倶楽部」地下にある(といわれている)アジアンマフィア「九頭竜商会」の地下アジト。
今作のタイトルになっている「テイラー・バートン」とは、シカゴ美術館のメインフロアに展示されている国宝のブルーダイヤモンドの名前だ。
この超貴重なダイヤモンド「テイラー・バートン」が盗まれることから物語は始まる。
キャストたちのテンポよく繰り広げられる掛け合いによって、スピーディーに展開していくジェットコースター型泥棒活劇。
随所に小ネタが散りばめられ、見ている観客を飽きさせない。
何と言っても、宮迫氏、木下氏、西野氏とお笑い芸人がそろっている。
芸人ならではのサービス精神が炸裂し、さすがプロだなと思わせるその一挙手一投足から一瞬たりとも目が離せない。
そして一幕物の会話劇だが、舞台美術や照明演出が素晴らしい。
クリエイティブチームは、ミュージカル『えんとつ町のプペル』を手がけたチームで、美術も照明も何もかも一級品。
照明演出を手がけるのはSEKAI NO OWARIのライヴなどを手がけている井實博昭(いじつひろあき)氏だ。
キャストの掛け合いと怒涛の展開、有無を言わせず一気に惹き込む照明演出に圧倒された、あっという間の2時間だった。
なぜ2日間しか公演しないのか
こんなに面白い舞台なのに、なぜ西野氏は2日間限定の公演にしたのだろうか。
実はこれこそ、演劇界全体への挑戦でもある。
2日間という短期間での公演にした理由は2つあるという。
「またコロナのような感染症が蔓延する可能性がゼロではない」ということと「キャストの高齢化」だ。
公演日数が長ければ長いほど、公演期間中の「中止」「延期」のリスクは上がり、そうなった場合、劇団は大きな負債を抱えることとなる。
実際にコロナ禍で、その憂き目に遭った劇団は少なくない。
また、高齢化は避けられない問題だ。
キャストからの「ロングラン公演が体力的に厳しい」という声はこれから増えてくるだろう。
だったら「公演日数を短くすればいい」と思うがそういうわけにもいかない。
舞台には「短期公演だと採算がとれない」という現実的な問題があるのだ。
短期公演で採算を取ろうと考えると、簡素な舞台セットでおこなう公演か朗読劇などに絞られてきてしまう。
それはそれで、その公演スタイルならではのよさがあるのだが、さらに、日本の演劇シーンは「稽古代は出さない」が慣習になっている。
「作り込んだ舞台」は短期公演では興業的に成立しないのか?
「稽古代が出ない」という当たり前は崩せないのか?
そんなわけで、今回の舞台『テイラー・バートン』は、これまで“演者やスタッフのやりがい”によって成り立ってきた演劇業界の慣習に疑問を持ち、エンタメの発展に死ぬ気で取り組む西野氏の挑戦でもあるのだ。
「クラウドファンディングで予算を集める」
「支援×NFT」
「制作過程を販売する」
「VIP戦略を持ち込む」
「劇中で使用する小道具を先行販売する」
「オンライン配信チケットの売り上げの1%を各キャスト支払う」
など、さまざまなアプローチで、演劇の労働環境と向き合った西野氏。
その結果として今回の舞台では、「出演料+稽古料+オンライン配信の印税」という、新しい演劇の報酬設計を作り上げた。
オンライン配信のクオリティにも乞うご期待!
劇場チケットは完売してしまったが、オンライン配信チケットはまだ販売中だ。
百聞は一見にしかず。舞台業界の逆境を乗り越えるために新しい演劇制作を模索する西野亮廣の、このすべてが規格外の舞台を、自分の目で確かめてほしい。
オンライン配信というと、公演を客席の後ろから撮影したものを配信するのだろう、と思ってしまうところだが西野氏が考えるものは違う。
オンライン配信用に劇場を丸々1日おさえ、カメラ12台で、映画やドラマのように撮影したものが配信されるというから驚きだ。
さらにオンライン配信では、撮影・映像編集にこだわった、配信でしか見ることができない舞台が見られるほか、宮迫博之氏・TKO木下隆行氏・西野亮廣氏の3人が繰り広げるぶっちゃけトーク動画の特典つきだ。
コミカルでありながら巧みな伏線でどんでん返しとドッキリが満載の脚本に、見事にハマったキャスティング、素晴らしい舞台美術、豪華すぎる照明演出。
西野氏のさまざまな挑戦が、業界の慣習を変えると確信できる舞台。
エンタメの可能性を誰よりも信じ、エンタメの未来を誰よりも本気で考えている西野亮廣がつくる舞台をぜひ体感してほしい。