『星を追う子ども』ー新海誠の転換期ー
私は新海誠監督作品の『星を追う子ども』はあまり好きではなかった。
しかし新海誠作品のサントラがサブスク配信されてエンディングテーマの熊木杏里の「Hello Goodbye&Hello」を聴き、歌詞を読んだら『星を追う子ども』が新海誠監督の転換期になったのだと考えた。『星を追う子ども』以前は「会えない物語」だったが、それは絶対に会えない訳ではない。もしかしたら会えるかもしれないという可能性を孕んだ物語だった。
しかし、『星を追う子ども』は死別という二度と会えない物語を描いている。だからもう会うことが出来ない。以前の作品群とは違い二度と会えないのだ。
しかし、物語はその死を受け入れて生きていく主人公たちを描き終わりを迎える。
そう新海誠監督は今まで曖昧に描いてきた「会えない物語」を「二度と会えない物語」に変換し、その象徴である「死」を描き、「死」を受け入れ生きていくという回答を出した『星を追う子ども』はまさに「君には二度と会えない、だからこそ僕は君の分まで生きる」というテーマを描いた新海誠監督にとっての転換期になった作品だ。
そしてエンディングテーマの熊木杏里の「Hello Goodbye&Hello」が作品のテーマの答えを歌っている。
Hello Goodbye & Hello
君に会って 今君にさよなら
Hello Goodbye & Hello
そして 君のいないこの世界に Hello
そう「君」はこの世界にいないのだ、しかし、立ち止まらず「君」がいない「世界」にHello=生きるのだ