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精神疾患のある人の居場所を作りたい-誰もが生きやすい社会へ向けて-

私の夢は、精神疾患の人たちが同じ病気の人の体験談を読んだり、気軽に集まって悩みを相談したりできる場所を作ることだ。特に、強迫性障害の人の体験談を集めたサイトを作りたい。



精神疾患のうちの一つ・強迫性障害について


私は現在、強迫性障害という病気で大学を休学している。
強迫性障害とは

強迫症(強迫性障害)は、自分にとって無意味ないし不合理と判断される考えや行動を制御できなくなるという症状を特徴とする疾患で、患者さんは症状により強い苦痛を感じ、日常生活にも支障を来たすようになります。

兵庫医科大学病院 強迫症(強迫性障害)みんなの医療ガイド


という病気である。

症状の例として、

  • 手が汚れていると感じて何回も洗ってしまう(不潔恐怖)

  • 外出前に「コンロに火がついたままかも」「電気がついたままかも」という不安で確認してしまう。それが何回やっても納得できない。(確認恐怖)

  • 人にぶつかったり車で轢いたりして怪我をさせたのではないかという不安から来た道を戻ったりしてしまう(加害恐怖)

などが主な症状である。他にも決まった順番で行動しないと気が済まなかったり、不吉な数字(4,9など)を異常なほど避ける、など症状の種類はさまざまだ。

私は確認恐怖と加害恐怖が特にひどく、一人では外に出られない。
一番症状が重かった時は、五分で歩ける道を一時間かけて歩き(人にぶつかっているか気になって、きた道を何回も戻ったため)、火元の確認がどうしてもできず、家から出れなくなって大学の授業を欠席した。そのせいで出席日数が足りず、単位をボロボロ落とした。

私はこの病気を高校生の時から患っており、今年で五年目である。


人生諦めかけたらSNSとブログで救われた

自分が強迫性障害であると知ったのは大学一年生の春だった。しかし、診断が下りたのはいいものの、

どうやって治せばいいの?

という状態だった。当時の私は生活をする・学校に行くだけでも疲労困憊という状態で、家事や課題に手が回っていなかった。学校にはいつも遅刻ギリギリor遅刻で教室に入り、帰ってきたらベッドに倒れ込み、料理を作る体力も残っていないからいつも出来合いのものを食べていた。風呂にもなかなか入れず、課題のレポートも出すだけで内容はすっからかんで、掃除をする気力がないために部屋は埃まみれで荒れていた。そんな感じだったので気分も下がり、将来に希望が持てなくなって生きていくのがとても辛かった。少しすると大学にもいけなくなり、このまま自分はずっとこんな生活をするんだ、病気なんか治らない・治せない、と思っていた。

病院を受診してお医者さんからは薬を渡されたけれど、それだけでピタッと症状がおさまるわけではない。副作用だって強いし、効果が出るまで時間がかかる。それまでどうやって生きていけばいいのか。もう人生終わらした方が楽なんじゃないか。何回も思った。だから、とてもじゃないが「がんばって治そう!」という前向きな気持ちにはなれなかった。

そんな私の生きる希望になってくれたのは、同じような経験をしている人のSNSやブログでの発信だった。自分と同じ強迫性障害の人や違う精神疾患を持つ人が自分の思いを投稿しているのを見て、「この気持ち共感できるな」「同じ症状の人がいる」ということも知ることができて心が軽くなったのだ。
「私は一人じゃないんだな」という事を知り、少し救われた気がした。
さらに、「こうしたら症状が少しましになった」「こうやって病気を治した」というような情報も見受けられた。

この病気は治る病気なんだ。前を向いて治療をがんばったらいつか明るく笑える日々がくるのかもしれない。そう思えたのは、SNSやブログを書いてくれた方々のおかげである。

そこから私は毎週病院に通い、薬を飲み続けた。副作用がきつくてベッドから出られない時もたくさんあり、今も辛い状況にあるのは変わらないが、少し症状が落ち着いてなんとか生活できている。


少し元気になった頃、私はnoteを始めた。自分の体験談や気持ちを書くことで今度は私が誰かの希望になれたらと思ったのだ。ありがたいことにいろいろな方に読んでいただき、反応ももらえている。嬉しい限りである。

しかし、これだけでいいのか。という思いがよぎった。

私一人の体験だけでは伝えられないものがあるのではないか。
今も足りない文章力で言葉をこねくり回してなんとか文を綴っている。私だって書くことはできないが伝えたいものがまだある。
それに、同じ病気でも私の症状ではない、違う症状がある人もいる。その人には私の文章は届かないのではないか。

だったら、

いろいろな人の体験談を集めて一つのサイトにまとめるといいのではないか?

と思った。


やりたいこと

私がやりたいことをざっくり分けるとこうだ。

①強迫性障害や他の精神疾患のある人の克服記や今も闘っている人の体験談が載っているサイトを作る

②同じ病気の人同士で交流ができる自助会を作る

③敷居の低い、無料の悩み相談が気軽にできる場所を作る


①に関しては今までに書いたとおりである。同じ病気の人の話を読むことで、共感でき、少しでも前向きになることができるのではないか。

②に関して。もう自助会はある、という意見もあるかもしれない。確かに自助会はもう存在する。大都市ならそうだろう。
しかし、田舎の方はどうだろう。まだあまりないのではないか。少なくとも私の地域にはない。
そこで、どこからでも参加できるオンライン自助会を作りたい。

③は専門性の高いものではなく、あくまで経験者として同じ目線で悩みを相談できる人がいる、というサービスを作りたい。有料のカウンセリングは料金も高いし、少し敷居も高い。あまり気軽に相談、とはいきにくいだろう。
だから、たとえば「近所のお姉さんが同じ病気らしいよ、話聞いてみる?」みたいな、アットホームな雰囲気で相談できる場所を無料で提供したい。
また、今現在、悩みの相談窓口は相談の件数が多くて逼迫していると聞く。
相談しようにもつながらない、ということが多発しているのではないか。
私も、相談しようとして繋がらなかったことがある。
そこで精神疾患専門の、経験者と相談ができる窓口を新たに作れば、その状況も少しは改善されるのではないか。


確かに、これらのサービスはもう存在するという意見もあるかもしれない。しかし、このようなサービスにもうできた、という終着点はない。今あるものでは足りないという人だっているだろう。私がそうだ。体験談も、もう少し詳細に教えて欲しいな、と思うところはある(体験談を書く個人の気持ちによるが)。自助会だって私の住む地域には全然ない。悩み相談でも値段が高かったり、相談窓口が空いてないなどで何もできなかった。人の数だけ苦しみがあり、人の数だけ解決策がある。全く同じサービスというものはないのだから、少し違う、多様な支援を作ることは決して無駄なことではない。

未来へ

生きることはとても辛いものである。病気があれば尚更だ。自分ではコントロールできない症状に振り回され、人と自分の生活を比べ嫌気がさし、生きることがとても辛いことのように感じる。もう普通の生活がわからない。今までどうやって生きていたのかも思い出せない。

そんな暗闇に迷い込んだ時、背中を預けられる場所を私は作りたい。助ける、なんておこがましいことは言わない。ただ使いたかったら使っていいよ、というそんな拠り所になりたい。

一人で悩まずどこかに寄りかかれる場所があれば。社会とつながる場所があれば。きっと誰も孤立しない社会が作れるのではないか。
そんな未来を私は作りたい。












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ゆき
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