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ショートショート 「巨人」
体が持ち上げられるような感覚で目が覚めた。ぼんやりとした意識の中、私は突然、窮屈な場所に押し込められた。
異変に気づき抵抗しようとしたのだが、すでに両腕と体が縛られていて身動きができない。
なんだなんだ。これはいったい何事だろう。
ガタガタと揺れている感じから、おそらくどこかへ移動しているようだ。
僅かな隙間から外の様子が窺えるが、上を向いた体勢で固定されているため、空や雲、木の枝といった類のものしか捉えることはできない。
正面にある白い壁は、振動に呼応しゆらゆら揺れていて薄気味悪い。
ぬうっと目の前に大きな顔が現れた。そして私の4倍はあろうかというその口で、にいっと笑った。
私は恐怖のあまり、声を出すこともできなかった。
白い壁だと思っていたものは、巨人の胴体部分だったのだ。
巨人が私をどこかに運んでいる。きっと切り刻まれて焼かれて食べられるんだ。私は絶望的な気分になった。
「助けて!」「ここから出して!」と叫ぶと、また顔が現れてなにかを言い返してくるのだが、あいにく巨人語は私にはわからない。せめて言葉が通じれば…
そう思っていると、揺れが止まった。白い壁がなくなり目の前が開けた。巨人がいなくなったのか?
そうだ今のうちに、と脱出を試みるが、きつく固定されているようでうまくいかない。
そうこうしているうちに、さっきとは別の巨人の顔が近づいてきて、にいっと笑った。
に、二体いたのか。運良く片方の目を盗めたとしても、もう片方が逃がさないってわけだ。
巨人同士が会話をしているのが聞こえるが、やはり内容はわからない。おおむね、私をどう料理しようかなどを話し合っているのだろう。
さらに希望が絶たれたところで、さきほど叫んだ疲れがドッとやってきた。心地いいリズムの揺れも相まって、急激な睡魔に襲われた私は、ふうっと眠りについてしまった。
ハッと起きるとそこはいつもの自分のベッドの上だった。よかった。食べられずにすんだようだ。
しかし、耳を澄ますとどこからかズンズンと足音が聞こえるではないか。巨人がまだ、近くにいる。
「家族三人での初めてのお散歩、楽しかった〜」
「可愛い寝顔も撮れたしね!」
巨人たちがまた、何か言っている。
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以前書いたこちらの記事を元に、娘とのはじめてのお散歩を、娘視点で物語にしてみました。
あれからもう2ヶ月半も経つんですね〜。時が経つのは早い。
娘もすっかり大きくなりました!(ゆうてもまだ小さいけど)
それから、今回はこちらの企画に参加させていただきます!
ショートショートは初投稿なのですが、書くの楽しいですね〜
今後もちょくちょく書いてみようかな、なんて思ったり思わなかったり。
ちなみに今日、巨人はDeNAに9-7で勝ちました。
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