サバ缶、レンジ爆発、掃除。

皿に出したそれは缶の形に沿った円柱形。サバは魚で、本来水中で生きるためのエラとヒレを持っているの。誰もこの形で海を泳げるとは思わないでしょう。
マグネトロンの先っちょのアンテナから発された周波数2,450MHzの電波が、庫内の分子を振動させた。その分子運動に、単に食品用として調理されまとめられた円柱の脆弱なアンカリングは耐えられなくて、剥がされ、外され、離れさせ、飛び散った。この結果が期待されたのは口の中だったけれど、そこに辿り着くには少し早かったように思う。
そういうことで、これまた無口でひたむきに陽光へ向かって手を伸ばすお利口さんの身体で拵えた使い捨ての布で拭った。持続可能な仕組みを持っていないから、しばらくすればこの右手の中に収まっている興奮する分子の運動も止まるでしょう。
その先に関してはどの考えにも至らなくて、つまり関わりをなくしても問題なかった。こういう時に便利な魔法の袋がある。週2回、どこへいっても、どうなっても、どうでも良いものを遠くに持っていってもらえる袋。

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