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被害者支援を侮辱する方への抗議文

 こんにちは、神崎ゆきと申します。

 この抗議文を書くかどうか、非常に悩みました。しかし、どうしても看過できないことが起こりましたので、僭越ながら文章を書かせていただきます。

 本稿の内容は、『全国被害者支援ネットワーク』に寄付をした方々に対して「侮辱的なレッテル」を貼られた事に対する抗議文となります。

 恐れ入りますが、最後までお読み下さると幸いです。

1. 殺人未遂事件

 2021年8月6日、小田急線にて大変痛ましい刺傷・殺人未遂事件が起こったことは、この文章を読まれている方でしたら、既にご存知のことかと思います。

 インターネット上では、この事件を巡って様々な議論がなされています。

 特に大きな議論としては、この事件が「ジェンダーに基づく憎悪犯罪」すなわち「フェミサイド」に該当するかどうか、というものです。

 まず、私としてはフェミサイドと断定することは慎重になるべきだと考えています。

 現状、この事件をフェミサイドだとする根拠は、逮捕された容疑者が「6年前から幸せそうな女性を見ていると『殺したい』と思うようになった」と供述したことが発端となっています。

 しかし、情報が公開されていくにつれ、当該容疑者の供述は二転三転していることが分かります。

 そして、事件の直前に当該容疑者が「余計な金を使いたくなかった」と万引をしていることや、生活保護を受けていることなども報じられています。

 つまり、生活困窮で自暴自棄になり起こした「貧困当事者の犯罪」との見方もできるのです。

 そのため、私はこの事件をフェミサイドと断定することは、早計ではないかと考えています。

2. フェミサイド

 小田急線にて起きた刺傷・殺人未遂事件は、韓国ソウルの江南駅で起きた『江南駅通り魔刺殺事件』と比較されて議論されているのをよく見かけます。

 『江南駅通り魔刺殺事件』には「フェミサイド」と「統合失調症患者の犯罪」という2つの見方がありますが、韓国の大法院(日本の最高裁に相当)は「女性嫌悪による犯行ではない」との見解を示しています。

 しかし、未だにこの事件は「フェミサイドであり、ミソジニー殺人である」と語られる見方が根強いです。

 それだけならまだしも、この事件を端に発して「フェミサイドだと認めないことは女性差別である」という風潮すらありました。

 その結果。

 この『江南駅通り魔刺殺事件』が起きた2016年から、韓国では男女対立は激化したのです。

 2018年に韓国女性政策研究院が行った調査では。

 20代女性の約40%が「私はフェミニスト」と自認していますが、20代男性の約60%は、女性に対して「平等という言葉を盾に多くを要求し、男性嫌悪をしている」と認識しています。

 そもそも、フェミサイドは定義が非常に広く「あえて開いた定義を用いることが、女性であることを理由として起こる様々な形態の殺人の可視化に有益である」という理由で、論者や目的によってばらつきがあります。

 フェミサイドという概念は、既に起こって収束した犯罪を「ジェンダーに基づく憎悪犯罪」を含む新たな観点から分析することや、その分析に基づく犯罪抑止・犯罪の可視化・防犯に使われるべきものでした。

 しかし「フェミサイドだと認めないことは女性差別である」もしくは「フェミサイド以外の見方をすることは事件を矮小化している」という考え方は、それ以外の観点の分析を反故にするものであり、犯罪対策として本末転倒と言えるでしょう。

 『江南駅通り魔刺殺事件』と、小田急線にて起きた刺傷・殺人未遂事件は、構図が似ています。

 事件そのものではなく、その事件を端に発して「フェミサイド」と「貧困当事者の犯罪」の2つの見方が議論されること。そして、これをフェミサイドと認めさせようとする動きが似ているのです。

 そのため、私は韓国の現状を鑑みるとフェミサイドと認めさせようとする風潮、およびそれに立脚する抗議活動には、懸念を持っておりました。

3. 抗議活動

 小田急線にて起きた刺傷・殺人未遂事件をフェミサイドだと見る動きの中で、ある2つの抗議活動が注目を集めました。

 1つ目は、フェミニストの笛美氏が提案した「あなたの幸せな瞬間の写真を投稿して抗議しませんか?」という抗議活動。

 2つ目は、「祖師ケ谷大蔵駅にポストイット(付箋)を貼って、ミソジニー犯罪にNOを」という抗議活動です。

 これらの抗議活動に、私は強い違和感を覚えました。

 特に、後者に関しては。

 駅の掲載物には管轄の駅の『許可証』としてスタンプが押されるはずです。また、小田急線の駅で掲示物を貼れるのは『壁ばり掲示板』に限られます。そのため、この抗議活動は駅に無許可であることが伺えます。

 無許可の掲示行為は「軽犯罪法1条33号」および「東京都屋外広告物条例違反」もしポストイットが強粘性で跡が残れば「器物損壊罪」にも該当し得る行為です。

 この事件では、小田急線を運営する小田急電鉄株式会社も被害を受けています。事件に付随する経済的損失は計り知れないでしょう。

 駅のポストイットを剥がす、ゴミを処分することにも、人件費の負担が掛かります。

 昨今のコロナ禍を経て、経済的損失が貧困問題や人命にまで及ぶことは、今さら語るまでもないはずです。

 また、駅の掲示を不用意に汚す行為は治安の悪化に繋がります。軽微な犯罪を容認することが凶悪犯罪に繋がる現象は、環境犯罪学の用語で「割れ窓理論」と呼ばれています。

 もちろん「駅に無許可でポストイットを貼る」と同様に駅に負担を掛ける、例えば「駅や電車で酔っ払って吐瀉物を撒き散らす」なども迷惑行為に当たります。

 しかし、そのような迷惑行為を『正義の抗議活動』として正当化されたら、どのように思うでしょうか。

 凶悪犯罪への抗議活動として軽犯罪・迷惑行為を行うのは、本当に正しい行いなのでしょうか。

 これらの抗議活動が、本当に被害者の為となるのか。他人に迷惑を掛ける抗議活動よりも、優先すべきことがあるのではないか。

 疑問に思った私は、被害者支援の情報を自ら広めることにしました。

4. 被害者支援

 2021年8月9日から、私は公益社団法人『全国被害者支援ネットワーク』への寄付をTwitterで呼びかけ始めました。

 私が上記のURLをツイートに載せて投稿したところ、何人もの方が「寄付しました!」とリプライや引用RTで伝えてくれました。寄付した画像を添付して下さる方もおりました。

 私がそれらの投稿を"RT&いいね"していくうちに、次第に大きなムーブメントとなっていきました。

 結果として、1,000名以上の方が拡散に協力して下さり、翌日の8月10日の時点で130名、そこからさらに増えて、私が把握している限りでも8月11日の時点で180名以上の方が実際に寄付をすることに繋がりました。

(その後、8月12日の時点で270名以上の方が寄付をされています)

 なお、『全国被害者支援ネットワーク』が公開している2020年の情報では、団体を除き、個人の賛助会員(年3,000円の支援協力をする会員)は105名、単発での寄付した人数は112名となっています。

 一概に人数が全てというわけではありませんが、1つの大きなムーブメントとして、意味のあるものになったのではないかと思います。

 もちろん、寄付は強制ではありません。寄付をして「寄付しました!」と表明することも、黙って寄付をすることも、どちらも尊い行いだと思います。

 また、経済状況から寄付ができない方もいらっしゃるでしょう。そして、経済的余裕があったとしても、必ずしも寄付しなければいけないわけでもありません。

 しかし、被害者支援の情報を拡散することは、大きな意味があったと考えています。特に、今回は「知らなかった!」と言って寄付をして下さる方が何人もいらっしゃいました。

 「小田急線の刺傷・殺人未遂事件を受けて、何か被害者を支援する行動を起こしたいけれど、情報を知らない」という方が、非常に多かったのです。

 そのこともあり、私を普段からフォローして下さっている範囲を超えて、本当に多くの方が協力して下さったものと思います。

5. ムーブメント

 この被害者支援のムーブメントの発端となったのは、おそらく私で間違いないと思います。

 しかし、私がムーブメントの「主催者」と言えるかは難しいところです。

 私は『全国被害者支援ネットワーク』の関係者でも、小田急線の刺殺・殺人未遂事件の関係者でもありません。

 そのため、呼びかけを始めた以上は責任感を持っておりますが、発端となったことを誇示するつもりも、協力者に寄付の仕方を強制するつもりもありません。

 他の方が呼びかけを始めたとしても、それを私が咎める正当性はないのです。

 そんな中で、私の呼びかけに呼応して、私以外にはこちらの幻集郎氏が被害者支援の情報拡散を表立ってされておりました。

 幻集郎氏が行ったのは、『全国被害者支援ネットワーク』に寄付をしたと表明した方のTwitterのアイコンを画像に載せる、という企画です。

 画像の表題に書かれている「ポストイット」は前述した「駅に無許可でポストイットを貼る」という抗議活動を受けてのものでしょう。

 私個人としては、幻集郎氏の企画は「半分賛成・半分反対」と思っております。

 賛成部分としては、カジュアルな気持ちで寄付の一歩を踏み出せること。

 日本では寄付活動自体があまりポピュラーではないため、寄付を促すためにエンターテイメント性を取り入れる試みが、様々なところで為されています。

 下記のnoteでは、数年前に一大ムーブメントになった「アイスバケツチャレンジ」が取り上げられています。幻集郎氏の試みも、今回の被害者支援ムーブメントの勢いをブーストしたことは間違いないでしょう。

 次に、反対部分について。

 1つ目は、幻集郎氏の企画では「寄付しました!」と表明する必要がありますが、被害者支援は必ずしも寄付をすることだけが全てではないと、私は思います。

 「寄付して、さらに表明しなければならない」という同調圧力が生まれることは、あまり健全ではありません。

 前述した通り、寄付をして「寄付しました!」と表明することも、黙って寄付をすることも、寄付せずに情報の拡散だけに協力することも、いずれも被害者支援に繋がると私は考えるからです。

 これに関しては、引用RTで補足を入れることで対応を行いました。

 2つ目は、幻集郎氏の企画が「迷惑な抗議活動をするフェミニストへの当てつけ」となっている点。

 私自身はフェミニズムおよびフェミニストに懐疑的な立場ではありますが、被害者支援に関してはどんな思想を持っている方でも、イデオロギーの垣根を超えて、支援の輪が広がって欲しいと考えています。

 そのため、幻集郎氏の企画はフェミニストが被害者支援に参入する妨げになってしまうのではないかという懸念がありました。

 しかし、これも前述した通り。

 私はこのムーブメントの「主催者」ではありません。幻集郎氏の企画が、寄付をしていない者への誹謗中傷や人格否定を含むのであれば止めましたが、そうではありません。

 なので、まずは幻集郎氏にDMを送り、シニカルな揶揄は抑えるように提言をしました。前述した画像は「ver.03」であり、それ以前の画像は少々揶揄性が強いものだったからです。

 あくまで提言であり、それを採用するかどうかは幻集郎氏次第だったのですが、私の提言によるものか、あるいは他の方からの意見の影響かは存じませんが「ver.03」の画像は以前よりも揶揄性が抑えられたものとなりました。

 そして、他の対応として「駅に無許可でポストイットを貼る」の活動の呼び掛けをしていた方も、被害者支援の情報を投稿されていたので、それも全てRTしたうえでコメントをしました。

 しっかりと言葉にすることで「どのような立場だったとしても被害者支援に協力してほしい」と伝えたかったのです。最終的には、私の手の届かないところまで、被害者支援の輪が広がってほしい。

 私は、そう願っています。

6. 侮辱行為

 本題に入ります。

 この被害者支援のムーブメントについて、あまりにも酷い侮辱的なレッテルを受けました。

 下記のクボユウスケ氏によるものです。

 私は、幻集郎氏自身がその企画についてやり方を批判された場合、それは彼が甘んじて受け入れるべきことだと思います。

 しかし、「ネット誹謗中傷粘着ストーカー行為常習犯のブロックリスト」と呼ばれるのは、2つの観点から看過できません。

 まずは、この言葉は批判ではなく「誹謗中傷」に該当すること。

 そして何よりも、この侮辱的なレッテルが私や幻集郎氏ではなく「被害者支援の協力者」に向けられているということです。

 私は、この被害者支援のムーブメントの「主催者」ではありません。

 しかし、私の呼びかけに呼応して1,000人以上の方が協力して下さり、180人以上の方が寄付をして下さったことを知っています。

 だからこそ。

 自分の呼び掛けで被害者支援に協力して下さった方々が「ネット誹謗中傷粘着ストーカー行為常習犯」と根も葉もないレッテルを貼られたことに、私は黙ってはいられませんでした。

 たしかに、被害者支援の寄付を「迷惑な抗議活動をするフェミニストへの当てつけ」という動機で行った方が一部いらっしゃることは事実です。完全なる善意の行いとは言えないかもしれません。

 しかし、そもそも「迷惑な抗議活動をするフェミニストへの当てつけ」という動機が、被害者支援の協力者全員に当てはまるわけでもありません。

 あるいは、寄付の動機が「迷惑な抗議活動をするフェミニストへの当てつけ」だったとしても、その人が「ネット誹謗中傷粘着ストーカー行為」をしているとは限りません。

 これらは、全く別の話ではないでしょうか。

 また、「やらない善より、やる偽善」という言葉がある通り、どのような動機の寄付であったとしても、その動機が『全国被害者支援ネットワーク』が受け付けないと明言する「犯罪加害者による償い目的の寄付」ではないならば、被害者支援に繋がります。

 なお、私を普段からフォローしている方ならご存知だと思いますが、私は自分に賛同する方であっても、投稿の内容に暴言や誹謗中傷が含まれていれば、いつも直接はっきりと咎めています。今回の寄付に関する投稿でも同様です。

 「迷惑な抗議活動をするフェミニストへの当てつけ」という動機は、確かに一定の批判は受け得るものかもしれません。しかし、それは批判を超えて「ネット誹謗中傷粘着ストーカー行為常習犯」と誹謗中傷・人格否定を受ける理由として正当でしょうか。

 そして、企画の参加者全員を毀損する理由として正当でしょうか。

 私は、クボユウスケ氏に被害者支援の協力して下さった方々への真摯な謝罪と、発言の撤回を求めます。

7. 追記情報

 この抗議文を公開した後の動きを追記します。

 まず、今回の件に付随して。マスナリジュン氏によりTwitterスペースおよびYouTubeLiveにて、幻集郎氏との音声対談が行われました。

 マスナリジュン氏は、以前に。

 クボユウスケ氏を含む"#AgainstSexismProject"の関係者が「双極性障害」を抱える梶谷健太郎氏の名誉を毀損したこと。

 勝部元気氏を始めとする複数のソーシャル・アクティビストが、お笑いコンビ"おぎやはぎ"の小木博明氏に対して「児童虐待をしている」と根拠無く喧伝したこと。

 これらについて、手厳しい批判をしている人物です。

 この対談にて、以下の内容が幻集郎氏によって語られました。

「Twitterのフェミニストが過激な男性嫌悪に陥っていること、さらに女性すら"名誉男性"と侮辱するほどに、女性蔑視にも陥っていること。それを広く長く周知するために"おちょくり"という手法を取っています。真面目な話だけだと、みんな疲れちゃって見ないと思うので。ですが、誹謗中傷の一線は超えないよう気をつけており、フェミニストへの暴言にも注意を加えるようにしています。例えば「#石川優実さんへのガチの誹謗中傷はやめろ」のタグを見ていただければ、分かるはず。

 なお、これはあくまで「普段の幻集郎氏」のスタンスであり、今回の被害者支援の企画に関する言及では無いことは、念の為に明記しておきます。

 今回の被害者支援の企画について、幻集郎氏は「犯罪行為すら辞さない抗議活動への"アンチテーゼ"」という言葉を使っています。これを"おちょくり"と捉えるかどうかは、人により解釈が分かれるでしょう。

 この内容に対して、クボユウスケ氏はこのような投稿をしました。なお、彼自身は、この対談を直接視聴したわけではないようです。

 さらに、この"おちょくり"について。

 第三者から、フェミニストの石川優実氏が「クソリプに対応してる時の私」という文章と共にニヤけた写真を投稿していたことが指摘され「その行為は"おちょくり"に該当しないのか」と、言及が為されました。

 この指摘に対して、クボユウスケ氏と石川優実氏はこのような反論を加えました。

 さて、この"おちょくり"について、私の見解を3点書かせていただきます。

 1点目。

 今回の被害者支援の企画で幻集郎氏が"おちょくり"をしたのは、小田急線の刺傷・殺人未遂事件や、それに伴う「差別や被害」ではありません。

 彼は、前述した「駅に無許可でポストイットを貼る」という「迷惑行為を辞さない抗議活動」を"アンチテーゼ"の対象としたのです。

 まずは、この点を重々承知頂きたい次第です。

 2点目。

 その"アンチテーゼ"を"おちょくり"だと指摘するならば「① 企画者の幻集郎氏に対して」「② 被害者支援に"おちょくり"を取り入れるのは不適切だ」と批判を加えるべきです。

 前述した通り、被害者支援や寄付の動機や仕方は、人によって様々な考え方があります。ですので、その点に関して一定の批判を受けることについては、幻集郎氏は甘んじて受け入れるべきと存じます。

 クボユウスケ氏がそのような批判をしていたならば、私がこうして抗議をすることもなかったでしょう。

 しかし、彼は「① 企画の参加者全員に対して」「② ネット誹謗中傷粘着ストーカー行為常習犯」という根も葉も無いレッテルを貼り侮辱したのです。

 幻集郎氏の企画の参加者には「駅に無許可でポストイットを貼る」という抗議活動の存在自体を知らない方も大勢おります。その方々から見れば、幻集郎氏の"アンチテーゼ"のニュアンスは全く分からない性質のものです。

 つまり「幻集郎氏の企画の参加すること」と「幻集郎氏の"おちょくり"行為を肯定すること」は、全く別問題なのです。

 もしかしたら、この事実をクボユウスケ氏は知らないのかもしれません。

 しかし、知らないのであればなおさら、開口一番に「ネット誹謗中傷粘着ストーカー行為常習犯」と企画の参加者全員の人格に疑いを持たせるような投稿を、すべきではありません。

 3点目。

 私自身は、"おちょくり"という手法はあまり好きではないということ。

 より正確には、マーケティングの観点から見て"おちょくり"は広いターゲットに対して有効ではないと考えています。

 これも前述した通り、私は幻集郎氏の企画に対して「揶揄性を抑えるべき」という提言をしております。

 そして、現在。

 クボユウスケ氏の侮辱的なレッテルに企画の参加者がさらされたことを鑑みて「画像のポストイットという言葉自体を、揶揄性が全く無い違う言葉で入れ替えてはどうだろうか」と幻集郎氏に提案したところ、採用して頂けました。

 こうして揶揄性が取り除かれたことにより、小田急線の刺傷・殺人未遂事件をフェミサイドだと考える人々にも、寄付の情報が広がって欲しい。

 また「駅に無許可でポストイットを貼る」という抗議活動について「たしかにゴミは出るけどそこまで責められるようなことでもないんじゃ……」と思う方にも、被害者支援の輪が広がって欲しい。

 被害者支援の情報が、思想信条に関わらず広く普及することを、私は心から願っています。

 他に、石川優実氏はこのような投稿をしています。

 ここまでにも申し上げた通り、私が抗議をしているのは、実際に「ネット誹謗中傷粘着ストーカー行為常習犯」である者が「ネット誹謗中傷粘着ストーカー行為常習犯」と言われたからではありません。

 「被害者支援に協力して下さった方々」が「ネット誹謗中傷粘着ストーカー行為常習犯」と侮辱されたことに対して、抗議しています。

 もしも、仮に「ネット誹謗中傷粘着ストーカー行為常習犯」に該当し得る者が幻集郎氏の企画に参加していたとしても、それは別の問題です。

 幻集郎氏の企画の参加者、その"全員"が「ネット誹謗中傷粘着ストーカー行為常習犯」であるかのように言われる筋合いはありません。

 ただし。

 私自身は、被害者支援に協力下さった方々の"一部"が、寄付をしない人々に対して「あなたは寄付しないんですか?」と責めるようなリプライ等をしてしまったことについては、一定の責任を感じております。

 あくまで、リプライをするとしたら「こういう被害者支援の方法もあるので、ぜひ!」と促す程度に留めるよう、呼びかけておくべきでした。

 この反省点は「犯罪被害者週間」が始まる11月25日から、改めて被害者支援の呼びかけをする際に、活かすつもりです。

8. 顛末

 私は、本稿を公開した2021年8月11日から12日にかけて、3度に渡りクボユウスケ氏へコンタクトを取ることを試みました。

 しかし、8月13日の時点で、未だクボユウスケ氏から私への返信は無く、これ以上待っても返信が来る見込みはなかったため、以下の投稿を以て彼への連絡を最後とすることにしました。

 また、上記ツイートについたクボユウスケ氏に対して批判的なリプライには、私が直接きっぱりと対応をすることで、彼に向けて相応の配慮はしたつもりです。

 彼にも、通知は届いているものと思います。

 結局、8月13日23時59分の時点でクボユウスケ氏から私への連絡は一切無かったため、これ以上彼に何を伝えても無意味だと判断し、抗議を打ち切ることにしました。

 被害者支援にご協力下さった方々が、侮辱された悔しさ・悲しさを抱えたまま本件が収束してしまう心中を思うと、本当に心苦しいばかりです。

 私自身も、悔しい気持ちでいっぱいです。

 私への連絡は1度としてありませんでしたが、おそらく本件に関する意見としてクボユウスケ氏が投稿する、いくつかのツイートを以下に引用します。

 そのうえで、私の意見を述べていこうと思います。

 おそらく、上記のツイートによるクボユウスケ氏の意見は、以下のような内容を指しているのだと思います。

 今まで「声を上げ続ける人々」のアンチは、Twitterの議論やレスバトル等を通して「それはダブルスタンダードである」と指摘するような"アンチ活動"にばかり勤しんでいた。

 しかし、ようやく社会が受け入れるような”イメージアップ"に繋がるような行動を始めた。潮目が変わり始めた。

 嫌がらせの手法や仮に自己保身のアピールだとしても、それは「なにをやれば自分達の"イメージアップ"ができるか」を、彼らが認識し始めたという証拠だ。

 そして、これは間違いなく「記録には残らなくともあきらめずに声を上げ続ける人達」の"功績"だ。

 この流れが社会に1度できてしまえば、もう流れには逆らえない。よくも悪くも、これから波は起こる。

 その"イメージアップ"の手法がよこしまな人間に利用され、盗まれて薄められて変えられないよう気をつけることが、これからの社会問題・差別問題のテーマとなるだろう。

 さて、この意見に関して私の見解を述べさせていただきます。

 彼は、今回の被害者支援の寄付ムーブメントは、「声を上げ続ける人々」をアンチが見習うことで起きたものであり、元を辿れば「声を上げ続ける人々」の"功績"であるということが言いたいのでしょう。

 しかし、私は全く別の見解を持っています。

 まず、フェミニストに代表される「声を上げ続ける人々」の運動は、その内容を見ると「企業・行政・社会に抗議する」「修正・撤回・中止を要求する」「◯◯を許さないと訴えかける」という性質を持っています。

画像1

男性のつらさの構造|すもも|note より引用)

 この性質は、今回の小田急線の刺傷・殺人未遂事件においても同様です。

 このように「声を上げ続ける人々」の運動は「企業・行政・社会に抗議する」「修正・撤回・中止を要求する」「◯◯を許さないと訴えかける」という性質を基点に展開されます。

 一方、今回の被害者支援の寄付ムーブメントは「声を上げ続ける人々」の運動とは、全く別の性質を持っています。

 幻集郎氏の企画参加者の中には、その動機こそ「声を上げ続ける人々」への"アンチテーゼ"という方も、一部いらっしゃったかもしれません。

 しかし、それはあくまで動機であり、きっかけに過ぎず、運動の方向性は被害に遭われた対象への「支援」という性質を持っています。

 そして、実はこの「支援」の性質を持つムーブメントは、過去にも既に起きていました。

 具体的に事例を挙げるならば、「宇崎ちゃん献血ポスター」「沼津の西浦みかんラブライブ!コラボ」「マルちゃん正麺のPR漫画"親子正麺"」の3つです。

 いずれも「声を上げる人々」によって。

 「企業・行政・社会に抗議する」「修正・撤回・中止を要求する」「◯◯を許さないと訴えかける」の対象となったものです。

 その結果、起こったことは「声を上げ続ける人々」の運動の方向性とは、真逆のムーブメントでした。

 すなわち、「日本赤十字社への献血量が大幅に増える」「沼津の西浦みかんが短時間で完売する」「マルちゃん生麺の商品を買って写真を投稿する応援ツイートが頻出する」という現象です。

 これらのムーブメントは「声を上げ続ける人々」の運動とは異なり、企業や団体への「支援」の性質を持っています。

 つまり、今回の被害者支援ムーブメントよりも以前から「声を上げ続ける人々」とは異なる「支援」の動きは、全く正反対の文脈から起きていたのです。

 また、これらのムーブメントは、必ずしもクボユウスケ氏が言うような「嫌がらせの手法や自己保身のアピール」「なにをやれば自分達の"イメージアップ"ができるか」を狙っての行動ではないでしょう。

 どちらかと言えば「義憤」に近いものを感じます。

 今回の被害者支援の寄付ムーブメントにおいても、私が呼びかけを始めたのは、小田急線の刺傷・殺人未遂事件を「フェミサイド」と断定して為される「抗議活動」に疑問を持ったことが理由です。

 「企業・国・地方行政・社会に抗議する」「修正・撤回・中止を要求する」「◯◯を許さないと訴えかける」という運動に疑問を持ったからこそ、私は被害者への「支援」という形で呼びかけを始めました。

 そして。

 クボユウスケ氏が被害者支援の協力者を「ネット誹謗中傷粘着ストーカー行為常習犯」と侮辱したこと、その発言を撤回する気配が全く無いことにより、寄付を表明する人々の数は、さらに勢いを増すことになります。

 最終的に、353名もの方々が寄付を表明する結果となりました。

 そして、その後。

 『全国被害者支援ネットワーク』から、お礼状と共に届いたメールによると、なんと……700件以上もの寄付があったそうです。

 この被害者支援のムーブメントが起こったこと、こんなにも大勢の人数が寄付をしたことは、確かに「声を上げ続ける人々」の運動や、クボユウスケ氏の侮辱行為が"きっかけ"と言えるかもしれません。

 しかしながら、それは「声を上げ続ける人々」の"功績"と言えるでしょうか。

 クボユウスケ氏の"功績"と言えるでしょうか。

 私は、甚だ疑問に思います。

9. 最後に

 クボユウスケ氏以外で、このnoteを読まれた方々へ。

 できれば、クボユウスケ氏への批判に労力を割くよりも、被害者支援にご協力頂けると幸いです。

 寄付をして「寄付しました!」と表明することも、黙って寄付をすることも、寄付せずに情報の拡散だけに協力することも、いずれも被害者支援に繋がります。

 特に情報の拡散は「こんなのあるの知らなかった!」と、情報を知らないが故に被害者支援の行動に移せなかった方々が、その一歩を踏み出すことのきっかけになります。

 情報の拡散にご協力下さる方は、下記のURLを広めて下さると幸いです。

 また、もし寄付をしたことを下記のツイートのリプライか引用RTにて、私こと"神崎ゆき"にお伝え下されば、どのような思想信条の方であろうとも、全て「RT&いいね」をさせていただきます。

(ただ、私のフォロワーさんの数は現在5,000名を超えており、通知もかなりの数が来るため、見落としてしまったらすみません)

 私は、思想信条を超えて被害者支援の輪が広がっていくことを、心より願っています。

 ただし、1点だけ注意事項があります。

 本稿で書かせて頂いたクボユウスケ氏の侮辱行為に関して、『全国被害者支援ネットワーク』に"見解を求める"等の負担の掛かる行為は、くれぐれも謹んで頂くようにお願い申し上げます。

 これはあくまで、私が呼びかけを始めた「被害者支援ムーブメント」および「被害者支援企画」に関するものであり、『全国被害者支援ネットワーク』に直接の関係はございません。

 ご理解とご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。


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