今のポルトガルの家は賃貸です。オーナーはベルギー人。ブリーと言います。ブリーとの出会いは、ポルトガルに来て最初に家の内見に行ったところで、紹介されたのがブリーでした。内見した家もよかったのですが、入居の時期が合わず、そこのオーナーが近所に住む彼を紹介してくれました。
ブリーの家の外観を初めて見たとき、廃墟かと思いました(笑)。ドアが壊れ、壁には落書きがあって。でも、中に入ると、実に快適に整えらているのがわかり、心踊ったことを今でも覚えています。
明るく、使いやすそうなキッチン、ちょうどいい広さの寝室が2つ、広々したバスルームにはバスタブも。そして、屋根裏部屋には、大人も遊べるトランポリンみたいなネットが。元ワイン蔵だという建物を、ブリー自身がリノベーション。天井高も高く、また、元々蔵という特性か、夏は涼しく、冬は暖かいという効能も。
ブリーは大工であったり、教育者であったり、さまざまな顔を持っているのですが、現代アーティストという一面もあります。家の中に飾られた作品は、個人的には好みではないけど(ブリー、ごめんね)、彼のアーティスト気質なこだわりは、家の細部の使い勝手に宿っていて。
無事、ここで暮らすようになった我が家。もともと住んでいたブリーはどこへ? せっせとコンテナハウスをつくっていました。もらいものだという、肉の貯蔵コンテナが2つ裏庭にあり、その一つを自らリノベーション。鉄板をカッターで切ったり、棚をつくったり、トイレをつくったり。先日、作業中に見せてもらったら、コンテナ裏に展望テラスまでこしらえていた!
驚くべきは、コンテナハウスのための物資は、ほとんどがどこからか拾ってきた廃材だったり、もらってきたものだったりすること。作業も、ブリー自身、どうしてもというときは、友人の大工に応援に来てもらったりして。
こっちの人は、みんななんでもできる印象があります。つくる、直す。道具も一揃え持っていますし、LEROY MERLYN(こっちのホームセンター)はいつも賑わっていますし。
こないだ、家の扉が壊れました。道路から庭に入るためのゲートのような、重く巨大なもの。日本だったら、専門の業者にお願いするような修理も、ブリーは自分で壊れた部品の代替品を探してきて、作業してしまった。
すごいなあと思うのと同時に、僕もかくあらねばと考えるようになりました。行動に移したことは、冷凍庫の霜取り、ゆるんだ鍋のネジの調整、庭の草刈り、掃除機の修理(ただ、これは壊れきっていて断念)。
アズ・ブリー、にはまだまだ遠いけれど、一歩ずつ。彼のことは、また書こう。