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【勝利の女神 NIKKE】おしりの友情が美しいクリスマスイベントがメタ満載でヒヤヒヤした【クリスマス2024】前編
20241205-20.
©Proxima Beta Pte. Limited ©SHIFT UP CORP.
──今度こそ 終わらせられなかった物語を終わらせよう。
はじめましての方は、はじめまして。
今年最後のイベントが大好きなRPG×エクスターナ部隊でテンションが爆上がりしてるユキヒメです。
2024年クリスマスイベント『ICE DRAGON SAGA』で初めて紡がれたギロチンとメイデン2人の友情の物語を紐解くのと同時に、物語中出てきたネタを(軽く検索して)解った範囲で紹介。
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🎮今年のクリスマスイベントはエレクトリックショック部隊実装イベント【BOOMS DAY】【D.ARK HERO】のその後の物語
今月12月5日より開催された『ICE DRAGON SAGA』は2~5月にあったエレクトリックショック部隊のニケ「エレグ」「トロニー」が実装されたイベントのその後の物語である。
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そのため物語を紐解く前に『BOOMS DAY』『D.ARK HERO』で何があったか軽くおさらいしておこうと思う。
ミシリスに製造されたニケで構成されたエレクトリックショック部隊。
メンバーはトロニーとエレグの2人。
エレクトリックショック部隊は主に電子機器の研究開発を専門とする。M.M.R.と協力して様々な電子機器を開発し、アークのインフラ拡張に大きく貢献した。
『BOOMS DAY』では、トロニーはエレクトリックショック部隊でも重要な任務であるアークのエネルギー供給の安定化を目指し日々研究を重ねていた。
そして安定しない原因が「エネルギーが大きすぎること」と突き止めコンバーターの安定化のために禁止されているエネルギー源の追跡を行ってしまう。
アークのエネルギー源を知ってしまったトロニーはコンバーターを完成させた後、その正体にショックを受け部屋に閉じこもってしまう。
M.M.R.上層部から部屋から出て仕事をしなければ記憶消去、もしくは廃棄を匂わされるがそれでも部屋から出ることはなかった。
コンバーターが不具合を起こした際にエレグの尽力により部屋の外へ足を踏み出しアーク停電の危機を救う。
『BOOMS DAY』の最後にトロニーはエレグとアークのエネルギー源の秘密を共有したが、エレグがマテリアルHの機密資料を閲覧したことからM.M.R.上層部はエレグとトロニーがアークの動力源について知っていると判断。
機密を守るためテロの疑いありとして一人を記憶消去、一人を処分しようとする。
『D.ARK HERO』では身を挺してトロニーをかばったエレグと指揮官の働きによってエレクトリックショックは記憶消去された「ことにする」事で処分を回避することに成功した。
公的には記憶消去されたことになっているのでCHAPTER27で特殊別働隊に合流するエレグにエレクトリックショックの記憶消去に疑問を持ったものが近づいてくるかもしれないと気をつけるよう忠告するシーンが描かれておりメインストーリーとイベントストーリーが同じ時系列であることが再確認された。
エクスターナーは「イレギュラーを起こしたニケを処分する部隊」。ニケからしてみれば死神のような存在だ。
闇に潜みターゲットを狩る。光の世界に彼女たちの居場所はない──それを踏まえた上でクリスマスイベント『ICE DRAGON SAGA』の物語を紐解いていこう。
❄️春の訪れを待つものたちへ─ICE DRAGON SAGA─
遠い昔、はるかかなたの銀河系で……
花咲き乱れる春の国には、人々が平和に暮らしていました。
暖かい風が運ぶ花の香りに包まれながら……
春の国の人々は、笑顔で毎日を過ごしていました。
ですが、ある日のこと……
春の国は突然、闇に包まれてしまいました。
雪と氷をまとった招かれざる客・ホワイトアイスドラゴンが現れたのです。
春の国に氷の嵐が吹き荒れました。
花は枯れ……
初めて経験する寒さに、人々はこごえ、身を震わせました。
その口からこぼれる言葉はひとつ──
誰かが魔王城に棲むホワイトアイスドラゴンを倒し、「冬の呪い」を終わらせなければ。
美しかった春の国を取り戻す勇者を、誰もが待ち望んでいたのです。
世界の均衡のために存在する者……
ギロチン・デ・メフィストの偉大なる冒険はここから始まります。
──こうして始まる勇者ギロチン・デ・メフィストの偉大なる冒険。
目を開けたギロチンが見たのは海の如く深い闇に包まれた世界──そして天から降り注ぐひとすじの光を浴びる1人の少女。
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どこか見知った顔に似ている女神を名乗る少女。
厨二病めいた凡人にはとうてい理解できないような迷言をよく口にするギロチンだが漫画やゲームにあるような、猫を助けようと道路に飛び出したらトラックに轢かれて異世界転生などという見え透いた嘘には引っかからない。
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……痛かった。痛いということは本当のことなのである。
だがギロチンはニケである。
一般的な生身の人間であれば"そういうことも"あるのかもしらない。だがギロチンの身体は鋼鉄で出来ているトラックで轢かれた程度でそう簡単に壊れるはずもない。
その辺の疑問は勇者が世界を救うという物語に対してそれほど重要なものではないらしく半ば呆れ気味に女神からは「トラックじゃなくアルトアイゼン*に轢かれた」or「ウォーブラー*に書き込みしながら歩いていたら階段で足を踏み外した」or「赤い月を見たら血がたぎって逆流」の3つから好きなものを選ぶように言われた。ギロチンが選んだのはアルトアイゼンだ。それが一番マシらしい。
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アルトアイゼンとは、スーパーロボット大戦シリーズに登場するリアルロボット(パーソナルトルーパー)である。
"ピクシブ百科事典より
ウォーブラー…釣りの道具?
ウォブラー症候群……椎骨あるいは靱帯の変形により頸髄が圧迫されることを原因とする馬や犬の症候群。
ここが元いた世界と異世界目の狭間で、前にいる少女が本当に女神だということは認めよう。
だがならばお約束のネタというものがある。
異世界転生した勇者には女神からチート能力が1つ付与されると太古の昔から定められているのだ。
ギロチンが欲したのは時間や空間を自在に移動する能力「ディメンション・フォース*」、または「クロノブレイク*」。
だが女神からは「気になったから聞いただけだよ?」、ケロッと要望はかわされ簡単に終わってしまってはつまらないでしょっとギロチンは天空より地面に叩き付けられたのであった。
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ディメンション・フォース……遊戯王のパック名
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クロノブレイク……「クロノ・トリガー」幻の続編
2002年頃に制作が発表されたが残念なことに現在は頓挫した幻の作品である。
シュミレーション、スタート!
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❤️🩹魔眼が映すのは見知った誰か
悪どい女神に騙され空中へと放り出された勇者ギロチン。
生身の人間であれば中身を地表にぶちまけ即死だろう。強化されたニケであっても何千メートルも上からパラシュートなしに地面に叩き落とされれば流石に壊れる。
だがギロチンはニケである前に勇者だ。勇者となったギロチンには「衝撃無効化フィールド*」があるため、即死は免れた。
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衝撃無効化フィールド…おそらくエヴァンゲリオンの「ATフィールド」の事だと思われる。
……いやなんで?
さすがのギロチンにも常識的な知識はある。
人間でもニケでも即死確定の高さから落とされ無傷に終わった事を不思議に思うのは当然のこと。
身につけていた服装もいつもの闇に紛れる混沌に愛された使者にふさわしい衣装から脇がスースーする布面積の少ない露出度高めの衣装に変わっていた。
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ここは異世界、そういうこともあるか……なんとか自分を納得させようとしたが近場の村で出会った住人たちは仕事で何度か顔を合わせたことがある者たちだった。
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ギロチンの所属するエクスターナーはエリシオンの秘密兵器。つまり秘密部隊のため、同じエリシオン所属のニケたちとも関わりはないが顔と名前くらいは知っている。
アークで警察的ポジションの「A.C.P.U.」は、ギロチンの世界では敵対している「組織」の駒と成り果てていた。
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いったい何者だ?
いったい何者だ?と聞かれたら、答えてあげるが世の情け!*
ミランダ!
キリ……
村を駆け回る「組織」には!
アイスボール、静かな明日が待っています!
ですよん!
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国民的アニメポケットモンスターに登場した愛すべき敵役「ロケット団」。
主人公の少年サトシのパートナー「ピカチュウ」を狙いいつもあの手この手で襲いかかるが、時にはやられ、時には協力して敵を倒す。
ポケモンファン全員から愛された悪の組織の組員である。
なんと哀しいことだろうか──役割は違うとはいえ同じエリシオンに所属し、アークの平和を守るべく造られたニケだというのに……だがこのギロチン・デ・メフィストの邪魔をするのであれば放っておくことは出来ない。
ニケには戦いを避けてはならない時がある。
それは──他人に笑われた時だ!
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ギロチンは眼帯を外し呪文を唱える。
『我の体に宿る深い闇の力よ……
魔王の翼に宿る孤独なエネルギーの波動よ……
今長い眠りから醒め、この哀れな魂に安息を与えよ! エクスターミネイション!』
ギロチンが声を上げると彼女の右目から暗黒の波動が放たれポリ・ミランダ・キリの3人はその場に倒れ込んだ。
効果はバツグンでした!
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効果はバツグンでした!……ポケットモンスターで行われる「ポケモンバトル」で相手に効果抜群な攻撃を与えた際に出てくる言葉。
強い力に代償は付きもの。力を使い過ぎた反動でギロチンは気を失った──。
夢を見た。昔の記憶。忘れることの出来ないデキ婚。
あの日もギロチンはいつものようにイレギュラーを起こしたニケの処分を行おうとしていた。
対象は「地上を奪還し過去の栄光を取り戻す」、ニケの根底にある命令がどこかで異常を起こし人間の為にラプチャーを倒すのではなく、ラプチャーの為に人間を殺す殺人鬼となっていた。
ギロチンの仕事はアークに危機をもたらすものを排除すること。任務に例外は無い。命令に対してギロチンの意志など関係ない。
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自分の意志なんて関係ない。
ただ命令に従っているだけなのになぜ処分されるの?
悪夢から目覚めたギロチンを覆うのは柔らかく弾力のあるもの…もといエマのたわわな胸だった。
前回、魔眼の力を使い果たし力尽き倒れたギロチンをプリバティたちが宿屋へ運んでくれたようだ。
エマは朝ごはんを用意すると言っていたが……。
「緑眼の味覚殺し」……人付き合いは誠実にしろと口うるさいあのイングリットでさえ…エマが料理を持ち込んだ日には、会議でいないと居留守を決め込んだほどだ。全力で逃げ出していなければ……ギロチンの冒険はここで終わってしまっていたことだろう。
死にものぐるいで逃げ出したギロチン。
逃げることばかりに気が散っていた為、今自分が村の何処にいるのか分からなくなってしまった。
目指す場所は「協会」なのだがそれが何処にあるのか分からない。適当に歩きだしたギロチンの目にふとあるものが目に留まった。
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村の中央にある古い神殿。
ラプラスを象った像があるがこれはいったい…?
首を傾げるギロチンに声をかけたのは現実世界ではラプラスと同じ部隊の自称ヴィラン「ドレイク」だ。
この世界ではなぜかプリバティ同様メイド服を着ている。
ホワイトアイスドラゴンが「組織」とともに春の国に現れ、「冬の呪い」が始まったばかりの頃だ。
勇者ラプラスは仲間を集めて「冬の呪い」を終わらせるため、旅に出た。
勇者たちは「組織」の四天王のうち、最強と名高かった……シフティーを打ち倒し、「冬の呪い」の拡散を遅らせることができた。
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しかし、仲間がそろっていなかった勇者ラプラスは、残りの四天王に敗れ……
ホワイトアイスドラゴンの棲む魔王城にはたどり着けなかったという話だ。
だから、お前もそうなりたくなければ……
魔王城に行く前に、頼りになる仲間を探し出すことだ!
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魔王城に行く前に、頼りになる仲間を探し出せ……時事ネタのためあるかなと思ったがどうだろう。
「ドラゴンクエスト3 そして伝説へ」より。
ちなみに真のヴィランたるドレイクがラプラス像の前で何をしているのかというと「組織」によってもうラクガキする場所もないくらいに汚された像を綺麗に掃除してるところだったらしい。
自分がラクガキする場所を奪って「組織」にこれ以上ない復讐といえよう。
いくらギロチンでも関わって良い人物とそうでない人くらいわかる。その後、ギロチンは人目につかない村の空き地に移動し、どこからともなくチョークを取り出し、地面に魔法陣を描き呪文を唱え出した。
『我、ギロチン・デ・メフィストが告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝に。
世界の意志に従い、我が呼びかけに応えよ!
我は世界を俯瞰する者、我は片翼の魔王を封印せし者。
アークより来たれー我が友よ!』
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🌹最高の友人を失った孤高のゲーマーの最後の冒険
場面は変わり、謹慎処分中──のはずの部屋に引きこもりゲームを楽しむメイデンの視点へと移り変わる。
ターゲットを取り逃し任務を失敗した責任を問われ謹慎処分を受けたメイデンが遊んでいたゲームは「コンバットエース*」、タクティカルに敵を討ち落とすゲームだ。
少し前に遊んでいた「アイアンパンチ*」は全キャラが763段に到達したため、やるのを止めてしまったようだ。
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メイデンが遊んでいた「エースコンバット」は今年7月にSwitchでリメイクされた。
気になる人は遊んでみてはどうだろう。
「アイアンパンチ」は分からなかった。
検索して出てきたのは同人格闘ゲームとゲームセンターにある「パンチングマシン」だ。
メイデンお気に入りのゲーム「ファイナル・クエストオンライン」は長らく遊んでいないようだ。
MMORPGゲームの「ファイナル・クエストオンライン」で、メイデンは『ブラック・ローズ』を名乗り最強のタンクとして活躍しゲームの世界では伝説として語られていた。
最初は顔の見えないゲーム内だけの関係にとどめていたがオフ会(ゲームの世界を飛び出し現実で会う行為)で実際にパーティーメンバーと会って話したり、指揮官を通じエクシア・エレグ・トロニーといったゲーマーのニケの友達が出来た。全てが順風満帆だった……恐いほどに。
幸福な夢はいつか終わりを向かえ、現実と向き合わなければならないときが来る。
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ゲーマー友達と楽しそうにゲームをするメイデンに触発されてかギロチンも「ファイナル・クエストオンライン」を始めたようだが…あの性格だ、まともに取り合ってくれる人間などいるはずがない。
ギロチンは同じ部隊のメイデンにパーティーを組まないかと持ち掛けたが仲間を失ったメイデンなや再びパーティーを組む勇気はなかった。
冒険は、気の合う仲間たちとするものです。
ですから、私ではなく誰か別の人を探してください。
こうしてはじまる孤独なるゲーマー メイデンの最後の任務が──。
今から12時間前のこと。新しいシミュレーションシステムのテスト中、ギロチンが無許可で「眼」を使用した。
今からおよそ36時間以内に中央政府の事後承認を受けられなければ、ギロチンの脳は破壊処分となる。
承認はギロチンがイレギュラー化していないことを証明することが前提となる。証明できなければ中央政府政府からの承認は得られない。
任務の手順としては簡単だ。
シミュレーションシステムに入り、ギロチンの状態を確認する。その後、彼女とともにシミュレーションを退出する。
ギロチンのイレギュラー化の結果しだいでは処分が行われることになる。万が一、特殊能力をギロチンがイレギュラー化するような事態となれば対抗できるニケはメイデンしかいない。
同じ部隊として活動していた仲間をその手にかけなければならい。
エクスターナーはイレギュラーを起こしたニケを処分するニケからは死神と呼ばれる部隊。
エクスターナーに所属者として公私は区別しなければならない。常に冷静沈着を保ち、アークのために戦う義務がある。
ギロチンがイレギュラー化してるかどうかの最後の判断は指揮官に委ねられた。イングリットでは判断が難しいと中央政府から命令だ。
これから行われるシュミレーションは普段デイリーで指揮官たちがこなしているものとは全くの別もの。
NIMPHに記録されたデータを基に、世界をシミュレーションして自分にとって一番怖いものをボスとして設定すれば没入感があって面白いゲームができるかもっ……と、半分インクの遊び心から生まれたゲーム「シミュレーションMK-II」だ。
ギロチンはその動作テストをしていたところだった。つまり今から入るシュミレーションの中は、ギロチンのNIMPHに記録されたデータを基に創られた世界という事になる。
シミュレーションの中の時間は、現実の2倍速で設定されている。つまりシミュレーションの中での一日は、現実では12時間ってこと。36時間以内に中央政府の承認を得なければならないなら……シミュレーションの中で使える時間は3日間が限度ということ。
シュミレーション、スタート。
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⚔️続々と集まる仲間たち
場面は再び──アルトアイゼンに轢かれ異世界に転生した勇者ギロチン・デ・メフィストの物語へ。
アークより来たれー我が友よ!
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呼び声に召喚されたのは「血のように赤き薔薇の審判者」ことメイデンとギロチンの友人指揮官だ。
身にまとう衣装はやはりこの世界に合わせたものへと変化していた。
メイデンが着ているのは『ニヴルヘイムの司祭セット*』。メイデンが愛した「ファイナル・クエストオンライン」に登場するヒーラークラス最強装備だ。
指揮官が着ているのは『ヘルヘイムの全身鎧セット』。メイデンのアバター「ブラックローズ」も使うタンカークラスの最強アイテムであり、悪名高いボスのもので……。
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ニヴルヘイムの司祭セット……ギリシア神話を題材にした暴力描写が話題となった大人気ゲーム「ゴッド・オブ・ウォー」ネタかと。
ちなみにギロチンの衣装は、ゲーム開始したプレイヤー全員が着る初期勇者の服だった。
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大好きなゲームの世界を模した世界だ、テンションがおかしなことになって暴走してしまうのも致し方ない。
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ギロチンは指揮官の二つ名について頭を悩ませていた。「黒き死神の友」か、「ラブチャースレイヤー*」か?
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黒き死神の友は分からなかった。
「ラプチャースレイヤー」は間違いなくアニメ化ゲーム化もされた「ゴブリンスレイヤー」からだろう。
ゲーマー全員の憧れゲームの世界に入って暮らす夢を半分叶えたところでメイデンは違和感に気づいた。この世界はギロチンの記憶を元に創られているはずなのに「ファイナル・クエストオンライン」の世界を精巧に再現されているのだ。村にある施設から看板の色や草木のすみずみまでゲームと全く同じ配置、少しゲームに触れた程度ではここまで細かく記憶することはできない。
ギロチンは任務がない日は、一日中「ファイナル・クエストオンライン」で遊んでいたらしい。それなのに最初のダンジョンすら攻略できないでいた。
それについては指揮官も声をかけた事があるが、「友には悪いが、我の冒険は「ブラックローズ」抜きには成り立たない──」と断られてしまった。
……ゲームは楽しんでこそだ。ならラスボスを倒してみんなで気持ちよく帰ろうじゃないか。
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RPGの掟その一
道ばたにある木の箱やツボは、残さず壊さないといけない。
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勇者の出てくるファンタジー系のゲームでは、冒険の序盤を楽にするためのアイテムが村のあちこち隠されていることが多い。
視界に入ったものはすべて破壊するのだ。
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RPGの掟 その二
鍵のかかってない入れる家があれば入り、アイテムを回収する。
不用心なやつが悪い。勇者には倫理というものは存在しない。皆のかわりに命をかけて世界を救おうとしているのだ少しくらいの悪事は見逃されて当然……それは半分冗談だとして、現実でやれば真っ先に捕まる犯罪行為でもゲームの世界だと思えば軽々に一線を超えらる。
このときごみ箱を調べるのを忘れてはいけない。ごみ箱こそ宝箱。
本棚を調べることも忘れてはいけない。どんなに分厚い本でもどうせ重要な情報が数行書かれている程度だ、時間はそうかからない。
RPGの掟 その三
井戸を発見したならば、中に入って調べよ。
この手のゲームに出てくる井戸は枯れた井戸と相場が決まっている。
縦に長く地下に空間の広がっている井戸の底には宝箱または重要な情報やアイテムをくれる住人がいる。
くまなく探し取り忘れに注意せよ。
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RPGの掟 その四
村で飼われているニワトリには気をつけよ
村で起こる突破イベントはだいたい罠である。とくに子供たちと鬼ごっこするイベントは24時間拘束されるだけされて何も得ないまま終わる。
飼育されているニワトリには闇雲に近寄ると痛い目を見ることになる。ニワトリは手に持てば空を滑空できて遠くのアイテムを取りに行ける便利アイテムのように思われがちだが少し操作をミスって攻撃してしまうと大惨事になるため、ニワトリには近寄らない事だ。
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コッコの逆襲……「ゼルダの伝説」で有名なニワトリ「コッコ」。
何もしなければ愛らしいニワトリだが、プレイヤーがひとたび剣を振るえばその可愛いらしさは失われどこからともなく無数のコッコの襲撃に合い最悪ゲームオーバーとなる。恐るべきニワトリだ。
24時間鬼ごっこは、年末に行われていた「ダウンタウンの笑ってはいけない」シリーズのことだろうか。
……なぜだろう勇者として当たり前の行動をしただけだというのに気がつけばギロチンたちは指名手配され、「協会」に着いたころには捕まり裁判の場に立たされていた。
裁判官は現実世界でもやっていそうなユルハが担当。
どう考えても器物破損に不法侵入に窃盗と子供たちと遊んであげなかった最高のヴィラン ドレイクでさえ歯噛みするほどの重罪を犯したのは明白である。
でも裁判の場ではこれだけは言わなければならない。
──異議あり!
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くらえ!
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裁判は証拠がすべて。決定的な証言があったとしても物証がなければ裁判で意味を成さない。
ただ今回は犯人じゃないという証拠もない為、罪を逃れることは出来なかった。
勇者の名を悪用して犯した罪は万死に値するが、「組織のイヌ」の撃退により、村に自由をもたらした功績を考慮され……また、「冬の呪い」を終わらせるという交換条件を付与したうえで……被告側全体で金貨1000枚の罰金刑で赦された?
罰金は村の発展のための資金とする。
だが罰金を払う前に逃げられる可能性もあるため、人質として全身鎧の騎士(指揮官)はここに残りユルハの仕事を手伝うことになった。ようは人柱である。
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異議あり! カプコンの裁判アドベンチャーゲーム「逆転裁判」の名台詞である。
弁護士である主人公は99.9%有罪の事件から被告人の無罪を勝ち取るため、現場を調べ証拠を集め、証言と食い違う部分を見つけると…「異議あり!」と叫ぶのが通例となっている。
時間はあまりない。手軽に大金を稼げる仕事を探さなければならなくなった。
現実世界では死神と呼ばれるニケで、現実のゲームでは伝説と呼ばれる存在であるがここでは、初級冒険者だ。金になる仕事はすべて冒険ランクの高い者たちに根こそぎ奪われてしまっていた。
途方に暮れる勇者一行に声をかけたのは「碧眼の小さな夜叉」ことべスティーだ。
金払いの良いクエストを独り占めした割りに魔法使いである彼女一人では火力の高い魔法を放つ前にやられてしまう。そのため誰か盾役を探しているようだ。
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ここはファンタジーゲームの世界。特殊個体と聞いて気が流行るメイデンだが、ギロチンの記憶を元にして創られているため特殊個体は特殊個体でも戦いなれた敵ラプチャーだった。
夢特有の強化された身体能力を活かしギロチンは素手でラプチャーをなぎ倒し──さらにメイデンが遠くのラプチャーを魔法で凍らせ足止めし──べスティーが呪文を唱え終わった。
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前中後衛バランスのとれたパーティー
最後に放たれたべスティーの魔法……もといロケットランチャーはラプチャーをはるか彼方へと吹き飛ばしそれは見事な爆発だったという。
なぜロケットランチャーを持っているのにべつに杖がいるのか、それはオシャレアイテムだからだ。オシャレに利便性など要らないのだ。
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その日の晩、勇者ギロチンの活躍を聞きつけた村長によるささやかな宴が開催された。
その昔、勇者ラプラスは……女神から伝説の剣を授かり、この世界を覆っていたラプチャーたちを倒したという。
しかし、いずこともなく現れた……悪魔の化身、ホワイトアイスドラゴンが「組織」をつかわし……ラプラスを倒して世界を氷で閉ざしてしまったのだ。
勇者ギロチンよ! このままでは世界が滅びてしまうことだろう。
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ギロチンとメイデンはそれはもう宴を楽しんだ。
人柱として置いてきた指揮官のことやここに何をしに来たのかさえ全部忘れて宴を楽しんだ。
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遊んでいたせいで残り2日しか無くなってしまった。
今日はホワイトアイスドラゴン討伐の準備をするため何も装備していないギロチンに武器を買いに行く。
勇者の武器といえば『勇者の剣』だろう。
現実でも武器庫を担当しているウンファ──否、「冷眼のベレー」の店を物色する。しかしなぜだろう…ゲーム脳になったメイデンが選ぶ武器はすべてギロチンには合わず性能だけを意識した猫に小判、豚に真珠状態になっているではないか。
やっとこれだという武器も「ただの木の枝(金貨100枚)」。ちなみに買取は金貨1枚だった。
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ゴミ……伝説の剣(木の枝)を手に入れた勇者ギロチンだったがお目当ての「勇者の剣」は武器屋に売ってる理由もなかった。店主からの冷たい視線を背に「勇者の剣」があるラプラス像の元へ。
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現実世界でも寝てばかりいたプリム。やはりこちらの世界でも一日の半分以上寝ているらしい。
昔から存在する「剣の精霊*」プリム。
現実世界でもそうであったように何をしても「剣の精霊」は眠りから目覚めなかった。メイデンの魔法でも、べスティーのロケットランチャーでも…。
しびれを切らし「即死の魔眼」を使おうとするギロチンを制しラプラスと言えばドレイク。彼女に「剣の精霊」の起こし方を尋ねる。
ドレイクの話によれば、四天王シフティーとの戦いの後、賢者から自分の終わりが近いという話を聞いたラプラスは精霊に剣を預けた。
「いつか跡を継ぐ勇者が現れた時、その剣を渡してほしいと言い残してな。」
ラプラスたちが冒険していた頃から寝てばかりだった「ゲームの精霊」。ラプラスは用がある度に、一曲聴かせていたらしい。フジの木で作った笛を吹いて*。
まさかのメイデンが買った木の枝が役立つフラグが建てられた瞬間だった。ゲーマーの感は伊達にならないということか…しかし勇者パーティーには楽器をひける者がいない。そこでギロチンが目をつけたのが宴の際、演奏を披露した吟遊詩人のボリュームに助けを求めた。対価はつぎのライブを手伝う事。
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野生のプリムが現れた!
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安眠から無理やり起こされたプリムはかなり不機嫌だった。…その怒るさまはまるでカビ○ンのようだ。
怒れるプリムをおとなしくさせるため、指揮官はギロチンに指示をする。
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「剣の精霊」はこの手のゲームにありがちな設定のため、そうとは限らないがゼルダの伝説に登場するマスターソードに宿る精霊「ファイ」があやしい…。
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怒涛のポケモンネタ。
バトル画面は完全にポケットモンスターの戦闘画面であり、眠りポケモンを笛で起こしそのまま強制戦闘になるのはシリーズおなじみのネタである。
当時は世界に一匹しかいないため倒してしまったら、その時点で詰みが確定した。
「勇者の剣」を手にすることは出来たが「即死の魔眼」を使用するに連れて侵食されるギロチン。
何者かに半分侵食されたギロチンはメイデンに剣を振るう。命令に忠実な殺戮マシンとして。
メイデンの機転によって最悪の事態は免れたがこのまま侵食が進めば元の世界に帰ったとき、ギロチンはイレギュラーとして処分される対象となるだろう。
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気を失い倒れたギロチンを村の宿屋へと運ぶ。
夜更けギロチンの様子を見守りの交代を知らせに部屋に入るがメイデンはどこか遠くを見つめ心ここに在らずといった状態だ。
理由を尋ねると、この任務が終わった後、記憶を消去するのだと胸の内をこぼした。
最近やたらゲームにのめり込んでいたのもそのため。やっていたゲームのランキングをすべて自分の名前にして"今のメイデン"がこの世界に確かに存在したという証を残すため。
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エクスターナーのニケとして任務を遂行することも……1人のゲーマーとしてゲームを楽しむこともできなくなってしまったメイデンに取れる選択は「記憶消去」しかなかった。
ずっと部屋に引きこもっているわけにも行かない。メイデンがやらねば他のニケが自分の仕事をやる事になる。つまりまた自分と同じような世界の何処にも居場所のない孤独で寂しい想いをするニケが増える事になる……ならばこの胸につまる苦しみ事消え去り"はじめ"から始めばいい。
🪩 扉は「前へ進む勇気のある者」にだけ開かれる
──次のニュースです。
昨夜9時頃、市内で銃の乱射事件が発生しました。、現在までに市民8人が死亡、約20人が重症を負っています。
市民が事件現場に集まり、強い抗議活動を行っています。
犯行を起こしたニケはその場で廃棄処分とされましたが……市民の抗議は当分の間、続くものと見られます。
また、ニケ排斥を訴える団体によるデモが暴力的なテロ活動へ発展し、新たな被害が続出しています。
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任務を失敗したせいで多くの人に被害が出てしまった。殺人鬼と化してしまったニケを取り逃したせいで友を、世界で1人だけの親友を傷つけてしまった。
どこに戻ればいい──エクスターナーの拠点に? それとも昨日までのような日常に? たった一つの任務さえまともに遂行できず……気味悪がり誰も近寄らなかった自分のそばに残ってくれた友さえ守れきれなかった……何も残されてない…いったいどこへ帰るというのだ……?
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勇者が伝説の装備を入手したら試し斬りイベントが発生するのはRPGではお約束の展開だ。
そして最初の敵は四天王一角と相場が決まっている。
「組織」の四天王は先に倒されたシフティーと、三大企業の社長たちで構成されている。第一の敵はテトラのマスタングだ。
マスタングの懐刀といえばアンダーワールドクイーンの「サクラ」「ロザンナ」「モラン」の3人だ。
3人もいれば2人はハズレを引くもの。
義理人情の厚い指揮官たちの間でも人気が高いモランだがなぜかNIKKEの世界では可哀想担当。夏のイベントではアンダーワールドクイーンが主役でサクラ・ロザンナに期間限定の水着衣装が実装されたのに対し、モランは水着はないわ、イベントに(ちびっとしか)参加しないわ、散々な役割となってしまった。
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そしてマフィアのボスとしてちゃんと悪役に徹しているロザンナは面倒なやつに絡まれていた。
我らがヴィラン、ドレイクである。
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ドレイクはこれでも勇者ラプラスとパーティーを組んでいた最強のヴィランだ。舐めてかかれば痛い目を見ることになる(?)。
最近はメイド・プリバティとパーティーを組みさらに最強の頂きにへと手をつけた。
そこにメイド流 秘奥義「お、お、お・おいしくな~れ! ふわ……ふわ……キュン~~〜〜〜〜♥!!」のバフが重なれば無敵となるのだ。
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当たりを引いたのはサクラだ。だがしかし……。
「「組織」は…抑圧という親から生まれ差別という揺りかごの中で育ちいつかその業により破滅という墓へ向かう……「世界の絶対悪」ともいえる存在です。
最低限のルール?
そのようなもの、私どもの知ったことではございません。私は思いのままに振舞えるということです。」
ギロチン仕様になったサクラは本人が絶対に言わないような厨二病臭い台詞を言う。そしてかっこよく決めて起きながら寝起きのギロチンの一太刀であっさり倒されてしまった。
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「踊る遊戯の支配者」ことテトラのマスタング社長はギロチンと同じ破滅属性の狂人だ。
四天王が一角マスタングが提案した勝負はダンスバトル。総重量50㌔は軽くする重りを身に着けたまま華麗なステップを決めるマスタングに遅れを取られまいと汗だく虫の息で全身鎧の指揮官。
1対1の正々堂々とした男同士の戦い──勝負はドローに終わり勝敗の行方は二番手ボリュームに託された。
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── 第二試合はボリュームの放った一発の銃弾で幕を閉じた。
マスタングが最期に言っていた通りあと1日で「冬の呪い」が完成し、世界を凍り付かせてギロチンの処遇が決まってしまう。
ギロチンを救い世界をも救う最高のエンディングを目指し勇者一行はマクスウェルが残したポータルを使い魔王城へと乗り込む。
旅の結末に何が待つのか……本当はもう、分かっているのに。
ギロチンの設定には、沈黙のみがある世界を望む邪悪なる存在「片翼の魔王」と呼ばれる存在が封印されている。
「即死の魔眼」を使用する度に封印は弱まり、「片翼の魔王」が完全復活してしまえばギロチンの意識を飲み込みすべてが無と帰すだろう。
そうなったとき、ギロチンを止めらる存在はメイデンだけ。だがもしそのメイデンがイレギュラーを起こしてしまったら? そんな疑問は関係ない。ギロチンが友人をイレギュラーにさせる事はないのだから。
メイデンはただ実直に任務を遂行し、アークのヒーローになればいいのだ。
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魔王城はすぐ目の前だ。そうとなればこんなメスガキ程度に勇者の足を止めさせるわけには行かない。
マスタングは戦闘力たったの9000だったが、シュエンの戦闘力はなんと53万*……ケタが大きすぎて強いのか分からん。だがそんなことで恐れる指揮官ではない。シュエンにはこれまでの恨みがたくさんあるのだ、お灸を据えてやろう。
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戦闘力53万……ドラゴンボールの主人公よりも任期じゃないか? とも言われる大人気キャラ「フリーザ」様の有名な台詞だ。
勇者ギロチンとメイデン……2人はどうにか魔王城の門の前へたどり着く。
しかし、城門は氷の塊で塞がれていた。
仲間たちの助けを借り、ついに勇者の旅も終わりが近づいている。
──ガンッ!
先導するギロチンを魔王城は拒む。前に勇気のない者は先に進むことができない──村長の言葉だ。
騙し騙しやって来ていたが心の内側を現すここで詰んでしまった。だがその事をメイデンは問わない。怖いことがあって足がすくみ前へと進めなくなることはおかしなことではないのだから。
メイデンも同じだったから。
ギロチンとメイデン2人で担当した最後の任務。
アークのテロを計画する「エレクトリックショック」部隊を拘束し、中央政府軍に引き渡す任務だ。
あのときメイデンは命令を違反してエレグのもとに向かうトロ二ーを見送った──しかしその結果、どうなった? メイデンは上層部からの命令を果たせなかった責任を問われ、無期限の謹慎処分となった。
そして任務を放棄してまで守ろうとしたトロニーとエレグは結局、M.M.R.に引き渡され、記憶消去処分となりこの話しは幕を閉じた。
中央政府のエージェントでいることに耐えられなくなったメイデンは……何もかも投げ捨てて、その場に立ち尽くすことしかできなくなった。
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ありがとう──、さようなら
📖今度こそ 終わらせられなかった物語を終わらせよう
ガン!
ガンッ!
ガンッ──
やはり、城門はギロチンを冷たく拒むままでした。
私たちの勇者、ギロチンの旅はこうして終わります。
彼女はこの後の話がどうなるのかを知りません。
勇者ギロチンがクロエから聞いた話は、魔王城の前にたどり着いたところで終わっているからです。
私たちのあわれな勇者ギロチンは、クロエを納得させられるような……クロエが喜ぶような最高の結末を考えつくことができませんでした。
──そうでしょう?かわいそうな勇者様。
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──もう前には進まないとでも言いたいのか。
立ち尽くすギロチンの前に現れたのはイングリットだった。
あの日と同じ前へ進めなくなったギロチンち喝を入れる。
魔王城には勇者ラプラスがいる、メイデンではラプラスに勝てない。
勇者に対抗できる武器そう無い、「勇者の剣」「ホワイトアイスドラゴンブレス」そして「即死の魔眼」くらいだ。
ホワイトアイスドラゴンは倒れず、「冬の呪い」が世界を閉ざし……メイデンはお前の助けになるという最後の願いさえ叶えられないまま、記憶を消される。
クロエにとっても…。
メイデンにとっても…。
──この物語は最悪の結末を迎えるということだ。
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先の戦いで四天王の1人シフティーを倒した勇者ラプラスだったがその次の戦いで敗れシュエンに洗脳され、魔王城を守る最後の砦としてこき使われていた。
ヒーローに憧れた彼女がヒーローを邪魔する存在になるなんて…。
堕ちてしまったヒーローを救うのもまた、ヒーロー。勇者ギロチンの登場だ。
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エクスターナー
イレギュラーとなったニケの制圧、処理を専門とする存在自体が極秘の部隊
その所属ゆえに、彼女たちは自分の居場所がどこにも無いように感じていた
彼女たちは長い間望んでいた
自分の居場所
どこかに所属していると感じられること、関係を広げていけること
自分の「本当の姿」をありのまま受け入れてくれる人々と出会えること
「システム:片翼の魔王が力を取り戻しました」
「システム:片翼の魔王はギロチンの記憶を拒絶しています」
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破滅を望む「片翼の魔王」に呑まれ暴れ狂うギロチンの攻撃を受け止めるメイデン。ギロチンの剣を盾で受け止める度にこの世界でギロチンと過ごした思い出がよみがえる。
「我の友人をイレギュラーにはさせない。」
楽しかったはずの思い出がメイデンを苦しめる。
ともに笑い合い一緒に大変な思いをした今までの日々が一気に思い出され出さないようにしていた気持ちが溢れでてくる。
「──やめてください!」
「 システム:言霊の力が発動しました。」
「システム:発動者の精神に同調し、言霊の力が増幅されます」
「システム:発動者以外のすべての存在の時間が停止します」
「システム:発動者以外のすべての存在の時間が停止します」
何もかもが動きを止めた。
舞う雪さえもその場に止まった世界の中で……。
メイデンだけが息を殺し、涙を流していた。
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暗闇の中に現れた光、微かにギロチンの声のする光に触れるとメイデにの視界にギロチンの記憶が広がった。
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任務の遂行する過程で寄った裏路地が"彼女"との出会いだった──。
同じニケからも死神と呼ばれ恐れられる存在の正体を見てしまった人間の少女。声も出ないほど驚いているのだろう目は見開き口は開けたままだ。
恐ろしい存在を目にして気を失わなかっただけでも凄い、ギロチンはこれ以上少女を怖がらせないようその場を立ち去ろうとしたが……。
「貴様、「即死の魔眼」の所有者か?」
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夜分遅くに裏路地でひとり立ち尽くしてた少女「クロエ」。
中央政府を「組織のイヌ」と呼び、ギロチンを「即死の魔眼」を持つ者……「片翼の魔王」を封印せし者、「組織」から人間たちを救う存在だと呼ぶ。
ほかの子供たちとは少し変わった空想の物語を実際に起きた出来事のように話す少女クロエ。彼女のなかでは真実なのだろう……しかしその設定を受け止めてくれる大人は彼女の周りにいかなかった。変な子として後ろ指を指され親たちから聞いた情報がすべての無垢で純粋な子どもたちは綺麗なまま、残酷無比な事をする。
クロエが空想の話をすればある者は彼女を嘘つき呼ばわりし、叱りつけ、体罰も躾だと言い張り、いじめっ子たちは薄暗い裏路地に少女1人を置き去りにした。
これが──孤独な少女と孤高なニケの出会いだった。
***
クロエと知り合ってから一年の時が流れた。
最初はクロエ語を理解するのに苦労していたギロチンだったが今ではクロエをも越える厨二病を発揮した。
最近2人の間で流行っている遊び。
クロエがノートに書いた空想の物語を『ホワイトアイスドラゴン伝説』の主人公「勇者」になりきり仲間たちとホワイトアイスドラゴンを倒す、ごっこ遊び。
職業柄 他のニケたちと触れ合う事のできないギロチン。だがクロエの書いた物語のなかでは、たくさんのニケたちと協力して巨大なボスを倒す冒険ができる。
それが楽しかった。クロエも楽しそうに笑うギロチンが見れて嬉しかった。
物語終盤、勇者が魔王城前に差し掛かり──。
──現在までに市民8人が死亡、約20人が重症を負っています。
市民が事件現場に集まり、強い抗議活動を行っています。
あの日、ギロチンが取り逃したニケが市街地に逃げ出し銃を乱発した。
乱発された銃弾を浴び多くの人間に被害が出た。
ある者は即死。ある者は瀕死の大怪我を負った。
そのなかに公園に忘れたノートを取りに戻ったクロエの姿もあった。
今回の事件で、上層部はギロチンにバックアップが必要と判断し、エクスターナーに新人が投入されることとなった。
いまだ自分がどこへ、何のために進めばいいのか分からないギロチンに対しイングリットは、新しく来る新人が自分と同じ苦しみを経験しないよう世話をすることがいつか自分自身の答えへとつながるだろうと。
そしてお前の上官は私だ。何をしようと、私が責任を持つ。あまり一人で抱え込もうとするな。
新しく配属されたメイデンは実直で真面目な性格のニケだった。ある意味では有能なギロチンとは正反対のニケだ。
それゆえにギロチンの話すおかしな言葉に理解が追いつかず、任務が終われば即逃げ出しプライベートでの会話を嫌い親しくなる事を嫌がった。
ギロチンとは一向に仲良くなろうとしないメイデンだったが、指揮官という友から顔を合わせなくとも友人と楽しく遊べるオンラインゲームにハマり任務以外の時間はすべてゲームに捧げるようになった。
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ずっと部屋に閉じこもった不健康な生活をしばらくは続けていたメイデンだがある日、転機がおこる。
オンラインではなく、オフラインの友達が出来たのだ。しかも同じニケの友達だ。最近はその友達に会うために外に出かけるようになりいい傾向に変化している。
今までに増して忙しそうにし、任務以外では話すことが無くなってしまったが寂しくはない。
孤高の運命を背負うのは、我一人で十分だ。
メイデンまで……痛みを背負う必要はない。
──しかし良い話しほど長続きしない。
エクスターナーに任務が言い渡された。
テロを計画するニケの捕獲。それ事態はいつもの事、しかしターゲットが良くなかった。
「エレクトリックショック」部隊、エレグおよび、トロニー。その2名が諸君らのターゲットだ。
……メイデンの新しくできた友人だった。
結末は知っての通り。
エレグのもとに向かうトロ二ーを見逃した罪を問われ無期限の謹慎処分を受けたメイデン。記憶消去も視野されるなかギロチンは今後任務を全て1人で遂行することを条件に記憶消去だけは阻止してくれとイングリットに懇願するが一企業の社長という立場ではどうする事も出来ないことだってある。
メイデンを復帰させるには、ギロチンでも抑えられないイレギュラーが必要になる。
それがもし、特殊能力を持つギロチンだったならばメイデン以外に制圧することはできない…上層部としてはメイデンの復帰を許可するほか……ない。
「龍に植えつけられた冬の呪いを解く方法がないならば……友が同じ呪いで苦しまないよう、助けるだけだ。
ロクでもないことでは、あるはずもないだろう。」
目の前に広がる記憶の光景が次第にかすみ……すべてが凍り付いた世界の中で……メイデンの前に、自分を真っすぐに見すえるギロチンが立っていた。
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「お前はお前の任務を全うしてくれ。
「片翼の魔王」に飲み込まれた我を……イレギュラーとなった我を倒し、アークのヒーローになれ。」
頭のなかに直接流れてくるギロチンの願い。
彼女は自分が倒される事でメイデンを現場に復帰させ、アークを守るヒーローにしようというのだ。
「あなたを倒してアークのヒーローになれと?
そうですね。エクスターナーに所属するニケとして、私はあなたを倒すべきなのでしょう。公私は区別しなければなりませんから。
常に冷静沈着を保ち、アークのために戦う義務があります。
あなたに手を差し伸べることさえできない……そんなヒーローなんて、意味がないんです。
……キロチン、知っての通り……私はあなたが嫌いでした。
「即死の魔眼」だとか、「片翼の魔王」だとか……あなたの言うことも、することも……何一つ理解できませんでしたから。
そういう設定の奥に痛みを隠して……孤独ではないと強がっている気がしていました。そのことに私の情けない有り様を重ねずにいられませんでした。
ですから、私はあなたが嫌いでした。」
メイデンは手を伸ばし、キャンセルボタンを押した2人の間に浮かんでいたステータス画面が消え……メイデンの手はそのままギロチンの頭の上に落ちた。
「この物語の主人公は、ギロチンです。
クロエから聞いた話の再現は、もう必要ありません。
私のためでもなく、クロエのためでもなく……この物語のエンディングは、あなた自身のためにあります。
ホワイトアイスドラゴンに植えつけられた冬の呪いなんて、自分で解いてしまってください。
誰かの期待に応えられるかどうかじゃない。
自分の信念、自分の心を伝えるために行動する者が、本当の勇者なんです。
ですから、ギロチン。
「前に進んでください」
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「システム:言霊の力が発動しました」
「システム:発動者の精神に同調し、言霊の力が増幅されます」
「システム:ギロチンが意識を取り戻しました」
エクスターナー。
イレギュラーとなったニケの制圧、処理を専門とする存在自体が極秘の部隊。その所属ゆえに、彼女たちは自分の居場所がどこにも無いように感じていた
彼女たちは長い間望んでいた。自分の居場所。
どこかに所属していると感じられること、関係を広げていけること。自分の「本当の姿」をありのまま受け入れてくれる人々と出会えること。
だからこそ──ギロチンはメイデンに、メイデンはギロチンに心を開いたのだ。
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魔王城、謁見の間..…空の王座に、古いノートが置かれていた。
タイトルは「ホワイトアイスドラゴン伝説」……あの日、公園に置き忘れてきたまま──だ。
ノートを開けばラスボスが召喚され最後の戦いが始まる。
前衛は変わらず勇者ギロチンが担当する。
ヘイト管理タンクは僧侶メイデンが。
ヒーローは遅れてやってくる──爆発魔女ベスティーは最高火力魔法で応戦し、吟遊詩人のボリュームはパーティーのモチベーションを上げる音楽を奏で銃でクリティカルを狙う。
前へ進むと決めた勇者に恐れるものはもう無い──今はただ、背中をあずけられる仲間たちとともに目の前にいるボスを打ち倒すのみ。
これは原作者クロエも知らない物語──
──勇者ギロチンと仲間たちの物語がここに完結する。
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to be continued…
2024.12.20.