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【勝利の女神 NIKKE】これは私と彼女の出会いの物語【FOOTSTEP, WALK, RUN】
20241226-20250116.
©Proxima Beta Pte. Limited ©SHIFT UP CORP.
約2年の時を経てゲームの顔である「ラピ」のSSRが2024年年末から1月半ばまであるお正月イベントの目玉として登場した。
──メインヒロインであるからこそ、生半可な覚悟ではSSRにはなれない。
伝説を受け継ぐというのはどういう意味があるのか、2年間隠されてきた「ラピ」というニケの誕生秘話がついに明かされる。
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* * *
本記事では、ラピとレッドフードの出会いの物語『FOOTSTEP, WALK, RUN』の簡単な振り返りと、物語中に登場したワードの深堀・考察をしています。
メインストーリー・イベントストーリーを追えてない方はネタバレにご注意くださいませ。
* * *
🏥これはまだ彼女がまだ人間だった頃の話──
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【人間の少女時代】
──人類の平穏を脅かす宿敵"ラプチャー"を倒すべく、人類を守るために作られた組織"中央政府"が動き出すのだ、と興奮気味に語る男の姿がテレビに映し出されていた。
ニュースの番組のようだ。
傍には、テレビに映る男を不満そうに顔をしかめる少女。ベッドに横たわる少女にとっては、退屈な内容を垂れ流してるしかない。
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「そんなこと言わないの、"ラピ"。これはすごいことなんだから。」
不満げに「アニメが見たい」とつぶやく少女に声をかけたのは薬品のツンとした匂いをまとう女性。
ここは病院の一室。他の患者もいない少女だけの特別な部屋は、回復が見込めない彼女のために用意された部屋だ。
小さな体には、似つかわしくない管が延び、管の先には病気の治すための薬や心音を測る機械へと繋がっている。布団から出された皮と骨しかない腕は注射の跡で赤く腫れ上がっていた。
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死を待つだけの生。だが彼女にも"憧れ"はある。
"勝利の女神"かつてそう呼ばれた伝説のニケたちがいた。ニケは人類を救うため、日夜ラプチャーと戦う姿はアニメで見る"正義のヒーロー"そのものだった。
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勝利の女神として持ち上げられラプチャーから地上を取り戻す戦い"第一次地上奪還戦*"に送り出されたニケたちの戦いは失敗に終わり、貴重な資源と資金を投資して行われた作戦が失敗した責任を誰が取るか? 事態は中央政府の幹部たちによる責任の擦り付けあいから始まり、市民は収まらない怒りをぶつける相手を探し始め、人間たちは都合のいい機械に責任を押し付け沸き起こる怒りのすべてをぶつけることで目の前の事を片付けようとした。
現在に残るニケに対する差別的意識"ニケフォビア"の誕生だ。
少女に良くしてくれた看護師の女性はそんなニケに対する世論に反発する運動デモ活動をしていた。
ニケは得体の知れない化け物と文字通り身を呈して人類を守るために戦っているのだ、それをたった一度の失敗だけでニケには人権はいらないと吐き捨てるのは間違っている! ──そう信念を掲げて。
「ラピは誰かが払ってくれた犠牲に値段なんてつけてはだめよ。そのこと自体がもう、何にも代えられない物なんだから。」
看護の仕事を続けながら、人権の失われつつあるニケたちのため、身体中傷だらけになりながら活動していた優しい看護師はデモを弾圧しようとした中央政府の銃弾により帰らぬ人となった。
看護師が亡くなったのと同時期……200機のニケが暴動を起こした。
200機のニケたちは、ニケに人権などいらないと言う人類に見切りをつけ、ニケたちだけで地上で暮らそうとエレベーターに乗った。それを脱走だと判断した中央政府は"エレベーターを上空4kmで撃墜する"という愚行を犯す。
当然撃墜されたエレベーターは200機のニケとともにアークに墜落し甚大な被害をもたらす──だったところを搭乗していた"200機のニケ全員が自爆"。エレベーターは粉々になりアークへの被害を最小限にとどめることができた。
この出来事はアークに衝撃を与えることとなる。 それ以前はニケ人権保護派とそれに反対する派の衝突が度々あったが、事件後はニケの高潔な行動と見られるようになり、反対派は徐々に勢いを弱めていき、この事件は"ゴッデスフォール"と呼ばれ以後アークでのニケに対する人権が改善される機運が高まるようにった。
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"FSWRで約70年前の出来事"と決定された
備考:現在ニケ一部隊のメンバーは3名以下とされている。
ゴッデスフォール事件を経て中央政府が「あまりにも多数のニケが共通の目的を持って行動すると制御困難に陥る」と結論付けたからだ。
そのため事件以降は各部隊3名以下という原則が設けられた。
4名以上の増員は中央政府の許可が必要となり、それも十分な理由がある場合のみに許可される。
病院は有力な出資者からの支援によって成り立っていた。しかし、地上奪還作戦が失敗に終わり、戦争後の不景気に悩まされ支援の手も打ち切られた病院に残された選択は病院を閉じるか、実験体を差し出し無認可の新薬の臨床実験を行うか──二つに一つ。
やってくるのは看護師と医院長だけの病室。
ほぼ一日中カーテンの閉められた薄暗い部屋に幽閉されているのは骨と皮しかない1人の少女。死を待つだけの少女には親戚も、預かってくれる里親も、転院できる病院もない。行き場のない彼女に残された選択は無認可の新薬の臨床実験不治の病を治すことができるかもしれない新薬の試験の被検体になることだけだった。
内側から焼かれるように身体が熱い。
息ができない。
酸素を吸おうとしても熱をもった息が吐き出されうまく吸うことができない。
「か、回復している!良くなっているぞ!
ラピ! 君の病気が良くなっている!」
「はぁ……はあ……!」
意識が朦朧とし視界が定まらないなか揺らぐ視界に見えた白衣の男は獣のように白い歯を見せ興奮めいた口調で少女を見下ろしていた。
「よ、よし!これは初めてのケースだ。
これでもう少し支援を引き出せる……!
ありがとう!ありがとう、ラピ! 君は病院の救世主だ!」
「はぁ……はあ……」
見たいものは見れたと嬉しいそうに医者はカーテンめくりながら病室を出て行った。
医者は去り際に何かあれば指先にある赤いボタンを押すように言われた。
カチッ、カチッ、カチッ……。
少女の指は何度も赤いホダンを押していたが、誰かの足音が近づいてくる音はなかった。病室には副作用に苦しむ少女の押すボタンの音だけが響いていた。
カチッ、カチッ、カチッ……。
* * *
新薬の試験から数年が経過した──死を待つだけだった少女は病気が完治し女性へと成長していた。
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病院は病気を治すためにある。
医者は病人のために治療方法を考え、病室は病患者のために与えらるもの。
──つまり病気が完治した少女、いやラピを病室に幽閉する必要がなくなった。もとい無駄な金を使う必要がなくなった。
"ラピの積極的な協力"により、病院は研究所へと生まれ変わるそうだ。
医者はラピに感謝の言葉を述べ、嬉しそうに語るがその瞳に光はない。
……やっと重荷から解放される。
そう訴えているようにも見える瞳。
手に握らされた一枚の紙切れと、黒と金色のカードだけを持たされ患者服のままラピは外へと放り出された。
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放り出された外の世界は知らないものであふれていた。
テレビに映る映像や病室の窓からある程度は見ていたはずだが実際に立たされている世界今まで見ていたものなどほんの一部でしかなかったということを思い知らされる。
見上げるほど空高く真っ直ぐ伸びる鉄の塊。
歩く人々は皆、忙しそうに早々と走り去っていく。
声をかけたが耳に何か挿していてラピの声は聞こえていないようだった。
考えることをやめ、歩いた。
ひたすらに歩き続けた。
そのうち足が痛くなった。
もう一度あたりを見回した。誰もが靴を履いてる。
ラピは自分の足を見た。
"素足だった"。
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自分は何処へ行って何をすれば良いのか。
行き場のない迷子は彷徨いつづけ人が集まる公園へとたどり着いた。
公園ではニケの人権を訴える量産型のニケたちがデモ活動を行っていた。憧れに惹かれる少女のように集団に近寄るラピを出迎えたのは爆発音。
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武力によってデモを弾圧しようとした中央政府の攻撃だ。
「くそっ、民間人か……!
つかまって!ここにいたら死ぬ……」
民間人を助けようと声をかけた人影は目の端で倒れたまま動かないなっていた。
頭で考えるよりも先に生存本能が働き、体が動き出す。
銃口がラピの方を向き弾が腕をかすめる。
腕から流れる赤い液体。
生きている証の痛み。
そうしてようやく理解した──走る必要なんてない事に。
バン──ッ!
⚪️これはまだ彼女が無色透明だった頃の物語──
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【量産型ニケ時代(前半)】
ほぼ生まれたときから病室の中で得たものだけがすべてだったラピに"常識"といった人が生きているうえで最低限のものが一切なかった。
彼女の脳には何も入っていなかった。
"理想"のないラピは"NIMPH"注入後、量産型ニケとして第二の生を始めることとなった。
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量産型ニケとして生まれ変わったラピは目覚めて早々に資源回収を主とした部隊09-10Fに配属されることになった。
機械の体となったときに一般常識とともに任務の基礎知識もインストールされた為、はじめての任務でありながらそつなくこなし、部隊全員生還という成果を残す。
量産型のニケに個性は必要ない。
そのため機体番号で呼ぶことが通例だが配属された部隊09-10Fには少しおかしなニケがいた。
ラピと色違いの見た目の量産型ニケ"セイラ"。
見た目の色も赤と青で正反対なら、性格も物静かと騒がしいてで正反対。
同じ日にロールアウトされたため、鏡写しの双子と言っても過言ではない(セイラ談)。
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人間だった頃の話し、ニケとして生きることになった話し、これからの話し、顔を合わせればセイラはずっと絶えること何か話している。
どう反応すれば良いの分からず聞かれたことをそのままおうむ返しするラピにしびれをきらしたセイラがずっともったいぶって秘密にしていた話を教えて上げる! ──と、言ったその日の作戦で"09-10F部隊は壊滅した"。
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部隊長は上半身がなくなっていた
「セイラ……私はずっと病気だったの。
生まれてから、一度も病院の外に出たことがなかった。
病院が私の世界のすべてだった。
病気が治って、初めて外の世界に出た日に……死んだの。
だから、何も知らない。
自分がどういう人なのかも分からないの。
何をしたいのかも分からない。
ごめんなさい。これしか言えることがなくて。」
胴体だけとなった2つのニケを前にぽつぽつとつぶやく声は震えていた。
──これは彼女がはじめて体験した、友人との別れの物語。
* * *
部隊壊滅からしばらくが経ち、1人帰還したラピは部隊メンバーの頭を3つ持って帰ったこと評価され破格の大金(クレジット)が贈られた。
量産型は戦闘能力が低いためラプチャーと交戦すれば生還率よりも死亡率の方が圧倒的に高い。
しかも量産型というカテゴリの通り掃いて捨てるほど沢山いるため、少々消耗したとしても問題ない使い捨ての兵隊だ。
当然、同じ量産型ニケからして見れば面白くはない。
ラピはこのような状況でどうすればいいか分からなかった。いままで経験して学習したこともなければ、NIMPHのデータにもこんな事態への対処法など記録されていない。
結局、ラピは自分で考えついた行動をとった。
ドガッ!
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* * *
現在ではニケ同士の戦いなど日常茶飯事だが当時はそうでもなかった。ラピは更生館送りとなった。
そこでは口調の荒い量産型ニケ"リオ"と面白い事が好きな量産型ニケ"ウェンディ"と知り合った。
人とふれあうのに必要な常識などNIMPHのデータに記録されていない。
最初はリオの逆鱗に触れ、訳も分からず殴り合いに発展していたがウェンディのサポートもあり少しずつ人との会話の仕方を学んでいく。
リオとウェンディの所属する部隊はラプチャーとの戦闘することの多い戦闘部隊"スカルヘッド"。
そこでラピは"仲間と連携する"という事を覚えていく。
ラプチャーの外装が量産型たちの持つ銃じゃ歯もたたなくなってきた頃、中央政府はラプチャーに対する新たな対抗策として"ニケの部隊に人間指揮官を配属させる"ようになった。
噂によれば"第二次地上奪還戦"の準備のためらしい。
しかし配属された指揮官の死亡率は量産型ニケよりも高く、お世辞にもあまり良い作戦とは言えない。
そして同じ頃、リオの愛した芸能人ニケ"プリティー"が復活コンサートの最中"ニケフォビアに殺された"。
同じ釜の飯を食べた仲間がいつも隣にいるとは限らない。いつ、どこで、誰が死んでもおかしくないこの世の中で希望を持つこと自体間違っているのかもしれない。
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銃を片手に暴言を吐くリオだが彼女の本当の夢はプリティーのような煌びやかなステージに立つこと。
夢を諦め煤まみれになったニケに友人たちは違法な方法で入手した"テトラのニケアイドルオーディション参加チケット"をプレゼントする。
"憧れ"を失い生きる意味を無くしたリオに再び"生きる理由"が生まれた瞬間だ。
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「ちくしょう。もう、ありがとう! 本当に、本当によぉ!」
はにかむように笑い嬉しさを隠しきれないリオはその日の作戦中ずっと、プリティーの曲を口ずさんでいた。
新人の指揮官に何度も注意されたが、彼女は気にも留めなかった。普段なら争いになりそうな暴言さえ聞き流し、ただただ鼻歌を歌っていた。
その日の夕方。
リオは紅い眼でプリティーの曲を口ずさみながら、仲間に銃を向けた。
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by レッドシューズ
彼女の頭を撃ち抜いたウェンディは、しばらく笑った後、自身に銃を向けて引き金を引いた。
騒ぎを聞いて集まってきたラプチャーと戦闘が始まり……。
指揮官も命を落とした。
ラピ以外に生き残っていたのは2体だけだった。
ラピは生き残った2体の生存者とともに、アークに帰還した。
簡単な検査を受けた後、人のざわめきもない静かな部屋で待機となった。
待機中、目の前にあるモニターから"アイドルオーディションのニセ参加券がヤミで出回っている"ことへの注意を喚起するニュースが流れてきた。
「……あぁ……あ……あああ……。」
スカルヘッド部隊は全滅とみなされ、解体された。
ラピはリオの言った「むなしい」という言葉の意味が分かった気がした。
──ただただ「むなしかった」。
* * *
時は流れた。
ラピは名もない戦闘部隊で任務を遂行し続けたがラピ以外のすべての隊員は、いつの間にかすべて入れ替わっていることも多かった。
全員戦死した、あるいは精神が持たなくなったのだ。
希望を持ち、夢見る者は多かった。
だが、夢の入り口にすらたどりつけないまま次々に死んでいった。
侵食も克服されていない。
ラピは紅い目で同じ言葉を繰り返す仲間を何回手にかけたか、思い出せなくなっていた。
思考転換も残酷な顔を見せた。
一瞬で人格がひょう変し、築いた絆がもろくも消え去る。
ニケはあっという間に命を失う
ラプチャー、環境、人間、ニケ自身……様々なものがいとも簡単にそれを奪ってゆく。
ラピはただ空虚に感じ、退屈だった。
ただ、その日の到来を願うようになった。
何の意味もない人生が終わる日を……。
* * *
現在から約60年前──いつか伝説と呼ばれる指揮官 新生、ヨハンを筆頭に大規模の地上奪還戦が始まる。
第一次の約100倍の戦力が投入されたとされる"第二次地上奪還戦*"。
中央政府が自信を持って決行した作戦だったが結果は散々たるものだった。
開戦後しばらくで兵力の80%を喪失、事実上の敗戦濃厚ではあったが一年後に当時新星と呼ばれていたヨハンが初勝利を挙げるものの敗戦、人類はまた地下での雌伏を強いられることになる。
備考:戦後は軍の大量更迭を伴った改革が行われ少数精鋭部隊の増設や現在の士官学校も新星指揮官の助言の元設立される。
その後、新星(ヨハン)は73号機エレベーターへラプチャーの侵入を許し続く防衛戦でも60%の兵力を喪失するなどその評判を地に落とすことになる。しかしこれにはマイルズ副司令官のミスを新星(ヨハン)におしつけられた可能性がある。
第二次地上奪還戦の開始から2年が過ぎた。
地上に到着したエレベーターの扉が開くと同時にラプチャーの攻撃を受けたラピの部隊は、半数以上が犠牲となった。
新人の指揮官がニケたちを盾にして作戦地域への強行突破を図ったがその新人指揮官もラプチャーの犠牲となり残った人員の過半数が負傷した。
ラピは残った戦力とともに移動を続け、気づいた時には部隊は全滅。ラピはまた1人となっていた。
「また……また…私だけ……疲れたわ。」
ラプチャーを前に銃を構えるラピの後ろから伸びるレーザーポイント。
気づいたときには銃声と倒れるラプチャーの姿。
振り返ったラピが見たのは赤い。全身赤に染まった人影。
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🔴これは彼女が伝説を受け継ぐまでの物語──
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【量産型ニケ時代(後半)】
「その……頭のおかしな奴に見えるのは分かってんだけどさ。今、何年か分かるか?」
量産型じゃない個性のボディを持つ、所属部隊の分からないニケ。
ラピは不信感を覚えた。
だが、目の前の困り顔を無視もできず、黙って携帯端末の画面を見せた。
赤いニケはしばらくの間、画面に表示された数字を見つめていた
「……はあ。30年……だと……。」
頭のおかしなニケの話をまとめればこうだ。
目の前にいる赤いニケは30年前に壊滅した伝説の部隊ゴッデスのレッドフードであり、侵食状態のまま眠りにつき、気づけば30年が経過していた──と。
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侵食されたニケは同じ言葉を繰り返すだけになる。
──好きな音楽は?
カントリーミュージック!
── 一番好きなものは?
カントリーミュージック!
──やってみたいことは?
カントリーミュージック!
「繰り返しね。処分する。」
「質問のしかたが悪いんだよ!」
残り少ない時間をラピのために使いたいというレッドフード。
ラピはこれまでたくさんの人たちに助けられてきた。
それを嫌と感じなかった。しかし期待もしていなかった。
興味がなくなった、同情心が失せた、忙しくなった、何かに失敗してそれどころではなくなった……あるいは、死んでしまった。
皆それぞれの理由で、ラピから離れていった。
だから、ラピは誰かに期待しない。
今回も同じことだ。
死んでしまうのが分かっているなら……いつものように、勝手にさせておけばいい。
行きたい場所を聞かれ"軌道エレベーター"と答えた。
あそこはラプチャーが最も密集してる危険地帯であり、地上で最も危ない場所だ。
そこへ行きたいと言えば諦めるかと思ったが思いのほかレッドフードは乗り気で、あの世の入り口へ遠足感覚で楽しく喋りかけながら進む。
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軌道エレベーターは適当に思いつきで言っただけの場所だ。
行きたかった思い出の場所でもなんでもない。
「ランプの魔人じゃないが3つまでは叶えてやるよ。」
次の願いを急かすレッドフードを疎ましく思っているとラプチャーに居る事がばれ大群からの襲撃に合う。
いくら伝説のニケとはいえ多勢に無勢。
戦闘を避け駆け出すがラプチャーの爆撃に足を取られ体勢を崩したラピは割れた地盤の裂け目に飲み込まれ闇に消えた。
暗闇の中で体を起こそうとした。いや、起こそうとしたが、出来なかった。
「足が……。」
ラピの足は明後日の方向に折れ曲がりこれでは立つ事もできない。
地上からはラピを呼ぶレッドフードの声と激しい銃声が聞こえる。
「大丈……!」
ラピは大声で叫ぼうとして、止まった。
レッドフードのように何の遠慮もせず、何の見返りも求めず好意を見せてくる相手は少なくなかった。
だがその全員が死ぬか、おかしくなった。
自分の未来への期待だけを膨らませ、いなくなる。
レッドフードもいままでと同じだ。
侵食されているニケ、一週間も持たない命。
レッドフードは死ぬ。
侵食は治療できない。
『きっと私が引き金を引くことになる』
それがラピをためらわせた。
このまま見捨てて逃げてくれればいい。そう思い、ラピは闇の中でうずくまった。
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……逃げて。
私を捨てて逃げて。
私に希望を持たせないで。
やがて爆音が止まった。
......ラピは凍りついた。頭の中は最悪の状況でいっぱいになり考えることも出来なくなった。
うずくまり。
「…レツドフード……」
カランツー
小石の落ちてくる音がした。ラピは暗闇の中で、大きく目を見開いた。
ドスッ……!
ラピは思わず顔を上げ、前を見た。
隙間から差し込む光を背に、歩いてくるレッドフードの影があった。
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"レッドフード"
レッドフードは今までの似たような仲間と、明らかにどこかが違うわけではない。
だが、どういうわけか.……レッドフードはまるで、精神も肉体も不死身のように感じられた。
「できたわ。願いごと。」
「あん? こんなタイミングで?」
「私はあなたになりたい。
教えて。どうすればあなたになれるのか。」
──これは彼女にはじめて"願い"が生まれた物語。
* * *
落ちた場所は地下施設だった。
電気の通っている施設の最奥で待ち構えていたのはアークの守護者を名乗る"D.E.E.P."目の前の女はD.E.E.P.の代表(またはこの地下施設の主)といったところか。
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中央政府よりも高次の存在であるD.E.E.P.が指揮するこの場所は軌道エレベーターの地下に存在する。
ここには軌道エレベーターの動力源があるがその姿は"ラプチャーのコアと酷似"しており、超巨大コアと呼ばれている。
ラプチャーは宇宙から軌道エレベーターを通し地上へ降りてきているというのが現在までつづく見解だ。
つまり超巨大コアを破壊すればラプチャー侵攻は止まる。
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超巨大コアは二つで一対のコアだ。
軌道エレベーターのコアを壊せば必然的にもう一方のコアも崩壊する。
今は離れているから安定して共鳴しているが、もう一方のコアはアークのエネルギー源として利用されている。これを破壊すればアークのエネルギー供給が停止する。
地下から出られない多くの人々が一瞬で生活基盤を失い、死ぬだろう。
それは人類の絶滅を意味する。
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レッドフードたちが立ち去った後、ここはより厳重に封鎖され誰かが迷い込んでくるような事態は起こらなくなる。
ラプチャーを地上から一掃したいのなら、まずアークを破壊すること。そうすればラプチャーは滅ぼせる。
代わりに、人類も滅びる。
逆説的には、アークを捨てられるなら、お前たちは勝利できるということだ。
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かけられた天秤が重い
「フェアリーテールモデルと量産型。
試したことが無い。いい機会かもしれないな。
超巨大コアは、現時点では共に消滅するしかない……だが、共存の可能性を残すことはできる。」
眠らされ記憶を消される前に聞いたD.E.E.P.の言葉。
それが何を意味するのか地下施設で見たことすべてを忘れてしまったレッドフードが理解することはない。
次に目が覚めたとき目の前に居たのは足の直ったラピだった。
彼女たちは最期の日まで、誰かに何かを伝授すること、誰かの何かを引き継ぎ成り代わること、すれ違いを見ないふりして互いを励ましあった。
* * *
理屈で考えレシピ通りに動くラピに感覚で何でも出来てしまうレッドフードはあまり良い教官とは言えなかった。
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その行動に意味はあるのか、思いつきだけで話すレッドフードの謎の発言に迷わされる事ばかりだったがそれをラピは苦に感じなかった。
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レッドフードから彼女を構成するものを学べば"死んだり心が壊れたりしないヒーローになれる"と確信していたから。
自分というものが無い真っ白のラピ。
彼女がはじめて言った自分の意志。
それを尊重しレッドフードは勝利の女神と呼ばれた伝説の部隊"ゴッデス"の仲間たちの事や帰ることの叶わなかった故郷の話をし始めた。
何も無い田舎町。そこで生まれたお転婆娘はガラの悪い友人たちと働きもせず毎日問題ばかりを起こしていた。
そしてある日、事故にあい呆気なく死んだ。
目が覚めたときは適合者として"フェアリーモデル"のニケとなっていた。
人々に迷惑をかけるだけの不良がニケになったところで人類のために命を捧げよう! なんて気は起こらない。
最初はやぶれかぶれ。選ばれたから仕方なくやる。それだけだった。
『自分って存在は周りの誰かによって完成する。』暴れることしか知らなかった田舎娘が誰かのために──なんて考えるようになったのは仲間の影響が大きかった。
「はぁ……疲れた。年のせいかな。」
古びた建物の壁にもたれかかるレッドフードには、明らかな疲れが見えた。
いつの間にか、その目も紅く染まっている。
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ラピはレッドフードの拳に自分の拳を突き合わせた。
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「あああ!うあああー!!」
夢のような一週間が終わった。
ラピが今まで積み重ねてきた人生よりはるかに多くのことを経験した一週間。
ラピは動かなくなったレッドフードを抱きしめ
ひたすらに泣いては叫び、それを何度も繰り返し続けた。
やがて、ラピも動かなくなった。
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第二次地上奪還戦から6年ぶりに帰還したアーク。
精密検査を受けたラピには侵食といった目立った異常はないかわりに"コアが二つ存在する"異様な存在になっていた。
量産型から新たなボディを手に入れたがその体には変わらず、ラピともう1人のコアが何度ボディを変えても共存する状態が続いた。
限界までもうひとつのコアの力を使った場合、もうひとつのコアにボディの主導権を奪われる事態に陥り、伝説のニケレッドフードが蘇った事がエリシオン社長イングリッドによって抹消されたのはまた別の話し。
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レッドフードのいたゴッデスのような"死ぬことも、心が折れることも、想像できないほどの強い仲間"を求めたラピが配属されたエリシオンの精鋭部隊アブソルートでウンファと色々あったのはまた別の話し。
"レッドフードになること"と"レッドフードを引き継ぐ"ことの違いを知るのもまた別の物語──。
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🐺考察:情報量過多だったけどみんなついていけた?
なんか今まで秘密にされていた事が一気に情報解禁されて皆さん理解できました?
わたしはさーっと読んであとはSNSで補完しました(笑)
ニケはメインストーリーで言うような重要な事でもさらっとイベントで言ってくるから油断できない。
ここからは『FOOTSTEP, WALK, RUN』読んで気になった部分を軽く掘り下げ。
文字数が一万越えてバチバチに重くなって文字が打ちづらいので簡単に。
1.ニケの見た目は生前の"理想の姿"が反映される
NIKKE公式推しアンリミテッド部隊のアリスは長年の病院生活から絵本の中の世界だけがすべてであり、あの世界の住人になることを望みいまの姿になりました。
ラピが今の姿になったのはレッドフードと過ごした一週間の影響が大きかった(?)
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2.レッドシューズを越える戦犯現る
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2周年イベント「OLD TALES」でレッドシューズがつくった侵食。
現在進行形で被害を出し続けている侵食を越える大戦犯が今回現れたエブラ粒子だ。
第二次地上奪還戦は第一次の約100倍の戦力が投入されたに関わらず部隊同士での連絡は不可能。
(ただしラプチャーは可能)だめじゃん。
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by レッドフード
3.イングリッド=フリージア説再び
1周年イベント『RED ASH』で登場した人間の少女フリージア。
当初は彼女がラピ何じゃないかと噂されるなか密かにささやかれていたイングリッド=フリージア説。
今回のイベントでイングリッドがヨハンやアンダーソンと同じように最低でも60年くらいは生きていることが確定した。イングリッド美魔女説浮上。
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フリージアの30年後の姿…
4.ラピのNIMPHも消失した時期
エニックの判決でNIMPHがない事が判明し記憶消去を免れたラピ。
あのときはラピの記憶が消えなくて良かった。……で終わったけど結局ラピのNIMPHはいつ頃消失したのか。
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アーク帰還時にはあることが確認できる
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指揮官を止血した際に血に触れた説
5.NIKKE運営の天才すぎる隠し方
今回のイベントで一番驚いたのは何と言ってもD.E.E.P.の胸にあるネオンの本体でしょう。
指揮官なら否応なしに目がいく場所に例のブツを置く。天才かよ。
メタい考察を抜きにしてもスパイを公言してるネオンが本当にスパイだったら面白い。
D.E.E.P.は個人ではなく複数を指す名前だ。
(「私」ではなく「我々」と言ったから)
それゆえにネオンだけでなくアニスとネオンの融合した姿だと唱える人もいて今後のD.E.E.P.の動きが楽しみだ。
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急にゲーム画面が出て驚いただろうな…
憧れのヒーローになろうとした彼女の物語
2025.01.05.7fen.
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