【小説風プレイ日記】超探偵事件簿 レインコード【1章推理編#13】
©スパイク・チュンソフト | RAINCODE
『うわさ話』
──なぁ、聞いたかよ?
"ギンマ地区"で起きた"時計塔の事件"さ…。
また"クギ男"の仕業だってな。
ホテルから出るとうわさ話に花を咲かせる男たちとすれ違った。
今はハララさんを探さないといけないんだけど、"クギ男"が気になって、思わず足を止めてしまった。
「あぁ、それなら犯人捕まったらしいぞ、保安部が集まってて、大騒ぎになってた。」
「ウソ! "クギ男"が捕まった!? どんなヤツだった!?」
男たちはそのままどこかへ行っしまった。
残されたボク達には、断片的な情報しかなくて…。
『事件がどうとか言ってたけど…』
えーと、ギンマ地区にある時計塔で何か事件があってその犯人"クギ男"が捕まった…ってことみたいだけど。
死に神ちゃんがうずうずし始めた。…嫌な予感。
『きゃー! さっそく事件が起きたのー!?
前評判通りの素敵な街ー!』
『ギンマ地区ってトコの時計塔だって!
ご主人様、さっそく行ってみようよ!』
「いや、その前にハララさんを見つけないと…。」
『ダメー! だってガマンできないもーん!』
「ぐえっ!」
勝ってに突き進む死に神ちゃんから伸びる鎖に引きずられて強制的に時計塔へ連行される。
この首輪、謎迷宮でも現実世界でも関係なく有効らしい。死に神ちゃんはこの世の果てまで有効だって言ってたけど…はぁ。
☩ ☩ ☩
『到着ーっと!』
『ここがギンマ地区だね!
適当に動いた割にはたどり着いた!』
「て、適当だったの…?」
ずっと引っ張られたせいで、首輪が当たっていた辺りがじんわり熱をもってて痛い。
首を触って取れてないか確認した後、ギンマ地区の街並みを観てみる。
なんか…カマサキ地区とはだいぶ雰囲気が違うな。
相変わらず雨は降っているけど、あちこち、やたらと豪華で高級そうだ。建物も…歩いている人も。
『金持ってそうな連中ばっかりだね!
あっちで見た貧乏そうな連中とは大違い!』
『オレ様ちゃん、貧乏人って嫌いなんだよね。
貧乏人って性格歪んでるんだもん。』
「人それぞれだと思うけど…」
『で、事件があった時計塔はどこかなー?』
全然聞いてないし。
だから…ハララさんを探さなくちゃ行けないって言っているのに…。
死に神ちゃんってば、時計塔を探してキョロキョロ、事件に香りにワクワク、終始落ち着きがない。
『いい? 教育係としてご主人様に教えといてあげる!
探偵にとって、事件は何よりも最優先なのっ!
親よりも、排泄よりもっ!』
「わ、わかったよ…行けばいいんだろう。」
ひとまず…このへんの人達に聞いてみるか。
☩ ☩ ☩
やって来た時計塔にはすでにたくさんの人が群がっていた。
みんな犯人の"クギ男"に夢中なようで、"クギ男"に関するうわさ話が飛び交っていた。
「おい、遂に"クギ男"捕まったらしいぜ…。」
「え? 例の連続殺人事件の?
で、"クギ男"ってどんなヤツだった? 顔中が釘だらけとか?」
「バカ…本人が釘だらけだから"クギ男"なんじゃない。
殺人現場が釘だらけって話を聞いた事ないのか?」
『…殺人現場が釘だらけ!?』
「で、やっぱり今回も"密室"だったのか?」
「あぁ、そうらしいぜ。」
『み、密室ぅぅぅ!?』
『はぁはぁ…なんか…そそるワードが次から次へと聞こえて来るんだけど…。』
『ヨダレ出ちゃいそう…!
ご主人様ぁ、早く調べに行こうよぉ…!』
もう滝のように出してんじゃん。
調べるのは無理だよ…時計塔は保安部に封鎖されちゃってるし。
『もうガマンできなぁーいっ!』
「あっ、ちょっと!」
またしても死に神ちゃんに引きずられて、警備する保安部の目の前へと連れて来られてしまった。
保安部の不審者を見る目が向けらる。
「…なんだ、お前は?」
「あ、あの…何かあったんですか?」
「部外者は立ち入り禁止だ、去れ。」
「…はい。すみません。」
そう言われてしまったら引き下がるしかないよね。
『あっさり引き下がってどーすんの!
もー、情けないんだから!』
そんな事言ったって、この状況を見てよ。これ以上は近づけないって。
時計塔の入口は変わらず保安部が立ち塞がったままのこの状況で、保安部を押しのけて無理やり入りでもしたら、目をつけられてさらに大変な事になってしまうよ。
大体…犯人はもう捕まったって言ってたじゃないか。
ボク達の出る幕じゃないと思うよ。
『ご主人様は、それでも探偵!?
探偵なら事件の事知りたいと思うもんじゃないの!?』
『しかも密室だよ!? フツーならテンション上がってうんこ漏らすトコでしょ!』
漏らさないよっ!
大体ボクは…ちゃんとした探偵ですらないし…。
『ご主人様、ひょっとして…自分が"見習い"だったコトを気にしてる?』
気にしてるって言うか…わからないんだよ。
どうしてボクは探偵なんかを目指していたのか…。
ねぇ、ボクの記憶って元に戻らないの?
じゃないと、ボクはどういう気持ちで、夜行探偵事務所で働けばいいのか…。
『ご主人様、過去よりも大事なのは、今…未来じゃないの?』
いや、そもそもこうなったのは、死に神ちゃんのせいで…。
『それでも過去にこだわるなら、過去の自分とおんなじコトをやってみたら?』
「過去の自分とおんなじ事…?」
『見習いとして、探偵を目指すんだよ。』
『同じ目的地に向かって歩けば、どんな道でも、いつかは合流するはずでしょ?
そうしたら、いつかきっと、過去の自分の気持ちもわかるはずだって。』
なんか…いいように言いくるめられてる気がするんだけど。大体、探偵を目指すっていっても具体的に何をすれば…。
『もちろん、事件の調査に決まってるじゃん!』
『…てコトで、さっそく時計塔を調べてみよう!
ね、未来の名探偵さん!』
やっぱり…いいように言いくるめられてる…。
仕方ない…とりあえず事件について、街の人達から話だけでも聞いてみるか。
もしかしたら、この事件が"カナイ区最大の秘密"と関連してるかもしれないし…。
『そうこなくっちゃ! なぞまるー!』
☩ ☩ ☩
『怪人"クギ男"』
「あの…"クギ男"って呼ばれてる犯人が捕まったらしいんですけど…。」
「なにっ!? "クギ男"が捕まっただと!?
そりゃ大ニュースだ! みんなに知らせてやらなきゃな!」
「その"クギ男"ってなんなんですか?」
「なんだい兄ちゃん知らないのかい?
カナイ区で一番有名な都市伝説…怪人"クギ男"だぞ?」
うわさ好きな男から聞いた都市伝説で語られる怪人"クギ男"はこうだ──
『きゃー、こわーい!
オレ様ちゃん、怖い話って苦手ー!』
「でも…ただの都市伝説なんですよね?」
「あぁ、半年前まではそうだったんだが…。
ここ半年で、立て続けに何件か、実際に釘で滅多打ちにされた死体が見つかってるんだ。」
都市伝説から出て来た殺人犯…不気味な話だな。
その後も何人かに話を聞いて回り、ある程度の知りたい情報は手に入った。
まとめると"クギ男"という都市伝説そのままの事件が半年前から何件か起きていて…今日また時計塔で同じような事件が起きたけど、犯人と見られる人物が捕まった。
これが、すべてだね。
もう、これ以上ボク達が知るべき事はないでしょ。
『いやいや、密室は?
事件は密室で起きてるんでしょ?』
『オレ様ちゃんはまだ密室を見てないよー!
密室を出せー! 今すぐ用意しろーっ!』
まるでオモチャを買ってもらえない子供のようにただをこねだしだ死に神ちゃん。
さすがに現場を見る事は難しいけど、チラッと見るだけならいける…か?
もう一度、時計塔まで戻ってみることにした。
☩ ☩ ☩
『ん? なんか様子がおかしいね?』
「あれはっ!?」
「なんだ! 貴様は!?」
時計塔前に着くと同士にボクは駆け出していた。
保安部に囲まれている男の子の姿が目に入ったから。
「…大丈夫? 立てる?」
手を差し出し男の子を立ち上がらせその場から立ち去ろうと…したところを保安部に止められた。
「おい、待て!
職務執行の妨害は罪にあたるぞ!」
「えっ? いや、あの…」
ど、どうしよう!
『どうしようって…まさかノープランで突っ込んだの!?』
つい…とっさに…。
『もー、何考えてんの?
脈絡もなく絶体絶命になってるし。』
「今から、貴様らを保安部へ連行する。
抵抗する場合は、強制措置をとるものとする。」
「ちょ、ちょっと待ってください! 話を聞いて…」
「両手を頭に乗せて、その場に伏せろ!
それ以外の挙動は抵抗とみなす!」
じりじりと詰め寄ってくる保安部に圧倒され後退り。
このままだとボクら2人とも捕まってしまうっ! 誰か助けて──そう願った刹那、足元から何か小さなな物が落ちた音聞こえた。見ると落ちていた物はコインだった。
それからの出来事は一瞬だった。
「うわっ!?」
「ふべぇ!?」
「ぐはぁ!」
ボク達を囲っていた保安部達が次々と倒されていく。
そのスピードは目で追うのでやっとだ。
保安部たちは抵抗する間もなく全員やられてしまった。
「身の程知らずの正義感は、コイン1枚よりも価値がないぞ。
命に係わる事だ、覚えておくといい。」
「は、はい…すみませんでした。」
『やるねー、とんでもない身のこなし!
ご主人様とは大違い!』
何も言い返せない。
とりあえず危機は去った。男の子は無事か声をかける。
「…大丈夫だった? ケガとかない?」
「お、お願いします…父さんを…。
父さんをあいつらから取り返してくださいっ! どうか、お願いします!」
本当は、今回から調査パートに入りたかったのですが力尽きたので、ここまでにします。
「密室」、「連続殺人事件」と聞いて皆さんはどう思います?
わたしは死に神ちゃんは全プレイヤーの声を代弁してくれてるなって思います(笑)
それではまた──次回。
To Be Continued..
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