【小説風プレイ日記】超探偵事件簿 レインコード【0章 推理編#3】
©スパイク・チュンソフト | RAINCODE
『エイフェックス=ローガン』
ずっと怒っていて誰にでも噛み付くエイフェックスさん。
初対面が最悪すぎてあまり良い印象を持っていなかったけど、スラム街出身という彼の半生は壮絶なものだったらしい。
弁護士だった両親は不正を許せない正義の人で、地元マフィアに手を出し殺されてしまった。
──エイフェックスさんの目の前で。
自分の身を守るためにエイフェックスさんは逃げ出し港に止まっていた船に飛び乗った。
何処のへ行くのかもわからない船で、エイフェックスさんは過去も故郷も捨てた。
スラム街に流れ着いてからは死にものぐるいで生きてきたそうだ。
この歳まで生き延びられたのは単に…運が良かったんだろうな。
探偵になったのは、能力の素質に恵まれた事と、復讐の為。
悪い奴は当然ぶっ飛ばすし、悪くない奴でもエイフェックスさんに刃向かったらぶっ飛ばされる。
理不尽だよ!
やられる前にやれ…それが、エイフェックスさんのモットー。
見た目通り怖い人だけど、それだけじゃないこの人なりの悲しい過去を背負っているみたい。
エイフェックスさんの探偵特殊能力は"???"
まだ信用されてないからか、探偵特殊能力については教えてくれなかった。
レーダーみたいなものだと言っていたけど……?
『ジルチ=アレクサンダー』
最後は、冷静に物事を考え場を仕切っていたジルチさん。
大きな狐の耳付き帽子が目立つジルチさんは、"大自然の調停者"らしい。
人を愛し、自然を愛し、何より、それらの調和を愛しているジルチさんの敵は調和を乱す人。
ジルチさんが担当した事件で、ソールズ湖のダム建設における工事関係者連続殺人事件がある。
ダムに沈んだ祭祀場の祟りと言われ、工事に携わった人達が、次々と変死した事件。
犯人はダム利権に目が眩んだ現地の人達だったらしいけど、異常だったのは、村人52人全員が犯人であり、秘密を守る為に、互いの指を交換し合っていた。
(※どういう風に"交換"し合っていたかは、ご想像にお任せします。)
いかにも、優秀な探偵って感じのジルチさん。
ボクの事を疑っていたけど、ちゃんと公平に聞いてくれたし…見た目は気難しそうだけど、実は、結構いい人なのかも?
ジルチさんの探偵特殊能力は"動物操作"
ジルチさんは、動物を意のままに操ることの出来る。
利用する方法は様々らしいけど、情報収集が主。
動物だったら対象に警戒されることなく、近づけるからね。
動物ならなんでも操作できるってわけじゃなく、四足歩行の哺乳類のみ。
知能も低い方が好ましく、よく使うのはネズミだって。
この列車には、ネズミはいないから能力を見せることはできないらしいけど?
☩ ☩ ☩
『不可解な状況』
ボク以外、全員の自己紹介が終わったわけだけど……。
全員の話しを聞いても、何も思い出すものはない。
超探偵なら、ボクにも何らかの探偵特殊能力を持っているはずだけど……さっぱりだ。
エイフェックスさんが5、6発殴ったら、何か思い出すんじゃねェか? と言って近づいてきた時は本気でひやっとしたけど、ジルチさんが止めてくれてよかった。
「気絶して何も喋べれなくなっては困る。
我々が直面している、この"不可解な状況"は、おそらく彼の記憶と関係しているはずなんだ。」
「そういえば、さっきから気になっていたんですが、不可解な状況って?」
世界探偵機構から招集されたメンバーは5人らしい。
え?
ボクと、ザンゲさんと、プッチーさんと、メラミさんと、エイフェックスさんと、ジルチさん……。
…6人いるっ!?
確かに…どう考えてもボクが怪しいよな。
この状況で記憶喪失なんて。
まさか…本当にボクがニセモノなのか?
ボクが"6人目"で…自分でそれを忘れている?
「…おい、揃いも揃ってアホ面並べているオメェらに、俺の冴えた推理を聞かせてやるよ。」
エイフェックスさんの推理はこうだ。
ボクの代わりに超探偵のフリをして列車に乗り込もうとした犯人だったけど、ボクが思いのほか頑丈で意識を取り戻し、発車に間に合って乗車してきた。
その結果、この不可解な状況が生まれてしまった、と。
つまり、ボクが駅で倒れていたのは誰かに襲われたせい?
でも…特にケガをしている訳でもないだよな。
「あの、よろしいですか?
プッチーの推理は少し違います。」
プッチーさんの推理はこうだ。
この不可解な状況はすべて"世界探偵機構のしくんだ試験"で、試験官がメンバーの中に紛れ込み、この場の探偵の力量を確かめようとしているんじゃないかって。
そうだとすると、ボクがその試験官ということになるけどそれは……。
「世界探偵機構だろうが殺し屋だろうが、俺を試そうってんなら、お望み通り見てやる!」
言うが早いかエイフェックスさんは探偵特殊能力を使った。
な、なんだ…今の? 妙な感覚に、全身包まれたような…。
「敵影はなし…か。
オイ、この列車に乗ってんのは、俺ら6人だけで間違いないみてーだぜ。」
エイフェックスさんは半径50メートル程度の範囲内なら、生命体の有無と、その位置を知る事ができる。
詳しい仕組みは企業秘密らしいけど、この列車に乗っているのはボクらだけだと断言した。
だけど1人だけだと嘘をつく事だってできる。
似た能力を持つプッチーさんにも列車内に"招かれざる客"がいないか確かめてもらった。
ドクン。ドクン。
この感覚…さっきエイフェックスさんの時にも感じた…。
なぜだろう…プッチーさんの聞いている音がボクにも聞こえる気がする…。
でも…他のみんなには聞こえてない? どういうことだ?
「…終わりました。
ここにいるのは6人以外の心音は聞こえませんでした。
呼吸音は息を止めれば誤魔化せますが、心臓の音を誤魔化す事はできません…つまり、この列車には他に誰にも乗っていません。プッチーが保証します。」
「2人の超探偵によって証明された以上、他に乗客は乗っていないのは確定だと言えるだろう。」
「仮に、どちらかがニセモノで嘘をついていたとしても、もう片方の証言は信用できるものね。」
どちらかが…ニセモノ?
でも、エイフェックスさんとプッチーさんは2人とも間違いなく探偵特殊能力を使っていたはずだ…。
彼らの能力を"追体験"するような感覚があったし、2人が超探偵である事は、たぶん間違いない。
ただ、2人の能力を一緒に感じているのはボクだけで、他のみんなは感じていないみたいなんだよな。
どうして…ボクだけがそれを感じているんだろう?
列車は、目的地まで止まらない。
誰も途中下車することのできない。それは"6人目の招かれざる客"も同じ。
この密閉された空間で、ニセモノは何をするつもりなんだろう?
まずはニセモノが紛れ込んできた"動悸"から探ってみよう。
可能の1つは"世界探偵機構の試験"
もうひとつの可能は──また次回。
to be continued..
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