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聴くことの神経科学:ケイト・マーフィーの「You Are Not Listening」を読んで

読んだ本

最近読んだケイト・マーフィーの「You Are Not Listening(あなたは聞いていない)」の第2章では、聞くことの神経科学について詳しく説明されていました。『聞く』という行為が、単なる受動的な行為ではなく、他者と脳波を同期させる深い認知プロセスであることが明らかにされています。

本当に聞いている?

私たちは皆、聞き手が聞く雰囲気を出していても、本当に聞いていないと感じる経験をしたことがあると思います。また、自分が聞き手であるときも、話し手のことを上の空で全然会話に乗れないということもあるでしょう。いずれのシチュエーションでも、聞き手の上の空な態度はコミュニケーションと会話のリズムを乱します。マーフィーは、リスニングはチェックリストではなく、心の持ち方であると述べています。真に理解するためには、意識的に注意を集中させ、すべての感覚を活用する必要があると感じました。

聞くことの神経科学

特に興味深かったのは、リスナーとスピーカーの間の脳波の同期についての説明です。神経科学者のウリ・ハッソンはfMRIスキャンを使用して、他者の言葉を真に聞き理解すると、私たちの脳波がスピーカーの脳波と一致することを示しました。この同期は理解を促進するだけでなく、後続の情報処理にも影響を与えるとのことです。他者を「理解する」ことで、私たちの脳は文字通り同期するのです。

聞くことの本質

マーフィーによれば、リスニングは「経験されるという経験」です。真に聞かれ理解されるときに感じる深い接続感に似ています。彼女は、聞かずに話すことは、触れずに触れることに例えています。目を閉じることで一時的に遮断できる視覚とは異なり、耳は常に開いています。これがリスニングの重要性を示していると感じました。

進化論的視点~耳という器官

リスニングに対する進化的視点も興味深かったです。マーフィーは目には瞼があり、目を閉じて視覚を意識的にコントロールできるのに、「耳の蓋」がないことがリスニングの重要性を示していると言っています。この常に開いている状態は、音に対して、人間が環境や他者に対して敏感であることの進化的な利点を強調しています。

終わりに

ケイト・マーフィーの「You Are Not Listening」の第2章は、リスニングの神経科学に深く迫り、効果的なリスニングが積極的で努力を要するプロセスであることを強調しています。脳波の同期と他者の言葉を真に聞くことの深い影響を理解することで、リスニングの重要な役割を認識できました。マーフィーが巧みに述べているように、リスニングは「経験されるという経験」であり、人間の接続の基本的な側面です。

この本を読んで、リスニングの本質について多くの洞察を得ることができました。日常のコミュニケーションにおいても、意識的に相手の話を聞くことの重要性を再認識しました。

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