筆箱のこだわりを言語化する
筆箱を構成する際のこだわりを言語化したい。
そういう欲がある。
僕はおそらく人よりこだわりが強い。
ファッションや料理など、各自のこだわりを発揮する対象は様々あるが、なかでも僕が特に好きで力を入れてこだわっているものがある。
それは筆箱だ。
筆箱は、我々学生にとって、最もパーソナリティが発現する場だと言っても決して言いすぎとピーコではない。
例えば、無難にクルトガの奴。
推定使用歴10年の、塗装がハゲまくってるペンの奴。
ペンケースから消しゴムまで無印良品で統一してる奴。
木軸ペンの奴。
そこそこの文房具好きにもなると、使っている文房具からその人のおおよそのパーソナリティが想像できる。
それだけ、自分の意思で選択したものには個性が表れるのだ。
前置きはこれくらいにして、今回は、僕の筆箱に対するこだわりを書いていこうと思う。
もう前置きとかどうでもいいから早く書きたい。
スクロールバーからも分かる通り、今回も例によって長文になっているので、そこんとこよろしくお願いします。
1.ペンケース
まずはペンケースがなくっちゃ始まらない。
僕は筆箱を構成する際、まず初めに、自分が使いたいと思うペンケを選ぶ。
この時点では中身のことは一切考えず、とにかく気に入る製品を選ぶことにだけに注力する。
僕がペンケに求める条件は主に以下の4つ。
文房具の一覧性が高いこと(文房具が埋もれない。取り出しやすいし鑑賞しやすい)
ある程度コンパクトであること(机の上で場所を取らない)
高級感や個性があること(中の文房具と比べても見劣りしない)
立つタイプ(ex.コクヨ「ネオクリッツ」)ではないこと(インクが先端に溜まらない)
これらのすべてを満たす製品は、なかなかそうそう見つかるものではない。
だから僕は最高のペンケースを探し求める亡者と成り果てているのだ。
ちなみに、現在僕の1軍で活躍しているペンケはこれ。
2.テーマ
ペンケースが選べたら、中身を詳しく考える前に、あらかじめテーマを決定しておく。
こうすることで、中身に統一感や一貫性を出すことができる。
僕は統一感と一貫性が大大大大大好物なので、テーマをしっかり定めないと気が済まない。
今使っている、さっきの筆箱のテーマは「工業感」だ。
3.中身
ペンケースとテーマが決まったら、いよいよ中身を決める作業に入る。
決めたテーマに沿って、入れる文房具を選んでいく。
ここからがハイライトだ!
シャーペン
言わずもがな必須である。勉強の友。
最低2本は必ず入れておきたい。
ただし、シャーペンが多すぎると毎回どれを使おうか悩むことになる。「次は数学だから取り回しのしやすいやつにしよう」「現代文はしっかり書きたいから太くて重めのやつにしよう」みたいな思考が渦巻くことはもはや避けられない。
芯径は0.5mm+αがベスト。
細かい字でノートを取るなら0.3mmか0.4mm、アイデア出しや何かの下書きのためにスラスラと書くなら0.7mmか0.9mm。
まあ迷ったらとりあえず0.5mmを入れるのがおすすめだ。少なくとも後悔することはない。
0.2mmもあるにはあるが、細すぎて個人的には好きじゃない。同じく1.2mmはやや太すぎる。
僕は0.6mmが至高だと思うのだが、そんなシャーペンは有史以来たぶん1製品しか存在しない。しかもそれはトルコ限定で数年間しか販売されていなかったという(トンボ「NON STOP」)。入手するのは完全に無理ゲーである。
2.0mm以上くらいの、いわゆる芯ホルダーについては後述する。
シャーペンには一般筆記用と製図用がある。
一般筆記用は、みなさんがシャーペンと聞いてイメージする、いわゆる普通のやつ(ex.三菱鉛筆「クルトガ」)。
対する製図用は、主にやすりローレットグリップと長いガイドパイプが採用されており、低重心設計になっているのが特徴である。(ex.STAEDTLER「925-25」)。
ローレットのグリップ力には目を見張るものがあるが、ペンケの中で振動したりすることで他の文房具を傷つけてしまう可能性があるため、これを入れる際には配慮しなければいけない。
でも製図用はかっこいい∧実用性がある。それでいい。
あとは素材。
主にはプラスチック、金属(ほぼアルミか真鍮)、木の3種類。
プラスチックは安価で軽く取り回しがしやすいが、どうしてもチープ感が否めない。デザインや塗装の具合でなんとかなっている製品もある(ex.LAMY「safari」)けれど、たいていは見た目が安っぽい。
金属はビジュがかっこいいし剛性感もあり、僕はかーなーり好き。
僕らは金属軸に触れた時の冷たさで冬の訪れを感じている。
木、いわゆる木軸ペンは、最近めちゃめちゃに人気が出てきている。それもただの木ではなく、特に貴重で美しい銘木を使ったものが人気である。
野原工芸・工房楔・クラフトエーの木軸三大工房を始めとする様々な工房の木軸ペンが、5000~数万円と非常に高額ながらも売り切れ続出。
悲しいかな転売ヤーにも狙われている。
ボールペン
シャーペンと同じく芯径に悩まされる。
最も無難なのは0.5mm。
とはいえ、0.3mm、0.4mm、0.7mm、1.0mmなど、それぞれ良いところがあってどれも非常に捨てがたい。
僕も前までは0.5mmこそが頂点だと思っていたが、PARKERの1.0mmのぬらぬら感が良すぎてもうわけが分からなくなってきた。
勉強用としては0.3~0.5mmが使いやすいと思う。
ボールペンといえば、インクも星の数ほど存在する。
シャー芯よりも製品ごとの差が大きく、こだわりがいがある。
まず日本メーカーでいうと、ジェットストリーム、アクロ、エナージェル、サラサあたりのシリーズが王道だろう。
僕はエナジェとハイテックCのインクがお好き。
対する海外のインクは、僕の試筆不足かもしれないが、日本のよりもメーカーごとの差が小さいように感じる。
総じて太めで粘度が高く、ぬらぬらとした書き心地だ。
日本のインクに慣れてしまっていると「なんかスラスラしてなくて書きにくいな」と思われるかもしれないが、しばらく使っているとあの高粘度もなかなかクセになるのである。
僕は最近BIC「クリスタル Re’New」にハマっている。
ボールペンといえば、カラバリが多いのもまた特徴である。
黒。
勉強で使う機会はあまりないが、いざという時のために筆箱に1本は欲しい。
ボールペンの中でボディ・リフィルともにバリエーションが一番豊富なので、最もこだわりたい色である。
安めの製品だと、三菱鉛筆「ユニボールワンF」が好き。ちょっと高めのだとPARKER「ジョッター」のdesignがツボ。
赤。
主に丸付けや重要語句を書く際に使う。
丸付け用なら、ゼブラ「サラサクリップ」とかの比較的インクドバドバ系がおすすめ。ちなみに、ボールペンだけじゃなくて小学校の先生みたくサインペンで丸付けをするのも乙だから一度やってみてほしい。ぺんてる「プラマン」がおぬぬめ。
また、重要語句は青で書いたほうが記憶に定着しやすいとかいう説もある[要出典]。僕も去年まではそうしており、今年からはオレンジに変更したが、特に変化はない。謬説なのか僕が鈍感なのかは神のみぞ知る。
青。
前述の通り、ソースは不明だが青色は暗記に適しているらしく、僕は去年まで重要語句を書く際に使っていた。
ぺんてる「エナージェルインフリー」のターコイズブルーがすんごい良い。200円くらいだからぜひ購入してみてください。
その他の色。
ノートで細かく色分けをしたい時などに使う(僕にはそんな時はないから入れていないが)。赤・青とは被らない第3の色としての地位を持つ。緑とか。
とにかくたくさん色が欲しい場合は、パイロット「ハイテックCコレト」などの多色ボールペンにする。これらのリフィルはだいたい原色。
ちょっとでいいから個性的な色が欲しい場合は、三菱鉛筆「ユニボールワン」などの単色ボールペンを使うといい。ユニボールワンは本当にいろんな限定色があり、ついつい集めたくなってしまう。例えば「きなこもち色」「アネモネ色」など。限定商法だ!とかいう意見もあるけれども、くすみカラーやニュアンスカラーみたいなのが好きな方にはぴったりの製品だと思う。
多機能ペン
マルチペンとも言う。
1本のペンにボールペンとシャーペンが詰まっており、省スペースなのが最大の特長である。
一般的には、赤+黒+シャーペン、赤+黒+青+シャーペン、赤+黒+青+緑+シャーペンという風にボールペンの色数が増えていく。
筆箱には2+1か3+1くらいでいいんじゃないかと思う。
緑とか使わんし(過去実際に三菱鉛筆が「ジェットストリーム4&1 MIDORINUKI」という製品を発売している)。
多機能ペンのシャーペンはグラつきが大きくてあまり使えない。
普段から完成度の高いシャーペンに慣れきっている身からすると、あのグラグラシャーペンが解せないのだ。セロテープを巻けば解決する話ではあるけれども(多機能ペンじゃないが、グラつきについては今文房具界で話題になっている)。
「シャーペンにも徹底的にこだわり抜いた多機能ペン」というのが発売されたら文房具好きはこぞって購入すると思うので、メーカー様、ご検討のほどよろしくお願いします。
まあ少しネガティブな話にはなってしまったが、僕は多機能ペンも普通に好きである。
多機能ペンのリフィルの出し方には3種類がある。
ノック式。ごくごく一般的なやつ。直感的にリフィルを出せるが、カチャカチャと音が鳴る。ちょっとチープ。
ツイスト式。どこかを回してリフィルを出す。所作が美しい。一方向にずっと回るタイプと、1回転したら止まってしまうタイプとがある。僕は前者が好み(ex.パイロット「エボルト」)。
振り子式。ペンデュラム式とは言わない。出したい色の表示を上にしてノックをするとその色のリフィルが出る。つまり、ノック部分は1つなのに、何種類ものリフィルを出すことができるのだ。構造上ペンを細くできるが、高価なものも多い(ex.STAEDTLER「アバンギャルド」)。
消しゴム
これが一番難しいのよ。
折れにくさ、消えやすさ、消し心地、消しカスのテクスチャー、スリーブのデザインなどなど、これらの項目をすべて満足させてくれるものはなかなか見つからない。ほんとに。
僕の消し方が悪いのか、使っていくうちに必ずヒビが入ってしまうことでおなじみ。
最近は消しゴムをほんの少ししかスリーブから出さずに消しているため、多少は軽減された。少々不格好ではあるが、折れるよりはマシだと思って妥協している。
サイズは小さめのほうが好き。
あとスティック式消しゴムというのも一応持ってはいるが、僕はガシガシ消したいからあんまし好みではない。
今のところ、消しゴムの最適解はシード「レーダーブラック」だと思っている。上記の項目のうち、折れにくさ以外は概ね満足。折れにくさは普通くらい。
ヘデラ「消しゴム」、STAEDTLER「マルスプラスチック」も個人的にはおすすめ。
でも良消しゴム探求の旅はもうちっとだけ続くんじゃ。
みなさんも、これ良いぞ!という消しゴムがあったらぜひとも教えていただきたい。
定規(あるいは物差し)
定規! 悩むよね、これも。
筆箱に絶対1本は欲しいから。
定規が違うだけで筆箱の雰囲気がガラッと変わる。
だからちゃんとペンケの目立つ所に収納してあげないといけない。
間違ってもペンケの奥底に眠らすのとかは厳禁である。
《早起きしてアイメイクを頑張った、ただしARuFa》みたいなっ!
定規は素材がすべてである。
プラスチックは安価で軽くて使い勝手が良い。でも目盛りは消えやすいものが多い。
金属は味があっていい。アルミと真鍮が多い。金属だと目盛りが刻まれていたりするから消えにくいのが利点。真鍮の経年変化はいいぞ。
他には、木やカーボンなんかもあったりする。迷うね。
ああ、そういえば「定規と物差し、どっちなんだい問題」がある。
お手元の『新明解国語辞典 第8版』には、
とある。
このように、2つは使用用途が異なるため、一般的には「定規は0cmまでに少し空間があるもので、物差しは端っこが0cmのもの」とされている。
僕はこの定義で言うと定規のほうが好き。
修正テープ
人類は2種類に分けることができる。
ボールペンで書き損じた時にぐちゃぐちゃと塗りつぶして誤魔化す奴と、修正テープで化粧をして隠す奴である。
修正テープが必要なのは後者の人々。
僕もちょっと前まではこの一派だったが、最近はもうぐちゅぐちゅにして誤魔化している。
だから修正テープは使っていない。一応筆箱には入れてあるが中身のないハリボテ、ただのスペース埋めである。
しかしそれでは面白くないので、ここでは以前の僕について書いていく。
僕は今コピー用紙をノートにしているのだが、前は無印良品「B5ノート 5mm方眼」を使っていた。このノートは紙がややクリーム色だったので、テープも合わせてクリーム色にしていた。
また、修正テープはデザインのおしゃれなものがあまりない。妙にでかかったり、原色がパッキバキのTrackだったりする。
そのため、修正テープ選びでも結構悩んだ。
結論、クリーム色ならプラス「ホワイパープチ クリームテープ」の2.5mm(このテープ幅だと歯車がブラウンなため)、普通の白色ならミドリ「XS 修正テープ」が良いと思う。
小さいは正義。
蛍光ペン
ゼブラ「マイルドライナー」一択。
次点でトンボ「蛍コート」。
マイルドライナーの色味はあまりにも秀逸すぎる。
僕は3色しか持っていないが、それでもあの製品のヤバさはよく分かる。
蛍コートは引き心地が素晴らしい。ペン先が硬くなっているから安定して線が引ける。
ビカビカの蛍光色に抵抗がないならこっちもおすすめ。
ちなみに僕は蛍光ペン不要論(重要語句に引く必要は一切ないが、古文の品詞分解とかの色分け用に使うのは全然いいと思う派)を唱えていて使用頻度は多くないため、筆箱には入れていない。
のり
テープのりがいい。
スティックのりよりも断然使いやすい。水のりとでんぷんのりは論外。
中でもトンボ「ピットエアー」の引き心地はまさに神。一度お試しあれ。
サイズの大きい製品が多いため、筆箱にうまく入らないのが懸念点ではある。
ここ数年は学校でのりを使う機会がなくなったため、現在は自宅待機中。
はさみ・カッター
はさみを筆箱に入れるのならば、僕はスティックタイプを推す。
でも左利き用がほとんどなくて選択肢がレイメイ藤井「ペンカット」しかない。
だからカッターを使う方がいい。
僕はエヌティー「プロ繊細30°カッター AD-2P」を入れている。デザインがかっこよくて切れ味も良いという、非の打ち所がない名カッター。
あわよくば、もしもの時に護身用にもなるかもしれない。そんな時が一生来ないことを祈るけれども。
芯ケース
シャー芯を入れる専用ケース。PUNPEEへの知名度は低い。
そんなにしょっちゅう芯はなくならないので別に入れなくても困らないが、文房具好きならではのアイテムという感じでロマンがあるからぜひ入れたい。
普通にシャー芯を買って付属するケースは平たい直方体だが、「芯ケース」として販売されているものはそのほとんどが円柱状なので(無印良品「なめらかシャープ芯」は例外)、ペンケースの中でも場所を取らない。
僕が使っているのは、ラダイト「THIS INDUSTRIAL 芯ケース2」。
お安いのに質感がばり良い。
万年筆
残念ながら、僕はまだ万年筆はパイロット「カクノ」しか持っていない。
買おう買おうとは常々思っているのだが、お財布と相談した結果いつも却下される。
だから今回万年筆について書くのはやめておいて、もっと万年筆の経験値を積んでから書こうと思う。
芯ホルダー・鉛筆
芯ホルダーは未所持。鉛筆は所持。
筆箱には入れていないが、対マークシートペンとして使っている。あとは書き殴り用。
けれども、マークシートも書き殴りも1.2mmシャーペンじゃダメなのか?とつい思ってしまう。
だって削るのが大変ですもの。
まあこんな怠惰な気持ちも、芯ホルダーを手に入れたら変わるのだろうか。
試しに今度STAEDTLERのお手軽なやつを買ってみようかしら。
その他
イヤホン。
通学中に音楽を聞いたりするならアリかもしれない。僕は電車内ではずっとWikipedia読書をしているので、イヤホンは持っていっていない。
イヤホンといえば、パワプロ5の知識で申し訳ないが、どうやら昔は有線イヤホンを制服の袖に通して耳に手を当て、授業中にこっそりラジオを聞く文化があったそうだ。でも現代ではワイヤレスイヤホンがあるから、これがさらに容易にできる。いやはや、昨今のイヤホンの進化は凄いものである。
モババ。
「モバ充」と略す人もいるが、僕は嫌いだ。バカの一つ覚えみたいにモバ充モバ充とか言って。お前は元太か(キートン山田「それはうな重である」)。
そもそも僕はスマホの充電をし忘れることがないので、モババを使っていない。
忘れっぽいか、もしくは一日で充電を使い切るほどにスマホを酷使する日々を送っているならば、筆箱に入れるのもやぶさかではないだろう。
USBケーブル。
学校でUSBケーブルが必要になる人は少ないと思うが、ガジェットと文房具は相性が良いから筆箱に入れてもいいと思う。
あとはガイアUSBメモリとかも文房具と合うかも。
頭痛薬。
イブ。よく頭が痛くなる人にはもってこい。
しっかりと収納しておかないといつの間にか錠剤がPTP包装から飛び出てたりするかもしれないので、筆箱内の収納場所には十分注意すること。
付箋。
付箋を筆箱に入れている奴が使っている光景を見たことがない。
ボールペンのリフィル。
心配性の君に。
僕はゼムクリップを入れている。
ノートとしてコピー用紙を使っている僕には必需品である。
おわりに
かなり乱雑に文章を書いてしまった感はあるが、好きなものについて書き散らせたということで、これはこれでnoteっぽい記事になったんじゃないだろうか。
文房具の記事を書いたのもかなり久しぶりだ。
なお、今回書いたのはあくまでも僕個人のこだわりだから異論は認める。
いろいろとデジタル化の進む現代だが、今後とも文房具をご贔屓にしてくださると嬉しい。