見出し画像

【NFL】いくら勝っても 3 位

12 週目だ。寒い。木曜には雪が積もったランボー (Lambeau Field) に、今週はナイナーズ (San Francisco 49ers) が訪れる。
このチームは今季、怪我人を大量に出してボロボロになっているが、パッカーズ (Green Bay Packers) からすると過去にたびたび栄光のシーズンに水を差してきた仇敵であり、あなどりがたい。個人的にはユニフォームを見るだけでも腹立たしく、可能なら 50 点差でも 100 点差でもつけながらキープレイヤーを何人も合法に病院へ送ってもらいたいくらいの気持ちだ。

スコアはこれだ。

ア・ウィン・イズ・ア・ウィン
(イーヴン・イフ・ジ・オポーネント・イズ・アン・エレメンタリー・スクール・キッド)

ナイナーズのインアクティヴの名簿がかなり長いのもあって、試合前からパッカーズ有利の予測が多かったようだ。

特筆されたのはふだん投げているパーディ (Brock Richard PURDY; #13 QB) がキャッチボールもできないくらいの状態らしいのと、先月の試合でヘラヘラ笑いながら薄汚い帽子をかぶってフィールドに現れたクソバカが出場しないことだ。
特に後者はゲームの趨勢すうせいをひとりでひっくり返す能力があるので、非常に大きい。

前半最初のボールを持ったパッカーズは、ラヴ (Jordan Alexander LOVE; #10 QB) の短いパスとジェイコブス (Joshua Cordell JACOBS; #8 HB) に持たせるいつものやつを繰り出してとどこおりなく進んでいく。正直なところ見飽きつつあるんだけど、まぁそんなことは関係ない。この手口は OL が勝っていて彼が健康でいるかぎりずっと続くだろう。
最後はエンドゾーン手前、スナップが出てからパスが来るまでその場で待っていたクラフト (Tucker KRAFT; #85 TE) に横手投げで鋭く通すと、マイヤーズ (Joshua David MYERS; #71 C) を吹き飛ばしながら飛び込んでタッチダウン。これだけ重いくせに軽々と走るの、いつ見ても意味わからんな。

個人的にはナイナーズのオフェンスはタレントの豊富さに支えられていると思っているが、(当たり前ながら)それだけではなく、パーディの代わりに出場したブランドン・アレン (Brandon Duc ALLEN; #17 QB) は NFL での先発は 3 年ぶり。OL との息が合わずにたびたび反則を引き起こして停滞し、スナップ 6 回しかしないうちに 17 点差がついて前半も終わらないうちにパッカーズの勝勢になった。やったぜ。
これこれ! これが観たかったんだ。うるせえ! 相手のカラテが小学生だろうと勝ちは勝ちだ!

そうはいっても、このチームの慈悲深さは底しれないところがあって油断ならない。

直後のナイナーズのドライヴでキトル (George Krieger KITTLE; #85 TE) へのタッチダウン・パスを許せば、返す刀でワトソン (Christian WATSON; #9 WR) がアレ彷彿ほうふつとさせるド派手な落球を披露してファンのトラウマをフラッシュバックさせた。
みんなの記憶から薄れつつあったタイミングで、しかも、捕れば完全に楽勝の展開になるところで出してガッカリさせるあたりが本当にいやらしい。ショックで救急車を呼んだやつもいることだろう。まぁ、さっきいったように寒い屋外だからあのときとは条件がぜんぜん違うのだが……。

あのときも、ほとんどの人間がタッチダウンを確信していたなぁ

後半。
のんびり攻撃している時間はないと見てナイナーズはパス・オフェンスに活路を求めたが、しかし彼らの大きな強みはマキャフリー (Christian Jackson McCAFFREY; #23 "Wide-Back") と"ディーボー"・サミュエル (Tyshun Raequan SAMUEL Sr.; #19 "Wide-Back") の悪質な二枚看板によるパスぶくみのラッシュであろう。点差とファンブルの連発によってこれを機能させる展開にならなかったのはたいへん助かった。

ラフルーアー (Matthew Robert LaFLEUR; HC) もなにか思うところがあったか、終盤では大差にもかかわらずナイナーズ陣 9 ヤード地点 4th & 1 から攻撃を継続するなど衆人環視のなか堂々と死体蹴りを敢行、最終的に今季最大となる 28 点差の大勝に導いた。ふだん文句ばかり書いているせいか、完勝になると書くことが少ないな。フィールド・ゴールも外れないし。

あー……遥かに良い。弱っているところを抜け目なく叩けるのも強さのうちだ。8 勝 3 敗。見た目の数字だけはかなり強そう。これにより、地区では 3 位ながらプレイオフに参加できる見込みは現時点で 90% まで上昇したとのこと。残りの日程もかなり大変そうではあるが、どうやら戦線には残っているようだ。
問題は……再来週か。まぁ、どんな手を用意するか楽しみにしよう。


雑記

  • この試合では大きく影響しなかったものの、アレクサンダー (Jaire Zakar ALEXANDER; #23 CB) は当面出場しないであろう。セカンダリのさらなる守備難が予見される。

  • ジェイコブスは 26 回も運び 3 TD。ハチャメチャな使い方にしか思えないが、これでも走った距離はリーグでは 3 番目だという。途中で退がっていたのが軽傷だとよいが。

  • ヒース (Malik Shabazz HEATH; #18 WR) がひさびさにタッチダウンを記録。

  • ダブズ (Romeo Izziyh DOUBS; #87 WR) はエンドゾーンで脳震盪のうしんとうに。

  • ラヴの偉大なインターセプション連続記録がストップ。反則のあったプレイが無効になったのはよいとして、そのあともいくつかチャンスはあったがすべて未遂で終わった。

  • えっ! あいつら、先週とまったく同じようにブロックされてる。まぐれ当たりだと思って、特に対策しなかったらしい。びっくり。いや、本当にびっくりしたのは、いちおう同じ手口を試してみたら通用してしまったミネソタのほうかもしれないけど。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集