【NFL】「どこ投げてんだ?」といわれても、まぁ…うーん。
「ナンッテメコラー!」「ドコナゲッコラー!」「スッゾオラー!」展開される試合のあまりの酷さに、モニタの前のファンの口からヤクザ・スラングが次々と飛び出す! コワイ!
レギュラーシーズンも最終盤。パッカーズ (Green Bay Packers) はすでに優勝がなく、しかもポストシーズンへの進出も決めている身分。勝つに越したことはないが、負けてもメチャクチャ痛いわけではない。
とはいえ、相手は同地区で、自軍のホームで一度やられているヴァイキングス (Minnesota Vikings)。互いに勝ち進めばまた衝突する可能性が高い。そして、彼らはいま地区優勝のチャンスをうかがっている。熱量はすこし異なるとはいっても、このような試合をそう簡単に落としていいものだろうか。
季節は真冬。試合は負けられない。となればまぁ、プレイオフと変わらないような状態といって差し支えないだろう。
ここ Note でも再三いっているのを繰り返して恐縮ながら、プレイオフ・モードに入ったパッカーズは、レギュラーシーズンでの好調な戦いぶりなど泡沫の夢であったかのようにゴミクズめいた醜態を曝し始める。「11 月くらいから盛り上がる→ 1 月に入って落胆する→ドラフトが終わると『今年こそは』と言い始める」のループを繰り返すのがこの球団のファンベースの定番だ。
なんでこうなるんだろうな。毎年の疑問だ。
文句をいいながら 2024 年内最後の試合を振り返ろう。
ザ・チョイス・ワズ・ライト・アンド・ザ・リザルト・ビット・ユー
場所はミネソタの本拠地、U.S. バンク (U.S. Bank Stadium)。閉じた屋内球場だけあって意外と客席が少ないわりに死ぬほどやかましく、スナップ前の反則を誘う魔境になっている。
試合前にはラフルーアー (Matthew Robert LaFLEUR; HC) とジョーンズ (Aaron LaRae JONES; #33 HB former Packer) が笑顔で再会を果たす場面も見られる和やかムードだったが、先攻を選んだパッカーズは出だしから猪突猛進。
いきなりファンブルからボールを失うと、次のドライヴもパスを次々と芝生や敵の DB にむかって投げ込みアクセル全開だ。ニクソン (Keisean NIXON; #25 CB) が素晴らしい動きでタッチダウンを防ぐなど予想外のプレイもあったものの、敵陣 11 ヤード地点 1st & 10 のチャンスも最後は 3rd & 7 から短いチェックダウンを投げて蹴るはめになってしまうところなど、いかにも恒例の "うわぁ~、これアカンやつや" を予感させる滑り出しとなった。
キックオフにガナー (gunner) として走ったゼイン・アンダーソン (Zayne ANDERSON; #39 S) がタックル一発で脳震盪となり退場すると、もともとこの試合にアレクサンダー (Jaire Zakar ALEXANDER; #23 CB) がいないため手薄さを感じさせるセカンダリを、ミネソタのレシーヴァーたちが朝方のイエネコめいて好き放題に走り始めた。
さらにプレッシャーがなかなかいかないのが相乗効果を生み、ダーノルド (Samuel Richard DARNOLD; #14 QB) もよりどりみどりで投げる。スナップのたびにどこかしらがガラガラに空きまくっており、しかも難しいボールでも落とさず捕るのだから止まる気配がない。
ディフェンスのアブナイ・アトモスフィアを感じ取ったか、Q2 の中盤、レッドゾーン間近からフィールド・ゴールを蹴っている場合ではないと見てパッカーズは 4th & 2 から攻撃続行を選択。状況判断だ。
しかし、正面中央への短いパスを選択した判断は的確ながら、ターゲットになったリード (Jayden Kevon REED; #11 WR) が無事にドロップしてターンオーヴァー。はからずも、サイドラインで魂が抜ける瞬間のような顔をしているラフルーアーが激写された。勝ちまくっているのになぜか手腕が評価されない代わりに、ミームを生産するタイプの HC たちへの仲間入りが見えてきている。
このあとフィールド・ゴールによって 3–10 になったあたりまでは「まぁなんとか互角」といえなくもないところだったが、前半残り 2 分 16 秒で得た攻撃権を 1 分しか消費せずに相手に渡してしまうのがじつに冴えない。
残り 4 秒から 55 ヤードのフィールド・ゴールが外れたところへ謎判定が飛び出して 3 点よけいに盗まれたのもイラつかされたが、そもそもわずかな時間を使い切れずにボールを渡す試合運びに問題があるのだ。
Q3 の中盤から Q4 の入口にかけて 17 点差になるとさすがにどうしようもなくなり、ラヴ (Jordan Alexander LOVE; #10 QB) もヤバレカバレで投げ始めた。実際、投げると通る。通ると調子づいてきて、またさらに通る。
これを最初からやれといっても詮ないのがツラいところで、大差につき守り方がやや緩い感じになっているだけの可能性が高い。本当に最初から「もうどうにでもな~れ」で投げたらまた連続インターセプションが始まるだろう。
1 月以降の試合は「また来週がんばろうね! てへっ!」ですませられる性質のものではないので、思わぬ事故やオフィシャルのクソ判定にも耐えられるだけの周到な用意が必要だ。今週はそれが足りなかった。
という感じで、ふだんあまり起こさないミスキューを急に重ねて一気に手遅れという、非常にたびたびプレイオフで見る内容になった。どうしてそうなるんだ、毎年毎年!
そしてまぁ、いやなんたる勝敗か。デトロイト (Detroit Lions) に続いてミネソタにまでスイープ! 同地区を相手に 4 敗!
おまけにシカゴ (Chicago Bears) にすらほぼ負けになっていたのを思い返せば、世が世なら最終週に同地区戦全敗阻止をかけて戦うところだったわけだ。いったいどうしてこんな有り様でポストシーズンに入ろうとしているのか。理解しがたい状況も起きるものであるな。
だが救いはある。それはもちろん、まだ負けたら終わりの時間ではなかったことだ。そして、最後に 2 点差まで持ってくるだけの力量を証した点だ。
たとえ形作りに過ぎなかろうと、できるとできないとでは話がまったく異なる。
しかし、この時季は相手だって腕によりをかけて用意をしてくる。いま現在「ちょっと足りませんでした」くらいでは、実際の一発勝負の局面になったら全然足りないはずだ。先週もイマイチだったし、そろそろ上向いてくれないとマジで終わっちまうぞ! 気をつけろ!