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32 回パス投げたら 27 回通った!(それなら圧勝したはずだな)

なんてこったOH YOUR GOD
われわれはオフシーズンにつらい別れとともに「今年は試用期間」とひとまず肩の力を抜いてカウチに座り、第 1 週の大勝を見てちょっと気分を良くし、2 勝 4 敗となったところで「こりゃどうしようもないチームだ」と諦め、第 13 週のカンザス・シティ (Kansas City Chiefs) に勝ったパフォーマンスを見て「もしかしてポストシーズンまだある?」と考えなおし、その翌週にはゴミのようなプレイの山を築いてジャイアンツ (New York Giants) に 2 年連続で敗れたところで「やっぱダメだこりゃ」と諦めたので、1 年で都合 3 回シーズンを諦めたことになる。
これは決して悲観的な捉え方ではなく、実際、第 8 週が過ぎた時点でも第 15 週が過ぎた時点でもほとんどチャンスはなくなっていると予測されていた。

現場の空気がファンの感じ方と異なっていたかは知らないが、いずれにしろ選手たちにとっては前を向くよりない。
ファンは「まあ次があるさ」ですむ(場合もある)けれど、さまざまな要因で来年がない選手だって当然いる。負けが続こうとどうしようと、そのとき目の前にあるボールを追いかけていく以外にやりようがないのだ。

だから、彼らはもともと諦めるとかそういう次元にはいないのかもしれない。グリーン・ベイ (Green Bay Packers) はほとんどの人間の予想をくつがえし、最後の 8 試合を 6 勝 2 敗で疾走して見事 NFC のプレイオフ最後の一枠に間一髪で滑り込んだ。

スコアはこれだ。

前半

コイントスはベアーズ (Chicago Bears) が勝ってボールを選択。
そのボールを持った RB ハーバート (Khalil HERBERT; #24) のクリーツが最初のプレイでいきなり滑り、フィールドの状態がイマイチとわかった。それを見てホームの優位を感じていたら、その後のパッカーズの攻撃中に RB ジョーンズ (Aaron LaRae JONES; #33) も滑った。たぶんほかにも誰かコケていた。反省がないのか、それとも避けられないものなのか。

あれホールディングじゃないかな?とかオフサイドの匂いがするな?と思いながらも、反則の判定にはならずボールが進む。ぜんぜん止まらない様子を見てやきもきしていたが、レッドゾーンの手前まで来たところでヴァン・ネス (Lukas Van NESS; #90 LB) とブルックス (Karl Dermarad BROOKS; #94 DE) が仕留めて 3 点に抑えた。このふたりは 2000 年を過ぎてから生まれている。ホントにこのチーム若いなぁ。

パッカーズのオフェンスのほうは、まず、ウィックス (Dontayvion Jaquain WICKS; #13) が帰ってきた。リード (Jayden Kevon REED; #11) も状態が厳しいという情報はあったが出場。ともにキャッチする能力が高く信頼できる WR でたいへん朗報だった。あいつのことは忘れろ。

さらにジョーンズが元気に走った。ラッシュへのディフェンスが強いはずのシカゴ陣を突っ切り、あるいは外側から WR のような動きでパスも受けて縦横無尽、あわせて 27 回ボールを持って 141 ヤードを稼いだ。
使いすぎにも思える。しかし、勝負事で切り札の出し惜しみをして負けるのはきわめて無様なものだ。それに……いや、この話はまた今度にするか。

ラッシュが出ているところからわかるように、グリーン・ベイの OL は絶好調だった。OL の調子が良ければ QB も好成績を出せるのは当然である。
それにしてもパス 32 回で 27 回は単純にスゴい。ロミオ (Romeo Izziyh DOUBS; #87) やメルトン (Miles Bokeem MELTON; #80) に投げたエンドゾーンへのパスも、捕れる可能性はそこそこあった。
一試合でのパス成功率 84.4% だなんて、10 月には誰へ投げても芝生が捕球していたのを思い返せばまったく冗談のようだ。なおこの記録の上位層は厚い。単純に通るところへ投げ続ければ良いというものでもないが、高みを目指す余地はまだある。

カールソン (Anders Bjorn CARLSON; #17) のキックは飛距離が少し足りないのとコースがやや不安定なのは変わらず、これが前半最後のプレイに繋がっているように感じた。おそらく「もうちょっとでも前のほうがいいだろう」という思惑で横に投げたところ、変な場所でタックルされて時間がなくなってしまった。
これを観ているときは「おとなしく残り数秒まで流してタイムアウトを取ればいいのでは」と思ったが、この地点だと最初に外した 40 ヤードと同じ距離だ。ハーフタイム中にメイソン (Mason Walker CROSBY; #2 #21 Curr. Giant) に電話するところまではいかないにしても、若干の葛藤はあったに違いない。
しかし、この直前のパスもそもそもかなり危険だった。ベンチのほうもまだうまくやる必要がある。相手の倍のヤードを進んでおいて 1 点しか差がつけられないのはさすがに不手際だ。

後半

「失うもののないベアーズが好きなようにプレイを入れて暴れるのではないか」とする懸念はずっとあったが、実際にはそんなことはなく、彼らはいたって普通にプレイした。
なにがなんでも勝とうとすればフィールズ (Justin Skyler FIELDS; #1 QB) を可能なかぎり走り回らせただろうけれども、そうではなく一般的なパサーとして使ったように見えた。これはスクランブルに弱いグリーン・ベイからするとありがたいかぎりだった……まあ、川の向こうにもいろいろと都合はあるのだろう。

そんなわけだから、ウィックスがふたつ目のタッチダウンパスを捕ったころには僕はかなり楽観していた。それを殴りにきたのはラヴ (Jordan Alexander LOVE; #10) で、自陣でのスクランブルからロストファンブル。やはりフットボールは何が起こるかわからないから心臓に悪い。プレイして身体に悪いのは当然としても、観ているだけで負担になるのだからバカげた遊びだ。
8 点差 から 5 点差にされた直後のシカゴ陣レッドゾーンへの侵入もタッチダウンで絞めてしまいたかったところで、パッカーズは信じられないほど良くなったとはいえやはりまだ強さが十分でない。
話はそれるがこのドライヴのメルトンへのパスは確かにインコンプリートのようで、オフィシャルは実にしっかりと見た素晴らしい判定だった。でもその後のフィールズへのヒットは反則取るべきだと思うよ、僕は。

終わりごろにはマスグレイヴ (Lucas Stone MUSGRAVE; #88) が腎臓の負傷から復帰して 1 キャッチ。クラフト (Tucker KRAFT; #85) もそつなくキャッチをこなし、役者が揃った感はある。ブロックで一仕事終えた TE がこっそりと前に出ていってパスを捕るのはいつ見ても気持ちのいいものだ。欲のかぎりをいえばルイス (Marcedes Alexis LEWIS; #84) のキャッチも見たかったけどね。でも、まあ……いいか。

次は AT&T (AT&T Stadium) での試合になる。ロジャース (Aaron Charles Rodgers) はこの球場については良い思い出ばかりと語っていた。もしもその伝統が引き継がれていけばなによりだ。マカーシー (Michael John McCARTHY) には悪いけど。
とはいえ、たとえそこで終わってももはや文句はどこからも出ないだろう。2 勝 5 敗で始まって 1 月まで価値のある試合ができたなら、それはもう明白にエリートだからだ。


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