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【NFL】いつ勝つんだよこのチーム…【定期】

NFL は先週でレギュラーシーズン第 18 週が終わって、いよいよ本番の第 19 週。プレイオフだ。AFC と NFC からそれぞれ地区優勝 4 枠、ワイルドカード 3 枠の 7 チームずつ、ここから優勝を目指してノックアウト方式での残り 13 試合になる。

われらがグリーンベイ (Green Bay Packers) はまず、第 2 シードのフィラデルフィア (Philadelphia Eagles) との対決だ。いきなり超がつく難敵である。それもこれも、地区内の試合をほぼ全敗したためワイルドカードの最下位、第 7 シードだからである。まぁ実際は悪いんだけど、このフランチャイズにとっては悪いことばかりではない。前回勝ったときも最下位から(そのときは第 6 シード)だったし。「追い風ポールポジション」という言葉もあるしな!

この時期の言葉は都合の良いことだけが流布されるしきたりだ

いずれにしても、勝つしかない。試合は敵地のリンカーン・ファイナンシャル (Lincoln Financial Field) だからそれだけで既にやや不利。また、イーグルスはラインが攻守ともに強烈なのでこの点でもやや不利だ。
これを覆すためには、ビッグでヒュージでアメイジングなプレイが、できればふたつ以上、最低でもひとつは求められる。もともと非勢である以上、ボールをこぼしたり相手に投げたりといった大チョンボを起こせばたちまち敗勢になるのはいうまでもないことであり、次のない試合では絶対厳禁だ。いいか、本当に気をつけろよ。

リット・エムセルフ・オン・ファイア・イン・ジ・イーグルズ・ネスト

というわけでビッグでヒュージなリターンを求めてキーショーン・ニクソン (Keisean NIXON; #25 CB) も積極的に最初のキックオフを運んでいったが、その途中でオーレン・バークス (Oren Spencer BURKS; #42 LB Former Packer) とヘルメット同士で衝突するといきなりファンブル。落ちたボールはニクソンが拾ったにもかかわらず、もみ合いの中で強奪されると判定はフィラデルフィアのボールに。
ヘルメットでのタックルを見逃すのもその後のポゼッションの判定もまさに NFL らしさ全開の開幕で、始まって 5 秒で敗勢だ。トーリーボーシッ! しかし前提として、このゲームにおける審判は視覚障害者だと思っておかなければならない。そこでアウェイのチームが明確に勝つには、徹夜で飲み明かして朝 8 時に地下からい出てきた人間の目でもわかるくらいにやってやる必要がある。だから、こういうことでは話にならない。こぼしてはいけないし、まともに衝突されてもいけなかった。

レッドゾーン間近で始められたイーグルスのオフェンスが止まるわけもなく、やすやすとタッチダウン。対してグリーンベイは最初のドライヴを 3 & Out、その次もダウン更新 1 回でパント。さらに悪いことに、今季ここまで健康で活躍しつづけたエルトン・ジェンキンス (Elgton Torrance JENKINS Jr.; #74 OL) が故障すると、代わりに入ったトラヴィス・グローヴァー (Travis Centek GLOVER Jr.; #79 OT) が反則を連発してしまう。

なんでここでほとんど経験のない新人を入れるのかと思ったら、経験あるアンドレ・ディラード (Andre Clyde DILLARD; #73 OT) は脳震盪のうしんとうによってインアクティヴだったためだ。今季のパッカーズは信じられないほど故障者が少なく、ことに OL に関してはかなり安定して同じ人間が同じ場所を務めてきた。もちろん、それによって連携は良くなる(とされている)が、なにかあったときにはこのように練度に極端な差がある状態になってしまう。
は~~……しかし、何も今じゃなくても。考えられるかぎり最悪のタイミングで、最悪の事態だ。ジェンキンスは器用さにけていて、センターもガードもタックルもすべてこなせる頼もしい選手であり、この便利さは替えがきかない。あまりにも痛い喪失になった。

そしてフィールド・ゴールで 10 点差となった直後に、われわれのラヴ (Jordan Alexander LOVE; #10 QB) は得意技を出してしまった。お待たせ! サイドライン際へのパスを相手の CB がキャッチ!
まぁプレイ自体は捕ったスレイ (Darius Demetrius SLAY Jr. #2 CB) のワザマエによるもので、あれは普通は捕られるまではいかないと思うんだけど、そこを捕られてしまうあたりがやはり持っているなぁ~。まだ Q2 の頭なのに勝ちに繋がりそうな要素がさっぱり見当たらず、観ているほうはもううんざりだった。

こうなると点数のほうもド大差になっているのがよくある展開だが、なかなかそうならなかったのは、パッカーズの守備陣がイーグルスの攻撃をかろうじて抑えていたからだった。
もともとパスが上手いわけではないハーツ (Jalen Alexander HURTS; #1 QB) が得意のスクランブルを控えていたせいも大きいけれども、ディフェンスはほとんどパスラッシュが届かないなかで間違いなく奮闘していた。もしも、これでオフェンスがそれなりに稼働していたら完勝していたはずだ。

しかし実際にはこのあとフィールド・ゴールを外し、レシーヴァーが存在しない地点に投じる無様なインターセプションを追加して前半を終えた。誰か——たぶんマット (Matthew Robert LaFLEUR; HC) だと思う——が「10 点負けているだけだ」といっているのも聞こえたが、それは互いに殴り合えているときにいう言葉であり、惨めさを増すだけの虚勢だった。

個人的に残っていた一縷いちるの望みは、投げられも走れもしないパサーをベンチに下げて、相手が対策していないことに賭けてマリーク (Malik Antonio WILLIS; #2 QB) で勝負してくれないか?であった。なぁ頼むよ、マット。きょうはあいつジョーダンの日じゃなかったんだって。そういうこともあるさ。
パッカーズは後半最初のイーグルスのドライヴをパントに押しとどめた。ここで気持ちを切り替えて……あ~、フィールドに出てきたのはやっぱりラヴかぁ。まぁーな。だろうと思ったよ。気持ちはよくわかる。ここでコミットできないなら、何のための契約か、という気持ちは。

今季のパッカーズのオフェンスを象徴する選手は、ジョシュ・ジェイコブス (Joshua Cordell JACOBS; #8 HB) である。異論があるやつはバットで頭を殴ってやるから僕のところへ来い。
そのジェイコブスは Q3 終了間際、13 点差を見てもう完全に諦めて飲んでいたわれわれをよそに、超人的な力でディフェンダーをなぎ払いながらこの日の最長となる 31 ヤードのラッシュを披露。直後のタッチダウンにつなげた。この男は、ラインが負けていても個人技でどうにかしてしまうのが凄い。

しかし、関与しないプレイまではさすがにどうにもならない。イーグルスも 3 点を追加し、残りおよそ 7 分半、差が 9 点。追いかけるパッカーズは、時間を考えると最低でもフィールド・ゴールに至らなければシーズンは終わりだ。

チームの命運が懸かったドライヴは、ジェイコブスへのパスによるファーストダウン更新から始まったものの、プレイのあと少し痛んだ様子で交替。
そして迎えた自陣 41 ヤード 3rd & 3 だが……あぁ~、ジョシュが帰ってこない。また、ここまでで頼りになるレシーヴァーたちも試合中にふたり失っており、しかたなくエマニュエル (Emanuel Dashae WILSON; #31 HB) に持たせる。しかし進まず。4th & 3 だ。残り 5 分。泣いてもわめいても、もう行くしかない。

スナップが出る。左ワイドにセットしたヒース (Malik Shabazz HEATH; #18 WR) は、5 ヤード進んだところで素早く折れてサイドラインに向かう! よし! 完璧な動きでワイドオープン、振り向いたところへボールが来る。あとは捕るだけでファーストダウン更新だ。捕るだけ……捕るだけだ。ん、ボールが高いな。大丈夫か……

…………。

「?」

これが、2023 シーズン終盤の急上昇から大いに期待されたパッカーズ 2024 シーズンの事実上の幕切れであった。

苦し紛れのムチャ投げで明後日あさっての方向へ飛んだとか、決死のスクランブルも 1 フット届かずとか、そういうドラマティックなシーンにはならなかった。見るかぎり純度 100% の上物の投げミス。それでシーズン・エンドだ。
ラヴとヒースとの間には空気しかなかったがなぜかボールは高く浮き、いちおう手には収まったものの、空中で二段ジャンプでもできないかぎりインバウンズに下りようがない。ヒースがベンチでヘルメットを地面に叩きつけてブチ切れるのも納得のクソザコ投球であった。
ハッシュからサイドラインまでは画面での見た目よりはるかに距離がある。それは確かにそうだけど、しかしこの投球、本当にお前……。いや~……こんなナサケナイな結末を見るためにわれわれは試合を観続けてきたのか……。

擁護している声も聞こえるけど、本当にこの男で何年もやるのか? マジか?


雑記

  • 33 歳の元被告の男は、この試合でわずか 38 ヤードのキックを失敗してイーグルスの勢いに竿をさした。ここまでうまく蹴っていたので黙っていたが、もう「ご苦労さん」でいいんじゃないかな!
    (追記: チームは契約延長をもくろんでいるらしい。ヤメテ!)

  • ニクソンは KR としてオールプロ (All-Pro) に選出されたが、もうやりたくなくなったとか

  • シーズン前には WR の層が厚すぎてカットするほどだったのに、終わるときには足りなくなっていた。まことにショッギョムッジョ


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