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【NFL】オモチはオモチ・ストアで買え
まただァ! 前半で試合終了。
いや、実際良いんだ。勝てるところをちゃんと叩けないようでは、微妙な相手との勝負では及ぶべくもないのだから。
ザ・フィーライン・ショウド・アップ・アットザ・ロング・ステージ・ディドゥント・ゲット・フェッド
第 16 週の月曜夜にセインツ (New Orleans Saints) をホームに迎えたパッカーズ (Green Bay Packers) だったが、前日に同地区のミネソタ (Minnesota Vikings) が勝ったため、地区優勝はもちろんのこと、2 位になる可能性もほとんどなくなってしまった。
と同時に、ワイルドカードに入れない可能性も事実上なくなっており、さらに、もうどう頑張ってもシード (seed) の下のほうしか得られない。
つまり、ほとんど消化試合なのだ。
……とはいえ 7 位だと相手がライオンズ (Detroit Lions) かヴァイキングスかイーグルス (Philadelphia Eagles) になる(たぶん。知らんけど)のが厄介だ。どのみち倒さなくてはならない相手ではあるし、グリーンベイも好調とはいえ、先に進むためにはアウェイでこれらのチームを相手に連勝というしんどい道程になる。
どうせ目的地が同じなら少しでも安全な道のほうが好ましい。したがって、まだコントローラを投げて寝るには早い。
一方のセインツも第 15 週を終えた段階で 5 勝しかしていないため、前日にアトランタ (Atlanta Falcons) が勝ったことでプレイオフの可能性は完全になくなっている。こっちは正真正銘の消化試合である。
そして、手を骨折しているデレク・カー (Derek Dallas CARR; #4 QB) も投げなければ、アルヴィン・カマーラ (Alvin Mentian KAMARA; #41 HB) が走ることもない。こんなのもう観なくてもいいだろ、がおそらく一般の感覚で、注目するところがあるとしたらケガ人を出さずに乗り切れるかどうかだ。
そして……出ちゃうんだな、これが。
普通にプレイしていて故障するなら「ま、しょうがないよね」となるが、どういう思いつきなのかクリスティアン・ワトソン (Christian WATSON; #9 WR) にボールを持たせて走らせる、というコールを入れ、結果として破壊してしまうところがなんとも形容しがたい。
いや、わかるんだ。じつは理解できる。思想はこうだ。「ワトソンは脚がバカ速い。でも精度のイマイチなパサーから深いところへボールがうまいこと飛んでくる機会は少ない。だったら、最初っから持ってサイドライン際を走らせればどうだろうか? それなら彼の脚を確実に活かせる。スゴいことになるんじゃないか」とね。素晴らしい! 完璧な作戦だ。
問題はただひとつ、ボールに触れる機会が増えるとコンタクトも増える。そして、コンタクトが増えるとワトソンは壊れるという点だ。
とてつもない出力をもつ大男だから少々のことは大丈夫そうに思えて、衝突してくる相手も筋肉の塊である。しかも、パスを受けるなら捕るために減速している可能性が高いのに対し、最初からボールを持って走る場合は相手も本人も疾走している。そこが問題だ。
要するに、これは……階級の異なるドヒョウ・リングにエントリーするようなものだ。
一瞬は相手が驚いて通用するかもしれないが、時間が経てば叩き出されるのは目に見えている。だからこそ、これをジェイデン・リード (Jayden Kevon REED; #11 WR) にやらせることはあっても回数はかなり限定的だったし、ワトソンがやる機会もほとんどなかった。
まして、もともと故障がちな選手である。彼の最初のキャリーを観て「嫌だな~怖いな~」と思っていたら、懸念はすぐ後の次のキャリーで現実となった。膝をやったらしい。2 回で十分ですよ。途中で戻ってきていたが、その後ターゲットになったのは 1 回(キャッチ 0)で、やがて引っ込んでしまった。活躍の場を増やそうとしたのが完全に裏目だ。わかってくださいよ!
そもそも、強力なレシーヴァーはただ走り回るだけでも相手の DB たちを引き寄せるので、ターゲットにならないからといって役に立っていないことにはならない(このような思考は、どこかのサッカー球団のオーナーが「なんだこの選手は! まったく得点していないじゃないか!」といってゴールキーパーをカットした、という寓話めいた昔話を思い起こさせる)。
とはいえ、チーム全体を見ると負傷している選手は少なめだ。OL は同じ 5 人がほぼフル出場を続けているし、HB たちも健康である。TE もひとり帰ってきた。
守備陣は欠員によって少し苦しそうに見えて、ハフリー (Jeff HAFLEY; DC) は複雑な守備を構築して機能を維持させている……ニューオーリンズに戦う気はほとんどなかったという事実を差し引いても、今季 NFL で初となる完封試合にまでしてしまうとは恐れ入るかぎりだ。
つまり……全体はうまく転がっている。フットボールをしているとは思えないほど管理がうまく行っている。それも、非常に、かなり。粗探しくらいしかすることがなかったのは、あまりにも大差だった内容の裏返しだった。
この試合によってレギュラーシーズン 11 勝、プレイオフへの出場が本当に確定した。期待は高まる一方だ。とはいえ、まだスタートラインに過ぎない。真の戦いはここから始まる。
雑記
・ジャマール (Jamaal Malik WILLIAMS; #21 HB) とルーカス (Lucas Carter PATRICK; #62 OL) が帰ってきた。MVS は……まぁあいつはいいか
・これだけ勝ってもグリーンベイがシード 5 位になる可能性は薄いらしい。仮に残り 2 試合を連勝して 17 試合を 13 勝してもなお 6 位の可能性がある。それもこれも地区内で負けまくったからだ。インガオホー……
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