【NFL】先週の負けをまだまだ引きずる今週の観戦記
ゴキゲンヨ!
今週も、パッカーズ (Green Bay Packers) のファンが試合を振り返る時間がやってきた。先週はやらなかった。この一連の記事は勝ったから書いているわけじゃないけど、先週の負けはあまりにも痛かった。あの試合を勝って差を詰めておけば、ライオンズ (Detroit Lions) が残りの試合でコケることを期待してのキャンセル待ちが可能だった。
しかし向こうのギャンブル狂いの HC によって 4th ダウンの攻撃をことごとく通され、のみならず審判のカスみたいな判定が決定打となり可能性がなくなってしまった。踏んだり蹴ったりとはこのことだろう。なにしろ、
ほとんど勝ちそうだった
負けて地区優勝の目が潰れた
スイープ喰らった
地区 2 位すら難しそう
で、痛さの四重奏だ(「四重奏」の意味は知らない)。
フットボールの試合は、自軍の本拠地で開催するか否かで有利不利がまったく変わってくる。優勝したければ目指すのはやはり #1 シードを得てのホームゲームだ。まぁそんなことを例年いいつづけながら、いざそれを得て地元で開催となったらしっかり負けたけどな。いや、きょうはそれはいい。いくら優勝への道がその険しさを急激に増したといっても、チャンスがあるかぎり諦めさせてもらえないのがフットボールだ。
そのためには、このアウェイの試合は意味のある試金石になる。フォード (Ford Field) では歓声がオフェンスの足枷となって苦戦したが、もしもこのもっともやかましいシアトル (Seattle Seahawks) の球場で機能するよう対策ができていれば、どこでやっても支障がないと考えられるからだ。
サンデーナイト。スコアはこれだ。
ア・ナイト・サムワン・サドンリー・ガット・フェド・アップ・アンド・レン・アウト・オブ・ザ・フィールド
ルーメン・フィールド (Lumen Field) に乗り込んだパッカーズは、コイントスに勝って先攻を選択。こないだは後半を選んでいたような……。なにが違うのかよくわからないが、最近、気がついたのは「やりたいプレイがある場合、後半を選ぶと鍵になるプレイヤーが前半のうちにいなくなっていて困る場合がありうる」ということだ。負傷に限らず、急に嫌になることってあるからね。
ニクソン (Keisean NIXON; #25 CB) がまずまずのキックオフ・リターンを見せ、自陣 37 ヤード地点からのオフェンスはジョーダン・ラヴ (Jordan Alexander LOVE; #10 QB) のパスから始まった。
最近のグリーンベイはジョシュ・ジェイコブス (Joshua Cordell JACOBS; #8 HB) に持たせるのがトレンドで、いきなりパスは珍しいコールだ。短いパスを受けたのは……いやジェイコブスやないかい。結局お前かよ。
次のプレイもパス。捕ったのはまたジェイコブス。
次は? ジェイコブスが持って走った。その次は? ジェイコブスが持って走った。
その次は? またジェイコブスが持って走った。
その次は? またジェイコブスが持って走った。
その次は? またジェイコブスが持って走った。
その次は? またジェイコブスが持って走った。
……おい! ふざけてんのか!
なにこれ。きょうでジョシュとの契約が切れるのか? あるいは、なんか用事があって早退するから急いで仕事こなしてる感じか? この異様なプレイ・コールはボブでなくても訝しんだ。
最後は 1 ヤード地点までラヴが持って運ぶと、飽きずにジェイコブスが持って入ってタッチダウン。ひとりの選手が 10 プレイで 9 回タッチ。こういうのは、個人差が巨大な中学や高校にかぎって生じる光景ではなかったのか。
シアトルは WR が揃っている一方で OL にはそこそこ不安があるようで、"ジーノ"・スミス (Eugene Cyril SMITH III; #7 QB) は被サック数の最上位集団に属している。高いパス成功率のわりには TD/INT のレイシオも悪く、パッカーズ守備陣としては狙い目の獲物だ。
そのスミス=サンをさっそく最初のドライヴから 3rd & 4 でエッジリン・クーパー (Edgerrin Cooper; #56 LB) が捕らえるビッグプレイを見せれば、ラヴは先ほどのラッシュ偏重など一晩の気まぐれであったかのようにバランスよく攻撃を遂行。
シアトル陣 6 ヤード地点でドブズ (Romeo Izziyh DOUBS; #87 WR) がパスを捕ったため「これはもう次のプレイでタッチダウンに繋がるぞ」と思った瞬間、タックルしてきたディフェンダーふたりを引きずってそのままエンドゾーンに入るという人間離れ仕種が炸裂し、「タッチダウンヤッター! スゴイ!」よりも「えっ何あいつ怖……」が先に立った。
この男は仕様なのかそう努めているのか、笑顔をいっさい見せないのでよけいに怖い。
続く守備もグリーンベイ陣 23 ヤード地点での 2nd & 1 を更新させずにフィールド・ゴールに押し留めるなど、試合を通じてシアトルの OL を圧倒した。こうなれば、パニックとそれに伴うインターセプションが付き物と、相場は決まっている。
前半最後のシアトルのドライヴは「え? それ反則なの?」と思わされる判定が急所で飛んでかろうじて継続していったが、エンドゾーンが目前に迫ると怪しいパスが飛んだ。
1 回は地面に落ちたものの、猛烈なプレッシャーの下で無理やり投げた次のパスはキャリントン・ヴァレンタイン (Carrington Jadon VALENTINE; #24 CB) が許さずインターセプション。
しかも、エンドゾーン内 6 ヤード地点でボールを奪い捕るだけでは満足せず、そのままプレイを継続してエンドゾーンを飛び出していった。ここは結果論でなくタッチバックにしておいて不満のないところで、いずれ身を滅ぼしそうなヨクバリを感じる。でも 3 人目の手が足にかからなければリターン・タッチダウンだったかもな。
……というか、よく見るとこのスナップはそもそも LT のフォールス・スタートのような気がするな。どうも釈然としない判定がある試合だった(このゲームはだいたいいつでもそうだ)。
シアトルは前半最後の守備をなんとかフィールド・ゴールでしのいでギリギリまだ死んでいないくらいの状態でハーフ・タイムに入ったが、後半 2 回目のドライヴでスミスが脚にタックルを受けて壊れた(反則ではない)ところでさすがに万事休した。
代わりには去年ワシントン (Washington Commanders) で全試合先発したサム・ハウェル (Samuel Duke HOWELL; #6 QB) が入ったが、事実上の今季初出場で敗勢の試合をどうにかしろというのも無理な話で、サック 4 とインターセプション 1 を献上する良いカモになった。
そんなわけで、まぁちょっとボールをこぼしてみたり無用に思えるギャンブルを挑んで失敗してみたりはあったとはいえ、基本的には完勝だったといって間違いないだろう。たとえプロテクターを着けなければ耳がいかれる球場であろうと、グリーンベイのオフェンスはきちんと機能するよう 10 日間で修正がなされた。
もし戦わずにすむならべつにそれに越したことはないが、今季もう一度ライオンズと戦う機会があるとしても不安はそれほどないはずだ。このチームのコーチたちの能力には瞠目するばかりであるな。
雑記
いまはマイアミ (Miami Dolphins) にいるグラント・デュボーズ (Grant Lewis DuBOSE; #88 WR) の話が出た。
グラントはパッカーズが 2023 ドラフトで指名した選手で、今年のプレシーズンでもまずまず好評だったがパッカーズの WR 陣が例年になく厚くなっているせいで 53 人枠から外れてマイアミに行っていた。それがなんでも、首が吹っ飛んで病院行きらしい。で、動画を見た。拡散するなと誰かはいっていたが、検索するといくらでも出てくる。このへんはしょうがないわね。どれどれ……
……ウォエ!(戦慄)
右端にセットしたグラントは、目の前の CB がスナップ前にスーッと真っ直ぐ退がって生じた隙間を誘われるように通り、LB のカヴァーの裏側を回って中央に向かった。低く鋭いパスが飛ぶ。良い読みと動きだった——もしその後ろに S がいなければの話だが。
両方の CB がスナップ前に退がっているから直感的には S はもっと上がってきていそうなものと僕は思ったけど、実際にはちょっと後ろで待機していた。だから、左側の走り出してすぐ振り向いたレシーヴァーか、あるいは自分で持って走るかするほうがよかっただろう。
でもそんなことをいってもしかたがない。現実はボールが目の前に来てしまった。着弾点からちょうど一歩のところに S がいるものだから、もうお互いにどうしようもない。
捕った瞬間ドカン! ここで首が曲がる。そして後頭部から地面にゴン! フィールドの上で数秒間に受けられうるダメージ量としてはわりと最大に近そうな展開である。芝生とか土とかあるとはいっても、結局、フィールドの素材は緑色のマシュマロやヨギボーではない。
そういうわけで、ここにまたひとり、新たな濃厚 CTE 予備軍が誕生した。それだけにとどまるかどうかは運次第だ。