見出し画像

役に立たない詰将棋の話

おはようございます。将棋の初心者、当雪片です。
えー、僕は詰将棋を作る機会がときどきありまして……いや、作家とかではないです。ただ偶然に実戦から得ているだけです。きょうは、できたけど使いようのない問題を供養します。

念のため先に言っておきますと、この話は「詰将棋って何?」という人には絶対わかりません。無益なのでページを閉じてください。なお、詰将棋をわかる人にも無益な話です。P◯rnhub でも見ている方がはるかに有意義です。

で、こういう問題ができました。以下に順を追って解説しますので、自分で考えたい人はここで考えてください。考えた結果「なんだこりゃ」と感じたら、それがこの記事の最後の部分です。

問題図

局面は玉が22にいたとき23歩と王手して23同玉となったところです。
一瞬は24歩とさらに景気よく叩けそうな気がしますが21玉まで逃げられたときに繋がりません。正解は41馬です。

何を打ちましょうか

玉を逃げるのは秒で詰むので合駒をします。合駒とは、敵の攻撃に対する肉の盾として手持ちの駒を置く行為です。この手持ちの駒は喜んでその身を差し出しているので、非人道的な行いではない。いいね?
問題はここで「何を打つのか?」です。個人的にはこのような局面は頭のメモリを不足させるため考えたくありませんが、さいわいこの問題に関してはそこまで深く考える必要がありません。

というのも、なにか合駒をしたあと24歩同玉となった局面では、攻方が34金と打ったときに取り返せる駒がないと14玉と逃げるしかなく、32馬でいま打ったばかりの駒を取られて詰んでしまうのです。

玉方は34金を許すわけにはいかない

したがってさきほど合駒した駒は34の地点に利く駒でなければ問題にならず、条件を満たすのは飛車か香車です。しかしまぁ、飛車はパッと見で無理ですね。実際、32飛には同馬同玉42飛23玉22金14玉15歩24玉44飛成が一例で、これも駒が余りながら詰みます。最後のところで25歩33玉32飛成とすれば駒余りはなくせますが、いくらなんでも締まらない。

そういうわけで32の合駒は香車を打ちます。24歩同玉に今度は34金とできませんので、代わりに42馬とちょっと動く変な感じの手が正解。この手に対して33に何か合駒するとふたたび34金以下の筋が発生するため、23玉と逃げざるを得ません。

で、最後に24歩と叩けば14玉と上がる手に25(または15)金と打って詰め上がり!

やれやれ、詰んだ詰んだ

……が作意なんですけど、悪いことに、24歩に玉を引かれると23金~32馬のほうが手数が長い。

詰将棋には「なるべく詰まないように逃げる」という規則があるからなぁ

もちろん駒が余る。「駒が余らないほうが正解に決まっているだろう」と強弁するんじゃあちょっとねぇ奥さん。せめて最後が綺麗に着地できていればまだしも、けっこう悩ませて最後がスッキリしないのではあまりに冴えない。
それでなくても難易度の(比較的)高い詰将棋そのものが、詰将棋が好きという態度を表に出してはばからない変質者にしかウケないという問題を抱えているのですから、コンテンツとしては致命です。したがってボツになります。

こんなふうにして、多くの詰将棋は世の中に出ることなく捨てられているのです。知らんけど。



いいなと思ったら応援しよう!