コミュニケーション
私は子供の頃から映画が好きで映画音楽をたくさん聴いていました。その中でもピアノをやっていてWest Side
Storyという映画が非常に好きで、小学生の頃、なぜか家にあったWest Side Storyの譜面でピアノを弾いていました(難しい部分は全然弾けませんでした)。
そんなある日、小学3年生の頃、お正月のお年玉を使ってレコードを買いました。もちろん、West Side Storyです!そして帰ってそのLPを聴いてみるとびっくりです、、私が聴いたことある音楽とは全く別物(似ているけど別物)でした。アレンジというものを知らなかった小学生の私は、騙された感でいっぱいになりました。
同時に、聴いていくと、そのピアノのサウンドとリズムに衝撃と言えるほど心が動きました。
そのLPはジャズピアニストのOscar PetersonがWest side Storyの音楽をジャズバージョンで演奏したものでした。
いまだに、ジャケットに騙されたと思っています。ジャケットが映画の1シーンなんですから。小学3年生が間違えて当然です。
ただそれを機にジャズが大好きになり、結局60歳過ぎる今までジャズの勉強を続けています。
おそらく間違っていないと思うのですが、クラシックでもロックでもジャズでも、人が音楽を始める時には必ず誰かしら「ヒーロー」がいると思います。その人の音楽が好きで好きで、その人になりたくてしかたない、、から始まり、その人の音楽を追求しつつも、少しずつ自分自身の音楽を発見していく、、、こんなことが音楽家の道なのかなと思います。
私にとってのヒーローがこのOscae Petersonです。
言わば心の師匠のようなものです、、でも、私もアメリカにいた頃は少しはジャズの創始者みたいなすごい人と演奏したりお話ししたりする機会をいただきましたが、このOscar Petersonには個人的にお会いしたり話したりする機会はありませんでした。
ですが、この人がきっかけで63歳までジャズを演奏し、ジャズを教える仕事を続けてきたということを考えると、この人の音楽が、私が小学3年生の時に、ジャケットがきっかけとはいえ、何かを私に語りかけてくれたのだと思います。そしてその声を私が聞いて、今までの自分の人生があったと思います。
この経験から私が学ぶのは、芸術は「芸ごと」ではないということです。芸術(アート)は人と人とのコミュニケーションツールだということです。
絵も音楽も舞台芸術も文章も、盆栽も全て同じコミュニケーションツールです。
これを、教育の場でも、演奏の場でも忘れないようにしたいし、同時に多くの人にわかっていただきたいなと切に思います!
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