Dimensions
ジャズという音楽を演奏する時、またはそれを教育機関で教える時、いつも重要なのが、「そもそもジャズって何?」ということです。私が大学で説明する時はいつも、「ジャズはヤドカリみたいな音楽です。ポップスにもジャズの影響があるし、ラテンやプラジル音楽、ファンク、ロック、全てにジャズの影響があります」と説明します。じゃあ、本当のところジャズって何ですか?と聞かれると本当に困ってしまいます。
まあ、音楽のジャンルなんて人に音楽を売るために便宜上使われているものですし、私たち音楽家は(アーティストによくあることかもしれませんが)人の言うことは聞きません!
音楽を勉強したことがある方は「平行調」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。この平行調はアメリカ・イギリスとヨーロッパで全く別の意味で使われています。日本はヨーロッパ式です。アメリカで音楽を勉強した私は日本に帰ってきてこの平行調の意味の違いにびっくりして、ドイツの大学で音楽史を専門にする教授に聞いたことがあります。
「平行調なんてバッハの時代からあったのに、どうして今でもヨーロッパとアメリカ・イギリスでは意味に違いがあるんですか?」その教授の答えは、「昔も今もミュージシャンは自分がこうと言ったら他の人が何を言おうと関係ないんです。だから統一されてませんし、今からもされないでしょう」でした。音楽理論というものがあるのに、一体なんだそれは?とも思いましたが、同時に私もミュージシャンなので、思い当たる節が多大にあり、それ以上何も言えませんでした!
音楽には定義なんてないんですね!
でもジャズに関して一つだけ正しいことは、ジャズではアドリブを中心として音楽を作るということです。
小学校3年生で初めてジャズを聴いて、それ以来ジャズを60年ほどやっていますが、未だにジャズが何かをはっきり言うことはできません。ですが、ジャズはアドリブをいっぱいするぞ、と言うのは確かだと思います。
じゃあ、アドリブする曲は別にジャズの曲でなくても良いわけです。事実、多くのジャズミュージシャンが、ディズニーの曲を題材にしてアドリブしたり、ポップスや映画音楽の曲を題材にしたりしてきています。
ならば題材がクラシックの曲でもいいじゃないか、っと思い、2016年に"Dimensions"というピアノソロのアルバムを作りました。
このアルバムではバッハ、ドビュッシー、ショパン、ベートーヴェンの作品を題材にアドリブをしています。
ピアノに座って、これらのクラシックの曲を弾きつつ、インスピレーションのまま自由にアドリブをしたものですが、
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実はこのアルバムは、軽井沢の大賀ホールというホールで録音しています。
とても音響の良いホールで、軽井沢の自然(録音時は雪景色の綺麗な2月でした)からもインスピレーションをもらっての楽しい演奏でした。
このホールで、来たる3月30日の午後に再びDimensionsのアルバムからのクラシック曲などを演奏するソロコンサートを行います。
今回は春の始まりなので、またきっと新しいインスピレーションが軽井沢の自然からもらえるんだろうなと思って今から楽しみにしています。
興味のある方は是非、春の始まりの軽井沢にお越しください!!
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